このサイトをご覧になるには、Windows Media Playerが必要です。
Windows Media Playerをダウンロードする
2009-06-01 更新
黒沢 清監督
主催:映画館大賞実行委員会
映画館大賞HP
http://eigakantaisho.com(外部サイト)
3月31日に、北は北海道から南は沖縄まで、全国の独立系映画館110館の投票による2008年度の「映画館大賞」のベストテン作品が発表された。5月22日~29日にはユーロスペースにて、上位作品の中から選りすぐりの5本と特別部門からの2本、あわせて7本のベストセレクション作品をトークイベントつきで特集上映した。
5月25日(月)夜には映画館大賞で第5位となった『トウキョウソナタ』の黒沢 清監督がトークイベントに登場! 人気の黒沢監督だけにいつもより若い女性の多い観客を前に、全国の映画館スタッフから届いた質問に、思いを交えて語ってくれた。
「僕が映画を撮り続けている理由は……」黒沢 清監督
「『トウキョウソナタ』を初めて一般の方に観ていただいたのは、去年のカンヌでしたから、出来上がってから1年間この映画と一緒にやってきましたね。もうDVDも出ているのに、劇場に観に来て下さってありがとうございます」と丁寧な挨拶から始まったトークイベント。
2008年のベスト映画は?
「デヴィッド・クローネンバーグの『イースタン・プロミス』です。それとあまり情報を知らずに観に行った『クローバーフィールド』がとても良かったです。それから『TOKYO!』。中でもレオス・カラックスの『メルド』はものすごく面白かったですね」。
ここで映画を撮りたいな、と思う場所はどこですか?
「日本だと函館は結構好きですよ。2、3回ほど行きましたが、殺人が起こりそうな雰囲気があります。函館の方にそれを言ったら“でしょ?”と言われましたよ(笑)。表面はきらびやかですが、さびれた場所も残っていたりして、とてもいい感じがします。表の面と裏の面が隣り合っていて、一歩通りを隔てると様相が変わるところが、映画になりそうな感じがしますね」。
映画館体験について
「昔は、2本立てがあってこっちがメインのつもりで行ったらもう1本が良かったというようなことがよくありましたね。たった1回しか観ていなくても鮮明に覚えている映画というのもあって、それだけ集中して観ていたんだと思います。僕にとってはベルトルッチの『暗殺の森』がそうで、カット割りからなにから全てを覚えていましたね。20年くらいたってリバイバル上映でもう一度見直したときに、本当に覚えていたとおりで驚いたくらいです」。
なぜ僕が、映画を撮り続けているかというと……
「いまだかつて誰も見たことがない映像を撮るのは難しいですが、可能な限りそういう映像を撮れたらと頑張っています。観る人が“こんな映像見たことがない!”と驚く瞬間というのは、僕にとって映画の基本ですね。それがあるから映画って面白いし、撮っていてワクワクします。観る時も、そんな瞬間に出会えると本当に幸せを感じます。(『トウキョウソナタ』を観る人に)東京に住むごく普通の人々のごく普通の物語ではあるのですが、ところどころハッと驚く瞬間があるはずなので、そういう瞬間が来るのを楽しみにしていてください。そして“こんなカットよく撮れたな”と呆れてくれたらうれしいです」。
短い時間だったが、黒沢監督の映画愛を感じる温かなトークイベントだった。
(オフィシャル素材提供)
関連記事