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『ひらいて』公開記念舞台挨拶

2021-10-25 更新

首藤 凜監督×北條誠人(ユーロスペース)

ひらいてhiraite ©綿矢りさ・新潮社/「ひらいて」製作委員会
配給:ショウゲート
全国公開中

 芥川賞作家・綿矢りさの原作を実写映画化した『ひらいて』の「公開記念舞台挨拶」が、10月23日(土)に新宿ピカデリーにて開催され、主演の山田杏奈、作間龍斗(HiHi Jets/ジャニーズJr.)、芋生 悠、首藤 凜監督が揃って登壇した。


 全国62劇場の映画館で生中継された当日の舞台挨拶。遂に22日(金)に公開初日を迎え、主人公の愛を演じた山田が「本日はお越しいただきありがとうございます。映画はいかがだったでしょうか?」と満席の会場の観客へ呼びかけると、大きな拍手が送られた。続いて、愛に激しく恋焦がれられるたとえ役を演じた作間は、「映画をご覧になって、おそらく“たとえ”君と全然違う自分だと思うんですが、ここに立っているのはジャニーズ事務所からきました作間龍斗です(笑)。今日はよろしくお願いします!」と笑顔で挨拶。たとえの秘密の恋人・美雪役を演じた芋生は「昨日初日を迎えて、今日もこんなにたくさんのお客さんが入ってくださって嬉しく思います」と語り、首藤監督は「観ていただく前だと気負わずに話せるのですが、観ていただいた後だと全部さらしてしまったというか、劇中の愛じゃないですけど全部服を脱いでからまた着て出てきたような不思議な気持ちで立たせていただいています(笑)」と笑顔で挨拶した。

 「この作品を撮るために映画監督になった」と公言している首藤監督だが、遂に公開を迎え「原作を読んだのが17歳の時で今は26歳になっていて、当時恋愛というのは好きな人に好かれることという価値観の中で生きてきたんですけど、3人のとてもいびつな三角関係に出合って感銘を受けた作品を、こうして観ていただけてとても嬉しいです」と明かし、「自分にとっては救われた作品」とも以前語っていたが、「それぞれの不思議な関係というのが人生でいろいろなことが起きる前だったので、いつか自分にもこういうことが起こるかもしれないという予感のような感覚を受けて……本当に今日まで生きてこられた理由の一つだと思っています」と語る。


hiraite

 非常に難しい役となった主人公の愛だが、演じた山田は「私自身、愛というキャラクターをなかなか理解できない部分もあったんですけど、ただ愛のパワーの強さみたいなのはすごい面白いなとお芝居していました」と撮影を回顧。さらに愛に対しては「羨ましい部分はあります。あそこまで思いきって行動できたらなとか、ごみ箱を投げるシーンとかすごい楽しくて(笑)。私は絶対投げられないから、ごみ箱をあのように投げる人とか面白いなって思ったり、羨ましくもあり、でも近くにいて欲しくないなとも思いつつ、映画の中で愛は人間臭くて、素敵なキャラクターだなと思いました」と心境を語った。


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 また、寡黙なたとえ役を演じた作間は「僕自身、第一印象はたとえ君みたいなクールな寡黙な感じだと思ったんだけど、しゃべってみるとぶっ飛んでるねと言っていただくことが多かったので、中身の作間を封印して、佇まいだけの作間で挑んでいました」と役作りについて語る。さらにオーディションで決まった美雪役の芋生は「美雪という役を私が出来るかという不安があったのですが、監督が選んで下さって、それに応えられたらいいなというのがまずあって、嬉しさと同時に不安もありつつ。美雪はミステリアスで透明感があってという印象だったんですけど、やっていく中で美雪の人間味が増していってどんどん好きになりました」と述懐した。


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 まさに正反対の2人に愛されるたとえだが、作間自身「すごいところにたとえ君は立っていますよね。僕自身たとえ君がそんな状況にいるのも羨ましいですけど、まぁちょっと大変そうですが……2人と接する時は全然違う人になっているんだろうなと感じながらやりました」と語り、愛に対してかなりきつい言葉を言い放つたとえについては「なかなか苦しかったですね。普段はあんまりしゃべらないが、本当に伝えなきゃだめだなっていう時に結構エグい『貧しい笑顔だね』に始まり……あそこは作間自身も結構苦しみながらやっていました」と語る。その部分だけは作間から監督にセリフの変更の提案があったといい、「あの言葉が結構苦しくて……言っている僕自身泣きそうになってきたので『さすがにちょっとだけ変えてみてもいいですか?』と提案させていただきました」と当時を振り返った。


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 愛と美雪の関係も複雑だが、芋生は美雪について「愛を哀れむことはしたくないというか、哀れみというより一番近くに愛がいたし、一番近くで愛と触れ合っていたから、私が愛ちゃんのことを一番分かっているという愛情だと思う。一番深い愛を愛ちゃんに対して持っているなと」感じたと語る。そんな芋生については、作間も「本当に優しい雰囲気を現場中にばらまきまくっていて、美雪がいる現場の日は、こういう感じ(笑)。ふわふわーっとした感じで、本当に助かっていましたね。忙しいスケジュールだったので、芋生さんの存在はすごく助かりましたね!」と現場の癒やしだったと語った。

 また、山田について首藤監督は「山田さんは最初から愛のことが分からないというところで苦しんでらっしゃいましたし、直接ぶつかることはなくても、静かに駆け引きみたいな闘っている感じだったんですけど、途中から分からないことを受け入れてくれたような気がして、そこからは分からないままやっているというのがモニターを見ていてもこんな顔なんだとか、新しい表情が見られて嬉しかったです」と語る。いっぽう作間は、本読みの時に首藤監督に、地味な高校生ということで猫背で意識して歩いてみてと言われたと言い、「そこから私生活を猫背にして過ごしてみたんですけど、今見事に猫背になったんですよ(笑)。完璧な猫背で、最近もう首とか痛めるくらいの猫背になってたんですけど」と会場を笑わせた。さらに芋生について首藤監督は「私が原作の美雪がすごく大好きで、自分の憧れの好きな女の子という枠に当てはめてしまうのがすごく恐かったんですけど、芋生さんとお会いしてから具体的に見えてきて。芋生さんは本当に演じることにストイックで素敵な女優さんなので、一つひとつの衣装選びから髪型選びまで、細かくディテールを美雪として膨らませて相談していくという時間があって、とても頼りにしている存在でした」と語ると、芋生も「首藤さんとはすごく姉妹みたいで距離感が近くて。美雪って愛ちゃんのことを考えている時間が長くて、現場に入ると自分のことをあまり考えていなくて、監督も私もずっと愛ちゃんのこと考えていました」と話す。芋生は山田との共演は、今作が3回目。「信頼関係があって、2人で向き合っている時間というのは本当に嘘が無くて。全力でぶつけてくれるから、それが嬉しかったし幸せでした」と振り返る芋生。また「現場自体はずっと愛が大変という感じでしたよね」と首藤監督が語ると、山田も「愛が本当に大変過ぎて……」と吐露し、監督が「よく演じ切っていただいて、嬉しいです」と心からの言葉で伝えると、山田も「ありがとうございます」と安堵の笑顔を見せていた。

 最後に、芋生が「いろいろな人たちが観てくれて、皆さんの感想があると思うんですけど、自分のことが好きになれなくて迷っている人とかに観てもらって、自分のことを肯定してもらいたいし、大丈夫だよって伝えられるような作品になっています。いろいろな方に勧めていただきたいなと思います」とメッセージを贈り、作間も「作品としていろいろなものをもらえる、人生がまたひとつ豊かになる作品なので、たくさんの方に観ていただけたら」と呼びかけ、山田は「昨日公開になって、すごくエゴサしているんですよ(笑)。すごく思い入れのある作品になっていて、闘った記録みたいなものを一人ひとりが感じていただけたらすごく幸せだと思います」と語り、首藤監督も「映画をご覧になっていろいろな気持ちになった方がいらっしゃると思うんですけど、私が原作を読んだ時に、愛・たとえ・美雪の3人に出会えて嬉しかったんですが、今回3人に出会いなおすことができて、本当によかったなと今思っています。映画を観て、いろいろな想いを持っていただけたら幸いです」と笑顔で語った。



(オフィシャル素材提供)



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