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『女の一生』製作発表記者会見

2020-10-02 更新

大竹しのぶ、高橋克実、段田安則、風間杜夫

onnanoissho 主催・製作:松竹

 新橋演舞場11月『女の一生』開演にあたり、製作発表記者会見が開かれ、大竹しのぶ、高橋克実、段田安則、風間杜夫が登壇した。


段田安則: この舞台は昭和20年、終戦の年の4月に渋谷道玄坂で5日間、ノーギャラで上演されたそうです。警戒警報が鳴ると役者やスタッフ、お客さんが外に避難するという状況で、警報が解除されると途中から再開するという形で行われていたそうです。そんな中でもお客様さんは舞台を観に行きたいと思い、役者も命がけで舞台をやるのかと、今の私には実感が沸かないのですが、そういう力を演劇は持っているのだと思いました。今回のコロナの状況を考えたときに、舞台に立てるということは当たり前のことではないと感じたので、命がけで務めたいと思っております。
 素晴らしい役者の方々が揃っておりますので、演出については、なにもしなくても上手くやってくれるだろうと思っております(笑)。力不足ではございますが頑張りたいです。今まで多くの名女優さんが演じてきましたが、今回は大竹しのぶさんです。令和の新しい布引けいをぜひお楽しみくださいませ。


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大竹しのぶ: 昭和20年にこのお芝居が生まれたのだと思うと、いろいろなことを考えさせられます。私たちは不自由な時代に突入しましたが、それでもやっぱりお芝居をやりたいと思っています。稽古場では万全の対策を練っておりまして、いつもは意見を言い合ったり、良い芝居ができたときは手を取り合って笑っていたことが、全くできなくなりました。その状況の中でも、私が演じる布引けいが生き生きと生きられるようなお芝居をみんなで作っていきたいなと思います。
 このお芝居はセリフの一つひとつに文学、時代、歴史、人間を感じることができます。私たちが良いものをつくることで、50年後、100年後と永遠に続いていくものになればと心から願っております。お客様にとってはリスクを考えながらの観劇となるかと思いますが、来てくださったら嬉しいです。


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高橋克実: この4人の中では一番年下です(笑)。『女の一生』は、大竹さん演じる布引けいの一生を描いているのですが、それぞれの役の一生も描いておりまして、セリフが心に刺さります。「人間はよく間違いをする。間違いをするために生きているようなものだ」というセリフがありまして、私はここが一番感動したところでございます。
 そして今回は、19歳から59歳を演じるので、たくさんかつらを被ります。チラシを配ってもどこにいるのか分からないと言われたりもしておりますが、楽しい現場、そして良いお芝居ができるように頑張ります。よろしくお願いいたします。


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風間杜夫: この作品には2009年と2011年での劇団新派の公演に出演させていただき、私にとっても思い出深い公演です。今回は伯父の章介役で出演させていただきます。前回の公演には高橋克実さんが演じる英二役で出演させていただきました。今回、克実さんは文学座の北村和夫さんのお芝居を盗んでいるようでこれからの稽古が楽しみです。南座は中止となりましたが演舞場の公演は行うと聞いた時、役者をやっていて良かったと思いました。こんな状況ではありますが皆様のお力を借りて一席でも多くお客様に来ていただきたいと願っております。


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【会見レポート】

明治・大正・昭和を生きた布引けいと同様に、大竹さんも昭和・平成・令和と3つの時代でご活躍されましたが、ご自身にとってそれぞれどのような時代でしたか?

大竹しのぶ: 役者という仕事をしてきたので、どの時代も作品と共に生きてきたと思います。16歳から演じるということをしているのですが、その頃に演じた自分のトーンがよみがえってきたりして、不思議なものだなと思いますね。令和という時代は、どこに向かっていくのかとても不安です。娯楽は(休業要請が)解除されるのが一番最後だったりしましたが、演劇は絶対に滅びないことを信じて頑張ってきた半年間だったと思います。


俳優の皆さんもこの半年間は経験したことのない期間だったと思いますが、それぞれどのように過ごしていましたか?

大竹しのぶ: 4月の舞台がゲネプロの直前までいって中止になってしまい、あの時の喪失感と言いますか、こんなに面白いお芝居や舞台セットを見てもらえずに散っていくという悲しさは一生忘れられないものでした。その後から自粛期間に入って、私は息子と一緒に暮らしているので、ただ日常を熟していました。

風間杜夫: 私は落語をやっておりますので、いくつかの公演は延期や中止になりました。ほとんど家から出ない生活でしたが、体がなまってはいけないということで、ウォーキングを始めました。がっつり食べて、昼寝をして、夕方起きて散歩という規則正しい生活をしていたら、見事に太りましたよ(笑)。一度ついた肉は中々落ちないですが、今回演じる章介おじさんは痩せる必要はないので、青年を演じる(高橋)克実さんのほうがご苦労されると思います(笑)。


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段田安則: 私は2月に東京で公演をしていたのですが、その大阪公演がなくなり、その後も2作品ほど中止となり、ほとんど家におりました。中止になった舞台がやりたかったという気持ちもあるのですが、演劇や映画やドラマは生きていくのには必要ないんじゃないかと考えたりもしました。でも反対に、命がけでやるものでもあるという、両方の面を持っているのが良いなと気づいたり……。エンジンは全開ですので、大丈夫です。

高橋克実: お芝居ができない喪失感に駆られつつも、毎日情報番組で司会をしていたので、忙しかったですね。


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演出の段田さんにお伺いです。登場人物だけでなく日本という国の在り方が描かれていると昨品ですが、演出のポイントはありますか?

段田安則: 明治の満期から終戦までの40年間を描いておりますので、日本も一番状況が変わった時代ですし、当時の人物の動きや空気は活かさなければいけないですね。人間の本質は明治も今もそんなに変わっていないと思います。時代の変遷がとてもよく描かれている作品で主人公のけいの変わり具合と時代の流れがマッチしているとも思いますね。


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今まで一つの役を若い頃から晩年まで演じる機会が多かったですが、今回と共通することはありますか?

大竹しのぶ: 若い頃は晩年のことが分からなかったですが、年を重ねてきて分かるようになってきました。だから今まで演じられてきた方はこの芝居を何回もやりたくなったんだと思います。役者としてその役の一生を演じることができるのは楽しいですね。


布引けいに共感できるところは?

大竹しのぶ: 一生懸命生き抜いたというところに共感できます。そういう方は今の時代にもたくさんいらっしゃると思います。けいの台詞にある「誰が選んでくれたのでもない、自分で選んで歩きだした道ですもの」という考え方は好きだし、私はそう思って生きてきました。


杉村春子さんが演じていた役をやることに対しての気持ちをお聞かせください。

大竹しのぶ: 私は杉村さんの『女の一生』の舞台を残念ながら実際には観ることができなかったので、どのように演じていたのか分かりません。なので、あまり意識しないで私なりの布引けいを演じなければいけないと思っています。ただ、杉村さんが演じていたものなので多少のプレッシャーはあります。杉村さんは当時演じていた時に立つこともできないくらい体調が悪かったようですが、台詞をいう際はピシっとされていてすごいと思いました。


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『女の一生』


◆ あらすじ
 明治38年(1905年)日露戦争の後――日本がようやく近代的な資本主義国の姿を整え、同時にその動向が世界の国々と絶ちがたく結び合い、影響し始めた時代。戦災孤児の境涯にあった布引けい(大竹しのぶ)が、不思議な縁から拾われて堤家の人となったのは、そんな頃である。
 清国との貿易で一家を成した堤家は、その当主はすでに亡く、後を継ぐべき息子たちはまだ若く、妻のしず(銀粉蝶)が義弟・章介(風間杜夫)に助けられながら、困難な時代の一日一日を処していた。甲斐甲斐しい働きぶりを見せるけいは、しずに大変重宝がられた。同時にけいと同様に闊達な気性の次男・栄二(高橋克実)とも気性が合い、お互いにほのかな恋心を抱くようになった。
 そのけいの思慕とは裏腹に、しずは跡取りであるべき長男・伸太郎(段田安則)の気弱な性格を気がかりに思い、気丈なけいを嫁に迎えて、堤家を支えてもらうことを望んだ。しずの恩義に抗しきれなかったけいは、伸太郎の妻となった。
 けいは正真正銘堤家の人となり、しずに代わって家の柱となっていく。担い切れぬほどの重みに耐えながら、けいはその「女の一生」を生きるのである。
 時は流れて昭和20年……。二つの大戦を経る激動の時代を生きて、今、焼け跡の廃墟に佇むけいの前に、栄二が再び戻ってきた。
 過ぎ去った月日の、激しさと華やかさを秘めて、二人はしみじみと語り合うのであった……。

 【公演情報】

◆ 公演名: 『女の一生』
◆ 作: 森本 薫
◆ 補綴: 戌井市郎
◆ 演出: :段田安則
◆ 出演: 大竹しのぶ、高橋克実、段田安則、宮澤エマ、多岐川華子、服部容子、森本健介、林 翔太、銀粉蝶、風間杜夫

◆ 公演日程:【新橋演舞場】〒104-0061 東京都中央区銀座 6ー18ー2
 2020年11月2日(月) 初日~26日(木) 千穐楽

◆ 主催・製作: 松竹

松竹ホームページ: shochiku.co.jp (外部サイト)




(オフィシャル素材提供)



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