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『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』トークイベント

2017-09-23 更新

ジャック・ドワイヨン監督

ロダン カミーユと永遠のアトリエrodin100

配給:松竹=コムストック・グループ
11月11日、新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマほか全国公開!
© Les Films du Lendemain / Shanna Besson

 “近代彫刻の父”オーギュスト・ロダンの没後100年を記念し、パリ・ロダン美術館の全面協力のもと彼の半生を描いた『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』が11月11日より新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマほかにて全国公開となる。この度、本作の公開を記念し、『ポネット』で日本中を感動に包みこんだ名匠ジャック・ドワイヨン監督が来日し、トークイベントを行った。


 今年11月に没後100年を迎える、“近代彫刻の父”オーギュスト・ロダン(1840~1917)。《地獄の門》や、その一部を抜き出した《考える人》で高名な19世紀を代表する芸術家である。彼は42歳の時、弟子入り切望するカミーユ・クローデルと出会い、この若き才能と魅力に夢中になる。本作はロダン没後100年を記念し、パリ・ロダン美術館全面協力のもと、『ポネット』(96)、『ラ・ピラート』(84)の名匠ジャック・ドワイヨンが、カミーユ・クローデルと出会ってからのロダンの愛と苦悩に満ちた半生を忠実に描いた力作だ。

 『ティエリー・トグルドーの憂鬱』(15)でカンヌ国際映画祭、セザール賞の主演男優賞をW受賞したフランスきっての演技派ヴァンサン・ランドンがロダンを演じるために、8ヵ月間彫刻とデッサンに没頭しロダンの魂までも演じきり、“ジャニス・ジョプリンの再来”と呼ばれる『サンバ』のイジア・イジュランがカミーユを好演。2017年カンヌ国際映画祭のコンペティション作品部門にてお披露目され話題となった。

 これまでに数えきれないほど日本を訪れ、今年の2月にも本作のラストシーンを飾る、箱根・彫刻の森美術館での撮影のためにも来日していた日本通のドワイヨン監督。この日も、いち早く作品を観た観客から大きな拍手で迎えられ、笑顔でトークイベントにのぞんだ。

 今回ロダンをテーマに据えた直接のきっかけとなったのは、ロダンの没後100年を記念したドキュメンタリーの制作を依頼されたことだったという。ドワイヨン監督は「現代はあまりにも娯楽的な作品が多く、アーティスティックな作品を世に送り出すことがだんだん難しくなっている。もしかしたらこれが最後の作品になるかも知れないと思ったし、ロダン自体にはもともと興味があった。機会をもらえるならば、今まで自分が描いてこなかったテーマでも、思うとおりにやってみようと考えた」と制作意図を明かした。

 ロダンについての全てを知った上で脚本を書く必要があったため、6~8ヵ月をかけ、ロダンに関して書かれたあらゆる文献を読み漁ったという完璧主義な一面も。結果的には、ドワイヨン監督なりのロダン像はフィクションとして魅力的なストーリーが膨らんでいったため、ドキュメンタリーではない形で完成を迎えることになった。「私がロダンを取り上げたのは偶然ではない。ロダンという人物は、本来であれば芸術家の道に進むことはできない貧困層出身で、いく度も美術学校に落ち、それでも数々の傑作を生み出したところにドラマを感じる。《バルザック像》によって20世紀にはみ出し、その後のジャコメッティやヘンリー・ムーアに多大な影響を与え、近代彫刻の先駆者となった。《バルザック像》はあまりに先進的だったため、さまざまな酷評を受けたが、彼のような偉大な人物について映画を作るのは、クリエイターとしては当然のことかもしれない」と熱い想いを吐露。

rodin100 さらに、ロダンと自身との共通点を尋ねられると、「ロダンについて心打たれるところは、いきなり石を掘り出す直感の人ではなく、粘土をこれでもかというくらい捏ねて、考え、答えを見つけていくところ。時間をかけて自分の望む形を探し続けていく。例えば《カレーの市民》は5年、《バルザック像》は7年もかけて完成させた。ロダンが準備習作を重ねるように、映画作家である私もまた、1シーンを撮るためにテイクを重ねて「これぞ!」というものを探していく。たとえ自分が脚本を書いていたとしても、いざ俳優たちとの撮影が始まるまではどんなふうになるのかまったく分からない。素晴らしいシーンというのは、向こうから私のほうへやってくるようなものだ」と回答。「それにしても、ロダンは本当の《バルザック》に至るまで7年かけたのに、私は1シーンに1日しかかけられないのはちょっと不公平だけどね」とジョークもまぜ、お茶目な人柄で会場を和ませた。

 日本でも大ヒットを巻き起こした、ドワイヨン監督作『ポネット』(96)から約20年。ドワイヨン監督が思う理想的な仕事とは、「俳優たちと関わり、彼らが最も良い演技ができるように環境を整えること」という思いは一貫し変わらない。「相手が4歳の女の子でも大人の俳優でも、基本的に監督が与えられた役割は同じ。1ショットがどんどん長尺になっていったり、テーマは時代によって絶えず変わっていったりはするけれど、今自分がやりたいという仕事が“最善”なんだと思う。私の中では『ロダン』も『ポネット』も、その理想に向かう姿はさほど変わらないのかもしれない」と独自の仕事観を語り、ファンを楽しませた。

 映画『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』は11月11日、新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマほか全国公開。


(オフィシャル素材提供)



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