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インタビュー

トップページ > インタビュー > 『子猫の涙』藤本七海 単独インタビュー

藤本七海 単独インタビュー

2008-01-25 更新

森岡栄治さんはいい加減に見えて、実は一本芯の通っている、男の中の男だと思いました

子猫の涙

藤本七海

1995年2月27日生まれ。大阪府出身。
2002年、「アイドルリカちゃんコンテスト」グランプリ受賞。CMやテレビ・映画などで活躍。2008年には数本の出演映画の公開が控えており、今後も活躍が期待される。
趣味:読書、ギター、水泳。特技:ヒップホップダンス、剣道。
主な出演作品:
映画『落語娘』(夏公開予定)
  『カンフーくん』(3月29日公開予定)
  『奈緒子』(2月16日公開予定)
  『宇宙エレベーター~科学者の夢見る未来~』(07)
  『みづうみ』(06)
ドラマ「いのちのいろえんぴつ」(ANB、来春放送予定)

配給:トルネード・フィルム
1月26日(土) 新宿ガーデンシネマ、渋谷シネ・アミューズ、ユナイテッド・シネマ豊洲ほか全国ロードショー
(C)2007「子猫の涙」製作委員会

 昭和43年、メキシコ・オリンピックのボクシング・バンタム級で銅メダルを獲得した伝説のボクサー、森岡栄治。破天荒に生きた実在のボクサーとその家族の日々を、大阪を舞台に、栄治の甥、森岡利行の監督・脚本で映画化した『子猫の涙』。どん底にありながらも、不幸を笑い飛ばすように生きる浪速の人々の姿が生き生きと映されている本作は、日本映画エンジェル大賞を受賞、第20回東京国際映画祭「日本映画・ある視点」にも公式出品され、特別賞を受賞している。
 本作で、親父のダメっぷりに憤懣やるかたないしっかり者の娘・治子を見事に演じきり、今後も出演作が続々公開予定にあるキュートなティーン女優、大阪出身の藤本七海に話を聞いた。

-----大阪のご出身ですが、やはり大阪は居心地がいいですか?

 そうですね、人が温かいので居心地がいいです。普段は大阪弁で話しているんですけど、東京に来ると標準語になります。標準語もそんなに違和感はないですよ。お母さんと話していると大阪弁になっちゃいますけど(笑)。

-----今日はオーディションがあって、東京に来られたそうですね?

 はい。オーディションは少し緊張するけど、楽しいです。今日のオーディションは学園ものだったので、余計に楽しかったですね。

-----『子猫の涙』のオーディションはいかがでしたか?

 オーディションは監督とプロデューサーさんたちがいらして、一人でやりました。まだ準備稿だったんですけど、本読みをしたり、質疑応答をしました。
 初めて本格的な映画だったのですごく緊張しましたね。でも、周りの皆さんがとても優しい方たちばかりだったので、現場は楽しかったです。

-----今回は大阪が舞台ということもあって、やりやすかったですか? 治子と似ている部分はありましたか?

 ええ、演じやすかったですね。治子はすごく感情豊かな子なので、似ている部分、共感できる部分は多かったです。喜怒哀楽が激しいのも似ているなと思いました。

-----出てくる男の子たちは結構、ヘナチョコでしたね(笑)。実際に周りにいる男の子たちはどんな感じですか?

 クラスの子たちはほぼ全員、「お笑い芸人になりたい」って言ってます(笑)。クラスは笑いに溢れかえってますね(笑)。楽しいです。みんな、吉本に入りたいって言っていますよ。それから「ホームレス中学生」(註:麒麟・田村裕 著、ワニブックス)って本が出たじゃないですか。「俺も本出そうかな~」とか、みんな言ってますね(笑)。

-----やっぱり大阪ですね~(笑)。女の子たちはどうですか?

 中学生になったので、女の子たちは割とおとなしい子が多いです。私はどちらかというと活発で明るいほうですけど。みんなでわ~っ!としゃべるのが好きです。「男の子のほうが子供だよね~」って、みんなで言ってますね(笑)。

-----カッコいい先輩とか居ませんか?

 居ないですよ~(笑)。年上の人はあんまり興味ないんです。同世代のほうがいいかなって(笑)。

-----お仕事と学校の両立は大変ではないですか?

 大変ですけど、自分がやりたいと言ったので、それは仕方ないなと思います。寝る時間があまりないということはありませんね。朝起きるのもそんなに苦じゃないですし。撮影のため、学校を休まなくちゃならないこともありますけど、学校へ行ったらみんな、温かく迎えてくれるので、ホントに“いいクラスだな~”と思います。

-----小さな頃から女優になりたかったのですか?

 7歳で「アイドルリカちゃんコンテスト」を受けたときはお母さんの勧めだったので、まだ女優になりたいとは思っていなかったんですけど、そのCMを撮ったときに楽しかったので、それから興味が沸くようになりました。

-----今回はどんな風に役作りをしましたか?

 お芝居に関しては、監督から「ありのまま演じてくれればいい」と言われたのでそうしましたが、アクションやバレエの練習はしました。

-----アクションはすごかったですね。

 そうですね~、はじめはすごく怖かったんですけど、やっていると楽しくなってきました。広末(涼子)さんとのシーンは、はじめは躊躇しちゃって遠慮していたんですけど、広末さんが「本気出してやっていいから」と言ってくださったので、本気出しました。本当にかかっていったら受け止めてくださったので、すごくお芝居がやりやすかったです。

-----武田真治さんと広末涼子さんの印象は?

 お二人ともとても優しい方たちで、お仕事をご一緒させていただくのは初めてだったんですけど、「頑張ってね」などと言ってくださったり、いろいろとアドバイスもしてくださって、本当に楽しかったですね。武田さんはちゃんと体を作られていて、本当の森岡栄治さんみたいで、俳優さんとしてすごいなと思いました。もっとクールなのかと思っていたんですけど、とてもおもしろい方で、弟役の子と私をいつも笑わせてくれましたね。本当の家族のようになれました。広末さんは四国の方なんですけどすごく関西弁がお上手で、お芝居に対しても熱い方だったので、勉強になりました。

-----弟役の子はどうでしたか?

 すごく可愛くて、“天てれ”(NHK教育「天才てれびくんMAX」)を見てくれていたんですよ。いつも、「七海ちゃん」とか「お姉ちゃん」とか呼んでくれて、本当の弟みたいに可愛かったです。撮影が終わって別れるとき、「もうこれでおしまいだね」と言ってもあまりよく分かっていなくて、明日また会えると思っていたみたいで、「えぇ~、そうなの~?」と言われてすごく寂しかったです。

-----おじいちゃん役の喜味こいしさんも素敵でしたね。

 そうなんです。喜味こいしさんのこと、実は私は存じ上げていなかったんですけど、私のおじいちゃんやおばあちゃんが共演をすごく喜んでくれました。本当に優しいおじいちゃんという感じで、とても良い方でしたね。いろいろな話をしました。お笑いについても教えてくださいましたし、お昼も一緒にお弁当を食べたり、優しかったですね。

-----今回、演じていて大変だったことはありますか?

 初めての本格的な映画だったし、お芝居を本格的にするのも初めてだったので、緊張が一番大きかったですね。

-----楽しかったシーンや大変だったシーンは?

 アクション・シーンが一番楽しかったです。大変だったのはバレエのシーンで、うまく回れなくて、でも出来たときには涙がこぼれるくらいうれしかったです。かなり練習しました。

-----ヒップホップダンスはやっているんですよね?

 でも、ヒップホップとバレエは全然違っていて、新たな発見でしたね。自分にはヒップホップのほうが向いていると思いましたけど。ヒップホップは小学3年生くらいのときからやっています。でも、今は忙しくてなかなか行けないんですよね。

-----音楽もヒップホップが好きなんですか?

 そういうアップテンポの音楽も好きですけど、普通のしんみりした曲も好きです。よく聴くのは、Exileですね。

-----今回の映画で好きなシーンは?

 広末さんとのケンカのシーンで、広末さんが私に覆いかぶさって「あんただけが辛いんじゃない。みんな苦しいんや」と言うところが一番好きですね。広末さんはご自身にも問いかけているようなお芝居をされてました。“こういうお芝居のやり方もあるんだ”って影響を受けましたね。

-----監督もコテコテの大阪人ですよね(笑)?

 はい(笑)。出身地も一緒なんです。すごく優しくて面白い方でした。

-----大阪が舞台でも少し昔の雰囲気ですが、今の雰囲気とは違っていましたか?

 そうですね。ファッションもメイクも違いますし、セットも違いますけど、あまり違和感はなくて、役にもすぅ~っと入れました。人の感じはそんなに変わっていませんし。

-----関西の人は、辛いことがあっても笑い飛ばすようなイメージがありますね。

 ええ、強がりな人は多いですね。私自身もすごく“関西人だな~”って思います。人が笑っているのを見るのが一番好きなので、つい場を盛り上げようとしたりするところは、やっぱり大阪人だなって。

-----森岡栄治さんは、映画の中ではいい加減なしょーもない男でしたが、憎めないですね。

 そうですね。でも、いい加減に見えて、実はいい加減じゃないと思いますよ。本当に芯が通っている男の人だなと感じました。私もこの映画で初めて、森岡栄治さんという方を知ったんですけど、一本芯の通っている男の中の男だなという気がしました。カッコいいです。今、なかなかいないタイプの男の人だと思うので、いいな~って(笑)。

-----完成した映画を観て、どんな印象を受けましたか?

 撮ったのはだいぶ前だったので、自分が幼く見えました(笑)。本当に素敵な作品に関われたなという感謝の気持ちでいっぱいでした。東京国際映画祭で上映したときにお母さんと一緒に観たんですけど、皆さんすごく笑っていて、“あぁ、良かったな~”と思いましたね。大阪でもやってほしいです。同級生の子たちにも観てほしいし、大人の方たちにも観ていただきたいなと思います。

-----『子猫の涙』というタイトルについては、その意味を考えましたか?

 友達には「猫の映画なの?」と聞かれましたね(笑)。タイトルの意味、よく考えるんですけど、まだ未解読です(笑)。

-----私は“子猫”って治子のことかなと思いましたけどね。

 私は、ここに出てくる女性みんなのことかなと思って。治子もそうですし、裕子も和江も加代子も含め、女の人たち全員のことのように思えましたね。今度、監督に聞いてみます。

-----本を読むのがお好きだそうですね。特に好きな作家は?

 重松 清さんが好きです。「くちぶえ番長」とか。一番感動したのは「青い鳥」です。本を読んで初めて泣きましたね。最近では「ホームレス中学生」を読みましたけど、これも感動しました。

-----学校の勉強で好きな教科は何ですか?

 国語が一番好きです。苦手なのは数学ですけど、頑張りたいな~とは思ってます(笑)。

-----女優以外でやってみたいことはありますか?

 小さいときは、お花屋さんやケーキ屋さんをやってみたいと思っていましたけど、今は女優以外は考えられないですね。はじめはお母さんに勧められてやりましたけど、今はすごく楽しいですし、自分に向いているかどうかは分からないですけど、このお仕事が大好きなので、続けていきたいなって思います。

-----今後は、映画『カンフーくん』や『奈緒子』も公開されますね。それぞれの現場はいかがでしたか?

 『カンフーくん』では泉ピン子さんがおばあちゃん役でしたが、お芝居に対してすごく厳しくて、本当にお芝居が大好きなんだなと感じましたし、吸収するものがたくさんありました。
 『奈緒子』は海で溺れるシーンがあって、私は泳げなくてプールも怖かったくらいなんですけど、泳げなくちゃまずいということで、撮影に入る前に1ヵ月、特訓しました。実はオーディションのとき、泳げなかったのに「泳げる」と言っちゃったんですよ(笑)。後から本当のことを打ち明けましたけど。嘘ついて反省してます(笑)。でも、古厩(智之)監督が私を選んでくださった以上、それに応えられる演技をしなくちゃいけないなと思ったので、一生懸命練習しました。今では、クロール、平泳ぎ、背泳ぎで25メートル泳げます。撮影が終わった後、監督が「七海を選んでよかった」と言ってくださったので、すごくうれしかったです。
 運動神経はあまり良くないんですよ。跳び箱も飛べないし、縄跳びも出来ないくらいで。でも、泳げるようになったのも努力したからで、努力したら出来ないことはないんだなと思いました。

-----今回の映画では、ボクシングの形(かた)もちゃんとキマっていたので驚きました。女の子は案外できないものですよ。

 ボクシングは森岡監督に教えていただきました。トレーナーの方もいらしたんですけど、森岡監督は栄治さんの甥ごさんなので、よく分かっていらしたんですよね。

-----森岡さんの娘さんや親族の方と会ってお話しする機会はあったんですか?

 電話でお話ししました。「頑張ってね」と言ってくださいましたね。実は、亡くなったおばあちゃんの遺影に森岡治子さんの写真が使われているんですよ。

-----尊敬されている女優さんは、吉永小百合さんと黒木 瞳さんだとか?

 そうですね。でも、どの女優さんも皆さん魅力があると思います。竹内結子さんも好きです。一緒にお仕事させていただいたことがあるんですけど、女優さんとしてのオーラがすごくありますし、気配りの仕方とかにも心打たれました。広末さんも、今回の撮影が終わったときにお手紙をくださって、「七海ちゃんが治子で本当に良かった」と書いてくださったのが本当にうれしくて、こういう女優さんになれたらいいなと心から思いました。

-----オフのときはどんな風に過ごしますか?

 お母さんとお買い物に行きます。お買い物が大好きなので。特に服を見るのが好きです。最近では、豹柄の服が流行ってるというので買いに行きましたね(笑)。

-----これから映画をご覧になる方々に、メッセージをお願いいたします。

 1月26日から『子猫の涙』という映画が公開されます。本当に素敵な作品なので、ぜひ劇場まで足を運んでください。よろしくお願いいたします。

ファクトリー・ティータイム

映画に出演しているときよりも少し大人っぽくなった七海ちゃん。長い黒髪が美しく、ハッとさせられるほど愛らしい。今回ヒロインに抜擢されただけある演技力にも感心させられたが、中学生になったばかりだというのに、その話しぶりも演技に対する考え方もしっかりとしたもので、日本映画で主役を張る大きな女優さんに成長していく予感がした。たくさん本を読みよく勉強して、人間的な深みのある大人になって、良い芝居を見せ続けてほしい。
(文・写真:Maori Matsuura)


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