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『スノーピアサー』オフィシャル・インタビュー

2014-02-07 更新

ポン・ジュノ監督


スノーピアサーsnowpiercer
© 2013 SNOWPIERCER LTD.CO. ALL RIGHTS RESERVED

監督・共同脚本:ポン・ジュノ BONG JOON-HO

 1969年9月14日、大韓民国出身、ソウル在住。
 延世大学社会学科卒業後、95年、16mm短編のインディペンデント映画「White Man」等を監督、シニョン青少年映画祭で奨励賞を受賞。同年、韓国映画アカデミーの第11期生として卒業。卒業作品「支離滅裂」の独特のユーモアとセンスが大きな話題を呼び、バンクーバー国際映画祭、香港国際映画祭に招待され、その名を知られるようになる。2000年に劇場映画長編デビュー作となる『吠える犬は噛まない』を発表。監督・脚本を務めた本作で高い評価を受け、一躍注目を浴びる存在となる。03年には、実際の未解決事件を題材にした『殺人の追憶』を手掛け、大ヒットを記録。完璧と評される構成力とその類い稀なる才能が高く評価され、カンヌ国際映画祭をはじめ、その名は世界へと一気に広がっていく。
snowpiercer そして06年、韓国歴代動員史上1位を獲得した『グエムル -漢江の怪物-』を発表。同年のカンヌ国際映画祭をはじめ、世界各国の映画祭でも絶賛されたこの作品で、若くして韓国を代表する監督としての地位を確立した。
 08年には、ハリウッドからの数多くのオファーを断り、初の海外監督作品として選んだ『TOKYO!』に、ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックスと共に参加。3部作のうちの一編『TOKYO!<シェイキング東京>』を、主演に香川照之、そのほかキャストに蒼井 優、竹中直人らを迎えて東京で撮影。日本、韓国、米国をはじめ世界各国でヒットを記録した。09年には韓国の人気俳優ウォンビンとベテラン女優キム・ヘジャを迎えた、待望の長編4作目『母なる証明』を発表。カンヌ国際映画祭ある視点部門に出品され、サンフランシスコ批評家協会外国語映画賞、ロサンゼルス批評家協会主演女優賞ほか多数の賞を受賞した。

 『殺人の追憶』(03)、『グエムル -漢江の怪物-』(06)、『母なる証明』(09)と作品を発表するごとに観る者を圧倒し、世界がその才能に注目する監督ポン・ジュノ。若き鬼才が初めてインターナショナル・キャストを迎え、英語作品として世界に発信する『スノーピアサー』の公開を前にして、監督のインタビューが到着した。


原作の「LE TRANSPERCENEIGE」に出会ったのはいつですか?

 僕はマンガマニアなのですが、よく行くコミック専門書店で2005年の冬に偶然この原作に出会いました。初めは表紙に載っていた列車そのものに惹かれました。列車ほどドラマティックで映画的な空間はない、と。“列車の中で起きる出来事”ということに興味を惹かれたんです。次に、列車に乗っている人たちにも魅力を感じました。前方車両はお金持ちで権力のある人、後方車両には貧しくて力のない人が乗っていて、その両者が衝突する。非常に独特で、すっかりその世界にハマりました。立ち読みで全巻を読破し、その場でこれを映画にしようと決めたんです。


原作との出会いから、実際に映画化するまで時間がかかっていますね。

 2005年に原作と出会ったんですが、その時は『グエムル -漢江の怪物-』のプリ・プロダクションに入っていて。しかもその時すでに女優のキム・ヘジャさんと、「『グエムル』の次は『母なる証明』を撮ろう」と約束していたので、3~4年経ってしまった。『スノーピアサー』の脚本に本格的に取り掛かったのが2010年で、それから3年経ってようやく韓国、ヨーロッパ、日本での公開に辿り着いたわけです。


『スノーピアサー』の企画当初から、このような豪華なキャスティングを想定されていたんですか?

snowpiercer 『スノーピアサー』のストーリー自体が、人類の最後の生き残りが一台の列車に乗っているというものなので、いろんな国の人が集まるということは自然な流れでした。でも、華やかなハリウッド俳優を起用することを最初から考えていたわけではありません。演技の上手な人を見つけていくうち、このような顔ぶれが揃いました。僕の映画に出てくれる俳優はみんな演技派です。クリス・エヴァンスは「演技派」という肩書きより、筋肉質のスターというイメージがありますよね。でも、彼が以前出演していたインディーズ映画を観たら非常にシリアスで繊細な部分を持っていることが分かったんです。そういう、彼の繊細な部分を今回の『スノーピアサー』で見せたいなと思って、彼に決めました。この作品がきっかけとなって彼が演技派と呼ばれるようになったら、僕にとってもうれしいです。


ティルダ・スウィントンを起用した理由は?

 ティルダについては脚本を書きあげる前からオファーしていました。とにかく何か一緒に作品を撮ろうと話していたんです。実は、僕はもともとティルダのファンだったんですが、彼女が『グエムル』が好きだとインタビューで話している記事を読んだことがあったんです。そこで、2011年のカンヌ国際映画祭で彼女に会った時に「一緒に仕事をしましょう」と約束をしました。ただ、脚本を書いてる時、彼女に適した役がないことに気づきました。そこで、もともと中年男性の設定だったメイソン役を、性別を男性から女性に変えて彼女にオファーしたんです。今思うといい決定でしたね。この役は彼女にしかできなかったと思います。


ソン・ガンホさんとは、『殺人の追憶』『グエムル』に続いて3作目ですね。

 僕はとても人見知りで寂しがり屋なので、新しい顔ぶれの中に、気の置けなくて、一緒にいて楽な人が一人はいてほしいと思っていました。それで脚本を書く前に、ソン・ガンホとコ・アソンに「再来年あたりに『スノーピアサー』という映画を撮るつもりなんだけど、お二人には出てもらいたい」と、事前に頼んでいました。


脚本はケリー・マスターソンとの共同脚本ですね。

snowpiercer 僕が脚色する作業は2011年には終わり、次にセリフの英語訳の作業に入りました。この作品は英語がメインの作品なので、英語部分に手を加えて仕上げる必要がありました。僕が書いた韓国語のセリフをそのまま翻訳して、それを俳優に読ませるのはいけないと思ったので、英語のセリフがパワフルに書ける人を探していたんです。ちょうどその頃、シドニー・ルメットの遺作『その土曜日、7時58分』(07)を見て、男性キャラクターの描写にものすごくパワーがあるなと思いました。そこで脚本のケリー・マスターソンにすぐ連絡を取りました。この作品では父と息子の関係が描かれていたんですが、『スノーピアサー』でもカーティスとギリアムが親子関係に似ていたり、父と息子の関係を暗示するようなところがあるので、そのためにも彼の手が必要だと思って。ティルダ・スウィントン演じるメイソンの演説シーンも彼の力による部分が大きいです。


今回、「脚色」とクレジットされていますが、原作となるフランスのコミックとの違いは?

snowpiercer 原作からは、「地球が新たな氷河期に突入し、生き残った人類はみな一台の列車に乗っていて、前方車両はお金持ちで権力のある人、後方車両は貧困な人たちが乗っている」という基本設定を持ってきました。登場人物たちのキャラクターや、主人公が前方車両へ向かって進んでいくというストーリー、革命や暴動といったコンセプトは新たに作り直したものです。原作コミックと同じ部分を探すのが難しいくらい変えていますが、そもそも原作の発想が偉大ですよね。奇想天外で、すばらしい。原作なくしてはあり得ない作品です。原作が書かれたのは1980年代半ば、30年前の話ですが、富裕層と貧困層の格差といった問題が、原作から30年経ったいま世界中で起きている。80年代にそういった問題意識を持っていた原作者は偉大だなと思います。


本作ふくめこれまでのポン・ジュノ監督作品も、娯楽作品でありながら社会性も伴っています。

 僕は映画を作る時に、こうしたメッセージを盛り込みたいから映画を撮ろう、とは考えません。あくまでも映画的な楽しみは何か、映画的な興奮は何かを念頭に置いて撮っています。ただ、それだけを考えてしまうと、上辺だけの映画になってしまう。僕としては、映画的興奮というのは本当に心臓を揺さぶるような、人の気持ちを揺さぶるような興奮や楽しみであってほしい。それが真の映画の楽しみだと思います。人生は社会性、政治性と切り離せません。必ずそれらと結びついているものなので、人生を描こうとすると、そういったものは結果的に盛り込まれるのかなと思います。


(オフィシャル素材提供)




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