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舞台挨拶・イベント

トップページ > 舞台挨拶・イベント > 『夕映え少女』完成披露試写会舞台挨拶

完成披露試写会舞台挨拶

2008-01-25 更新

田口トモロヲ、円城寺あや、五十嵐令子、山田 咲監督、瀬田なつき監督、吉田雄一郎監督、船曳真珠監督

製作:2007『夕映え少女』製作委員会(東京藝術大学 ジェネオン エンタテインメント)
1月26日(土)より渋谷・ユーロスペースにてレイトショー

 文豪・川端康成が、生涯描き続けた少女たちの短編4作でなるオムニバス映画『夕映え少女』の完成披露試写会が、東京・京橋の映画美学校で行われた。
 4作それぞれの監督に加え、『夕映え少女』に出演した田口トモロヲ、円城寺あや、五十嵐令子が舞台挨拶に登場した。

 東京芸術大生の映画に出演した感想と、川端康成作品に出演した感想を聞かれた田口は、「だれしも最初はアマチュアで、やがてプロになって行くという過程を必ず踏んで行くものですが、彼ら(4人)は限りなくプロに近いアマチュアだと思います。こちらもプロの役者として、新鮮な気持で立ちあえたことを感謝しています。川端康成をチュイスしたということは意外でしたが、実際に脚本を読んだり、出来上がったものを観ると、現代にも通じる繊細な美意識と屈折した心情というものが貫かれているのを発見して、改めて“これは面白い”と思いましたし、どう料理されたかを観ていただけたらなと思います」とコメントした。
 円城寺あやは「初めお話をいただいたときに、“芸大生? 大学生? どんなことをするんだろう?”と、すごく興味がありまして、実際参加してみて、皆さん若いからお互いに議論しあったりして熱くなっているのかな、と思っていたら、穏やかでいい空気の流れた現場で、楽にお仕事させていただきました。限りなくプロに近い現場で、それが画面にも表れていると思います。他の3作品も観せていただいたんですが、画面がきれいで、ちゃんと空気感をつかんでいるな、と思いました。川端康成の短編をやるんだというのを聞いて、難しいことに挑戦するんだなあと思いました。脚本を読ませていただいたときにいろんな疑問が出てきて、監督にもいろいろ質問させていただいたんですが、それが絵にも表れていると思いますが、人と人の関係の間とかズレとかを、景色と一緒に撮っていかなければ行けない。しかも時代が昭和10年代なので、“ほんとに大変なことに挑戦したな”と思いましたが、出来上がりを観て、すごい可能性があると思いました」と若い監督を称賛した。
 本作が映画初出演となった五十嵐令子は、振り返っての感想と川端作品へ出演した感想を聞かれ「初めてだったので分からないことばかりだったんですが、スタッフの方々が皆さん優しく教えてくださって、ほんとに楽しく撮影させていただいて良かったです。川端康成作品は『伊豆の踊り子』の映画と本を読ませていただいたことがあります。でも読んでみて、まだ難しかったです(笑)」と語る姿が初々しかった。

 4人の監督たちも撮影を振り返って見どころも含め、それぞれにコメントした。 山田 咲(『イタリアの歌』監督)は、「4本の作品の中でこの作品だけ、1人の女性の主人公が最後まで出演しています。私が経験していない戦争という重い題材でしたが、登場人物にどのようにリアルに演じてもらうかを考えて演出しました。悲劇的なメロドマですが、最後に希望が感じられる作品です。映像の美しさにもこだわりました。音にも注目して観ていただけるとうれしいと思います」。
 瀬田なつき(『むすめごころ』)監督は「画面には映らない“こころ”というものを扱った作品ですが、川端康成が憧れ、描いた10代の少女と青年のみずみずしい関係を、昭和初期の背景を現代の日本で探して撮りました。みずみずしく撮れているので、ニヤニヤしながら観られるのではないかと思います。青春ドラマで、メロドラマ的な要素もあります。登場人物の表情や背景も観ていただけたらと思います」。
 吉田雄一郎『浅草の姉妹』監督は「3人姉妹の物語ということで3人の女性が魅力的に個性的に描き出されている……例えば、チャーリーズ・エンジェルやキャッツ・アイのようなそういう3人の関係が、楽しく明快に描き出されているものにしようとしました。明快な活劇になっていると思いますので楽しんでいってください。軽快でテンポのいい、のりや活劇性というものを観ていただけたらと思います」。
 船曳真珠(『夕映え少女』)監督は「川端康成が愛した少女というもの、川端が少女に惹かれたのは、容姿の美しさに加えてその存在が謎だったということが大きな理由だったと聞いています。甘い媚薬のような映画になったと思います。味わってご鑑賞ください。九十九里で撮影したのですが、大変でした。浜で何が起きるかというのを観ていただけたらと思います」。

 4人の監督のコメントを聞いていた田口トモロヲは「みんなしっかりしてるなあ。さすが税金で勉強していただけある」と絶賛。田口自身も以前に監督した経験があり、「映画の見どころは全部だと思うんです。自分の分身なので、全部観て欲しいと思う」と4人の監督に熱いエールを送った。
 北野 武監督、黒沢 清監督が教授を務める東京芸術大大学院映像研究科の4人の生徒が監督を務めた本作はそれぞれに個性が発揮され、低予算ながらも凝った映像美で見ごたえのある作品に仕上がった。それにしても4人の監督のうち女性が3人。頼もしいウーマンパワーを見せつけてくれた。

(文・写真:Sachiko Fukuzumi)


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