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『桃とキジ』単独インタビュー

2017-09-03 更新

甲本雅裕


桃とキジmomotaro-kun
© 2017「桃とキジ」製作委員会
配給:ベストブレーン


 「桃太郎」ゆかりの地・岡山を舞台に桃太郎の物語や伝説をモチーフに描いたハートウォーミング・ストーリーな映画『桃とキジ』が9月9日(土)よりシネマート新宿にて他全国順次公開する。主人公に親子の絆を思い出させる亡き父親役を演じた甲本雅裕に作品にまつわる話や、俳優としての心構えなどを話してもらった。


甲本雅裕、自然体の役者魂 「次はどんな役が来るんだろう?」


 本作は、幼いころに「桃太郎」を演じたのがきっかけに女優を目指すようになった主人公・小島 桃が、上京するも上手くいかず、母親が父の死後一人で切り盛りする帽子店を畳むことを知り、挫折を味わいながら5年ぶりに帰郷。そんな桃が家族や友人に元気づけられ、自分の足で一歩踏み出していく姿が描かれる。メガホンを取るのは、『Life on the longboard』、『ヨコハマ物語』などの喜多一郎監督。

momotaro-kun 甲本の役柄は、主人公の父親役で、商店街で帽子屋を営んでいたが、病気ですでに亡くなっており回想シーンに登場する。喜多監督はキャスティングについて「岡山県出身の役者を起用したいと思っていて、父親役は甲本さんしか思いつかなかった」と話しており、甲本は「オファーを頂いて、嬉しかったですね」とほほ笑む。

momotaro-kun 桃は、女優を目指して上京。なかなかオーディションに受からず、挫折して故郷に戻るのだが……。桃の思い出の場所には父親の姿があり、娘を励ますかのように現れる。桃役で、本作が映画主演デビューの櫻井 綾の印象を甲本は、「とても静かな、ものごしの柔らかな子だなって。静かに何かを見てる感じ」と話す。父親役を務めた甲本は、「うまくいこうがいかまいが、親というものは、だれも同じような心配をしているんだろうなと思いながら役作りをしていった」という。「親父はどうやって見ていたんだろう、おふくろは口には出さなくてもどんなに心配したのだろうと想像しながら撮影に臨みました」と自身の経験と重ね合わせる。

 甲本が演じる病気の父が、残していく娘を思って涙するシーンがあまりに切なく、強く心に残る。甲本は、「病気で亡くなる役だったので、絶食して病弱に見えるようにと役作りをしました」と明かす。また、幼い娘に向けるくしゃくしゃの笑顔も魅力的だ。一つひとつの役柄に真摯に向かう甲本の演技は心に響いてくる。

momotaro-kun 演技に向かう甲本は「今自分がいる場所に安心したことは一度もない。オファーが来るということが奇跡」ときっぱり。また、役者としての興味は広がる一方だという甲本は、「(次は)“何が来るんだろう”って思います」。こういう役をやりたいというのではなくて「何が来るんだろう?」と、演じることが楽しくて仕方がない様子。甲本の自然体の演技は「どこにいても人を見ている」という観察力の結晶したもので、甲本でなければ演じきれない役柄も多い。

 1989年東京サンシャインボーイズに入団。劇団員としてスタートした甲本は、今でも舞台に立つと、「原点に戻れる感覚」と舞台での緊張感を大事にしている。「“勘弁してくれ”という逃げたくなるような緊張感があるけれど、楽屋に戻った時に“気持ちよかった”って思うんです」と語る。

momotaro-kun 18歳まで岡山で育ったという甲本は、子どものころからなじみがあるという表町商店街をいちばんの思い出の場所にあげた。甲本の思い出の中心場所である商店街は、以前より活気がなくなっており、「無くしてはいけない場所だし、無くなってほしくない場所」と強い地元愛をにじませる。劇中の倉敷美観地区や吉備津神社、鬼ノ城など岡山県の美しい名所を捉えた映像に魅せられる。ロケで故郷を訪れた甲本は、「岡山、いいじゃん!」と故郷の魅力を改めて再認識したという。

 最後に甲本は、「岡山がいっぱい詰まっている作品。より岡山に対する想いが強くなりましたし、皆さんも、映画をご覧になって、自分の故郷をもう一度思い出してほしいなって思います」と伝えた。

 ほかの共演者には、桃を支える同級生・キジ役に、元・MEN'S NON-NO モデルで、現在は俳優業に専念をしている弥尋(みひろ)。厳しくも影で主人公を支える母親役に手塚理美、主人公を追い詰める謎の男役で、岡山県出身の千鳥・大悟、映画プロデューサー役でベンガルらも出演している。ヒロインの姿に勇気がもらえる作品だ。

 映画『桃とキジ』9月9日よりシネマート新宿にて1週間限定レイトショー他順次公開。


(取材・文・写真:福住佐知子)



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