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『コンプリシティ/優しい共犯』
日本外国特派員協会記者会見

2020-01-17 更新

藤 竜也、ルー・ユーライ、近浦 啓監督

コンプリシティ/優しい共犯complicity 配給:クロックワークス
新宿武蔵野館にて公開中ほか 全国順次公開
© 2018 CREATPS/MYSTIGRI PICTURES

 本日より新宿武蔵野館にて公開中ほか全国順次公開の近浦 啓監督長編映画デビュー作『コンプリシティ/優しい共犯』。1月15日(水)、主演のルー・ユーライ、藤 竜也、近浦 啓監督が日本外国特派員協会の記者会見に登壇した。本作で、監督とキャストが揃って登壇するイベントは今回が初であり、多くの記者たちを前に本作に込めたメッセ―ジなどを語った。


 上映後、大きな拍手が沸き上がる中、登壇した近浦監督は「劇場配給が決まってもないのに、日本でも海外でも上映できるような作品にします、という僕を信じて集まってくれたスタッフとクルーに感謝します。そしてその約束が果たせました」と日本での公開を噛み締め、「トロントやベルリンの映画祭で選んでくれたことも大きくて、深く感謝しております」と挨拶。それを聞いて「(公開まで)ずいぶん長かったですね。おめでとうございます。脚本を読んだ時に力があったから、こういうことになると信じていた。そういう脚本だった」と藤は絶賛。

 主人公の青年チェン・リャン演じた主演のルー・ユーライも公開に先駆け、日本に来日。「僕自身も監督をしているので分かるが、大変な撮影だったと思う。しかし監督は信念をもって一歩ずつ完成させていた」とその手腕に触れ、「(本作の撮影を通して)藤 竜也さんと共演できたことは大切な思い出です」と憧れの藤を前に微笑んだ。

 「日本にいる移民のコミュニティを描きそのディテールの細かさに驚いた。自身の経験をどのように生かしたのか」との記者から質問に、近浦監督は「2014年にベトナム人の技能実習生がヤギを殺して食べたというニュースに衝撃を受け、そこから取材に1年半かけた」と明かした。蕎麦職人の弘を演じた藤には、蕎麦作りについての質問が飛び、「撮影前に本物の蕎麦職人に弟子入りし70キロ以上分の蕎麦粉を打ちました。職人になってしまえば、それでいいんです。田舎の蕎麦職人になって、ユーライさんが演じ悲しい外国から来た人間に対して、こんな遠くにきて働いてくれてありがとうっていう感謝の気持ちになりました」と徹底した役作りを明かすと、近浦監督も「本物の蕎麦職人たちも藤さんの蕎麦打ちの音が本物だったと認めていました」と本格的な役作りを絶賛。ルーも「蕎麦作りを通して藤さんと繋がりを感じました。藤さんが蕎麦を打つ姿はオーラがあって、本当の父の様に感じました」と述べた。

 ルー演じるチェン・リャンが中国で暮らしていた時のシーンは、中国で5日間にわたって撮影が行われた。ロケ地を見つけるのに苦労したようで、「共にプロデューサーを務めた中国の映像作家フー・ウェイの協力が大きかった」と話し、現在、中国での公開も視野にいれていると明かした。

 映画を鑑賞した記者からは「家族の絆を強く感じた」という感想が飛び、「この映画は移民について社会問題についての映画ではなく、一人の青年が異国の地に来て何人かの大事な人々と会う、そういった物語です。あくまで社会問題は設定であって、2010年代の日本に生きている中国人の青年とそれを迎え入れる蕎麦職人、彼らが家族のような関係になっていく、それは僕にとって大切な描く対象でした」と近浦監督。ルーも「見知らぬ二人が出会い関係を築くそういった様を描いている。やはり人生はどういった人と出会い、その出会いがどのようなものをもたらすのかつくづく分からないものだなと感慨深い気持ちです」と続けた。

 最後に、公開を間近に控え「ずいぶん長かった。公開まであと2日。裁判所に出る被告のような気分です」と藤が笑いを誘い、終始あたたかい雰囲気に包まれた記者会見は幕を閉じた。




(オフィシャル素材提供)



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