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舞台挨拶・イベント

トップページ > 舞台挨拶・イベント > 『デヴィッド・リンチ:アートライフ』公開記念イベント

『デヴィッド・リンチ:アートライフ』
公開記念イベント

2018-02-12 更新

手塚 眞(ヴィジュアリスト)、松崎健夫(映画評論家)

デヴィッド・リンチ:アートライフartlife

配給・宣伝:アップリンク
新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか公開中
© Duck Diver Films & Kong Gulerod Film 2016

 デヴィッド・リンチ監督の創作に迫るドキュメンタリー映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』の公開記念トークイベントが行なわれ、ゲストは映画『星くず兄弟の新たな伝説』の監督で、ヴィジュアリストの手塚 眞氏、聞き手に映画評論家の松崎健夫氏が登壇。リンチについて、また自身の映画作りについて熱いトークが繰り広げられた。

 本作は、映像作品のみならず、絵画、写真、音楽など様々な方法で表現活動を続けているデヴィッド・リンチが、美術を専攻した学生時代の「退屈」と「憂鬱」、悪夢のような街フィラデルフィアでの暮らし、そして長編デビュー作『イレイザーヘッド』に至るまで自ら語ったドキュメンタリー映画。

 本作の感想を聞かれた手塚氏は「リンチの学生時代の友人としてジャック・フィスクが出てきて感動しました! 彼は『ファントム・オブ・パラダイス』やテレンス・マリック監督の美術監督で、リンチとは学生時代に途中で袂を分かつんですよね。その後フィスクは世界的に活躍し、『キャリー』のシシー・スペイセクと結婚しちゃったりする(笑)。リンチが『イレイザーヘッド』を撮っていた頃、フィスクはもちろん、それまでの仲間たちがもう既にバリバリ活躍していたはずだから、リンチは相当口惜しさがあったんじゃないかな」と分析。

 それに対し「私の映像制作時代の師匠は撮影監督の栗田豊道さんなんですが、栗田さんがちょうどリンチと同じころAFI(アメリカン・フィルム・インスティチュート)に通っていて、聞いた話だと“デヴィッド”とかいう変人が卒業もせずにずっと映画を作っていると。それが後の『イレイザーヘッド』だったそうです」と松崎氏もリンチの学生時代について語った。

 また松崎氏は、「本作が『イレイザーヘッド』で終わる、ということをどう思いますか」と質問。手塚氏は「少年時代とか、監督デビューした当時の話など、そのところがリンチにとって“良き思い出”になっているからでしょうね。むしろ『イレイザーヘッド』から後の話はまだ語り切れない、時間が経たないと話せないものがあるのではないんでしょうか。その気持ちは僕もよく分かるんです」答えた。

 また、自著『父・手塚治虫の素顔』(新潮文庫刊)で父・手塚治虫氏とリンチについて語り合ったエピソードに触れ「父は本当に映画が好きでよく観ていたのですが、『ブルーベルベット』を観て“僕は大嫌いだ! 学生映画だ”と、怒っていました。リンチの映画は編集がすごく変わっていて、普通はやっちゃいけない手法を平気でやる。僕はそこが好きだったんですが、父には“安っぽい”と映ったようです」と話した。

 リンチと自身の共通点について聞かれると手塚氏は「全く逆だ」と述べ、「リンチは映画作家である以前からアーティスト。アートを志してその中で映画を発見していく。僕は最初から映画を撮りたくて、映画にしか興味がなかった。映画をやっていくなかでアートを見つけていった」と説明した。

 また、現在公開中の『星くず兄弟の新たな伝説』について話が及ぶと、「もともと『星くず兄弟の伝説』は、僕にとって「アクシデント」みたいなもの。近田春夫さんに頼まれて作り始めた。素人同然の人たちが集まって、さらにその知り合いなんかが出演した作品が、たまたまバブルの時代に乗っかって“商業映画”になってしまい、さらに今でいう“カルト映画”的な評価を受けた。新作ではその約30年後を描いてるわけですが、とにかく自由な作品になった。それに、リンチが『イレイザーヘッド』以降についてまだ語っていないように、僕も10年前だったら『星くず兄弟の伝説』の続編は作ってなかったし、話す気にすらならなかったと思う」と自身を振り返った。

 映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』は新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか絶賛公開中。


(オフィシャル素材提供)



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