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トップページ > 最新ニュース > 日活ロマンポルノ『風に濡れた女』第69回ロカルノ国際映画祭<若手審査員賞>受賞!

日活ロマンポルノ『風に濡れた女』
第69回ロカルノ国際映画祭
<若手審査員賞>受賞!

2016-08-14 更新

kazeninuretaonna © 日活


 塩田明彦監督が、28年ぶりに復活するロマンポルノに挑んだ最新作『風に濡れた女』が、現地日程8月3日~8月13日に開催された【第69回ロカルノ国際映画祭コンペティション部門】へ正式招待され、最終日に行われた受賞式にて若手審査員による<若手審査員賞>を受賞した。


 第69回ロカルノ国際映画祭で、日本人が監督した作品として国際コンペティション部門に、塩田明彦監督の『風に濡れた女』と富田克也監督の『バンコクナイツ』の2作が、そして、新鋭監督コンペティション部門に真利子哲也監督の『ディストラクション・ベイビーズ』が招待されるという快挙を果たしていたが、その全ての作品が賞を受賞した。

 28年ぶりに復活する成人映画レーベル『日活ロマンポルノ』の1作である塩田明彦監督の新作『風に濡れた女』と富田克也監督の『バンコクナイツ』は、本賞とは別に設けられた【若手審査委員賞】を2作品が受賞。新鋭監督コンペティション部門の真利子哲也監督は、【最優秀新進監督賞】を受賞し、日本人映画監督の3作品すべてが賞を受賞する結果となった。

kazeninuretaonna 『風に濡れた女』は、ロマンポルノリブートプロジェクトの一環で作られた作品。映画祭ディレクターのカルロ・シャトリアンは「日活ロマンポルノという、日本の特別なジャンルに敬意を表したい。」とした上で、「『風に濡れた女』は、しっかりとした物語性があり、人生に必要不可欠な要素であるユーモアとアイロニーが描かれている」とコメントされており、映画祭での本作の上映に非常に好意的だった。

 公式上映の会場では、3000人を動員するシアターがほぼ満席となり、会場内では常に笑いが絶えず、映画祭期間中ロカルノに滞在していた塩田監督は、いたるところで声をかけられたという。映画『風に濡れた女』は、日本国内では、今冬より新宿武蔵野館ほかにて順次公開となる。


<塩田明彦監督 コメント>

kazeninuretaonna リブートした日活ロマンポルノが思いもかけず国際映画祭のコンペティション部門に出品され、こうして若手審査員の方々からの評価を得たことを、心より嬉しく思います。
 たとえ低予算の成人映画であろうとも、作り手の心意気次第では、世界に通じる映画を作れること、娯楽映画でありながら同時に芸術映画ともなりうることを『風に濡れた女』は証明することができました。それを何より嬉しく、誇りに思います。
 そして、今回の若手審査員の方々の多くは20代前半の女性たちで、(ロマンポルノ作品として作られた本作が)そうした方々からの支持を得られたことは、今後の大きな自信となります。授賞式の席上でも『風に濡れた女』と『バンコクナイツ』の発表には大きな歓声が沸き、観客からの支持の強さを感じました。


<公式上映Q&A>

今回の映画は日活ロマンポルノ45周年という形で製作がはじまりましたが、日活からオファーが来たときの反応について聞かせてください。

 日活からオファーを受けた時はものすごく光栄に感じました。日活ロマンポルノは70年代にはじまって映画業界的に少し下に見下されているようなジャンルだったんですけれども、そこから多くの傑作が生まれて今ではひとつの立派な歴史として認知されています。僕らはそういう傑作をたくさん観てきたので自分がその歴史につながるということがとてもうれしかったです。


とても面白い作品だとおもいながら観ていました。映画祭でもこの作品を選ぶのは勇気が必要だったのではと思います。本作のようなエロティシズムを描く上で、チャレンジや挑戦がありましたか?

kazeninuretaonna 今回の作品は日活ロマンポルノというかつて1100本も作られた映画のジャンルをもう一回復活させようとして始まったプロジェクトなんですけれども、1100本も作られた歴史に対して更に新しいものをどうやって加えられるんだろうというのがすごく悩んだポイントでした。たまたま日活からオファーを受けた時に僕は中国の伝奇小説、説話集のようなものを読んでいて、日常の中に普通に動物の化身、人間に化けた動物がいるようなお話をたくさん読んでいたので、何かこれを題材にできるんじゃないかと思いました。


日活ロマンポルノ、70年代の作品となりますといろいろなルールがありましたよね。SEXシーンをいくつか撮影しなきゃいけないだとか、予算が限定されてるとかそのようなことがありましたけれど、このようなルールは今回のプロジェクトにもありましたか。違う形で撮影しましたか。

 70年代のロマンポルノは撮影日数が10日間、今回の撮影日数は7日間です。そして10分に1回のヌード・シーンが求められます。だけどそういう制約があることが作り手の想像力を掻き立てる。1週間しかないんだったら1週間で撮れるストーリーを見つけて撮ろうと、10分に1回のヌード・シーンが必要なら飽きないように次々の面白いヌード・シーンを撮ったり創作意欲を掻き立てるのでこのフォーマットは僕らにとってすごく刺激的なんです。


最初の自転車のシーンは、神代監督の『恋人たちは濡れた』のオマージュですか?

 自転車は神代監督の『恋人たちは濡れた』のラスト・シーンへのオマージュです。今日僕の映画をご覧になって気に入ってくださった方はぜひ、『恋人たちは濡れた』をご覧いただければと思います。


最高のタイトルだと思いますが、この映画のタイトルはどのように思い浮かべたものですか?

 日活ロマンポルノはしばしば濡れたという文字を使うんですね。なので濡れたという言葉を使ってタイトルを考えようと思っているときに雨に濡れていても面白くないので風の中で濡れているというイメージを作りました。


 塩田明彦監督 プロフィール

 1961年、京都府生まれ。
 立教大学在学中より黒沢 清、万田邦敏らと共に自主映画を制作。その後、多数のロマンポルノ作品で脚本を手掛ける大和屋竺の下で脚本を学ぶ。
 劇場映画デビュー作『月光の囁き』(99)と『どこまでもいこう』(99)がロカルノ国際映画祭に正式出品。2001年、宮崎あおい主演『害虫』(02)でナント三大陸映画祭審査員特別賞・主演女優賞を獲得する。
 『黄泉がえり』(03)、『どろろ』(07)が興収30億円を超えるヒットを記録するなどメジャー大作も多数手掛ける。
 著書に『映画術・その演出はなぜ心をつかむのか』(イーストプレス)、『映画の生体解剖×映画術 何かがそこに降りてくる』(Amazonにて電子書籍として販売中)など。近年の作品として『抱きしめたい』(14)などがある。


 69回ロカルノ国際映画祭 2016年8月3日~8月13日(スイス・ロカルノ現地日程)

 1946年に設立され、今年で第69回目を迎えるロカルノ国際映画祭は、スイス南部のティチーノ州ロカルノで毎年8月に開かれる国際映画製作者連盟公認の映画祭。現在では観客が19万人ほど集まるイベントに成長し、ジャーナリスト1000人、映画業界関係者3000人が世界中から集う、ヨーロッパを代表する国際映画祭。
 同映画祭では12部門中コンペティション部門が3部門あり、映画製作の芸術的技術の向上を目的として上質かつ多様な作品を募集。ワールドプレミアとなる最新作や、映画史に残る名作を上映する特別イベント、世界的に活躍する監督や新しい視点を表現する若きインディペンデント映画監督の作品まで多岐にわたって作品が集められ、11日間で約500本の映画や、ショートフィルムが毎年上映されている。


映画 『風に濡れた女』

 (2016年製作、新作ロマンポルノ)

■監督:塩田明彦
■出演:永岡 佑、間宮夕貴ほか

■作品概要
 ある昼下がり、リアカーを引き海辺を歩いていた男の横を、自転車に乗った若い女が横切る――。
 リアカーの男は、都会の喧噪をさけ山に小屋を建て住んでいる高介(永岡 佑)。過去から逃げるように、今は静かな生活を楽しんでいる。
 自転車の女は、汐里(間宮夕貴)。高介の目の前で海につっこみ、今晩泊めてくれと交渉を仕掛けてくる。話しを聞こうともしない高介に、汐里は、濡れた肢体をおしげもなくさらけ出し「5000円でいいよ」とつげ、高介に野良犬のようにまとわりつく。
 生命力と性欲を持て余し、野性味溢れる魅力を放つ汐里との出会いによって、高介は欲望の渦に巻き込まれていくはめに……。
 主演には、間宮夕貴(『甘い鞭』)と永岡 佑(TBS「重版出来!」)の二人が務め、塩田明彦監督が、欲望に純粋な女と無欲な男の躍動感あふれる駆け引きを軽妙に描く初ロマンポルノ作品。

 2016年11月20日に45周年を迎える<日活ロマンポルノ>とは?

 「日活ロマンポルノ」は、日活が1971年に打ち出した当時の映倫規定における成人映画のレーベル。
 1971年11月20日に『団地妻 昼下りの情事』(西村昭五郎監督/白川和子主演)と、『色暦大奥秘話』(林功監督/小川節子主演)の2作品が初めて公開。「10分に1回絡みのシーンを作る、上映時間は70分程度」などの一定のルールと、製作条件を守れば比較的自由に映画を作ることができたため、チャンスを与えられた若手監督たちは限られた条件の中で新しい映画作りを模索し、さまざまな表現に挑戦できた。また、通常3本立ての公開を維持するため量産体制を敷いたことにより、若い人材の育成を促進。中平 康、鈴木清順、齊藤武市、今村昌平らのもと助監督として経験を積み、ロマンポルノの中で作家性を発揮した監督として、神代辰巳、小沼 勝、加藤 彰、田中 登、曽根中生といった才能が生まれ、あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、男性向けに作られながらも、女性とその生き様を深く美しく描くことを極めていった。
 このほか、ロマンポルノから出発した監督として、村川 透、根岸吉太郎、金子修介、石井 隆らがいる。製作終了した1988年までの17年間に、約1100本もの作品を継続して公開し続けた結果、映画史において、最もセンセーショナルな作品レーベルとして、現在も国内外で高く評価されている。

 新作製作 powered by BSスカパー!

 2016年、ロマンポルノが生誕45周年を迎えるにあたり、これまでロマンポルノ作品を監督していない、第一線の監督たちによる完全オリジナルの新作ロマンポルノを、BSスカパー!をパートナーとして製作開始した。さらに、新作の劇場公開に併せて、BSスカパー!(BS241/プレミアムサービスCS585)にてR15+版の放映を行う。


 ■日活ロマンポルノ公式サイトhttp://www.nikkatsu-romanporno.com (外部サイト)

 日活ロマンポルノリブート新作、新宿武蔵野館ほか《今冬》順次公開予定!


(オフィシャル素材提供)



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