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トップページ > 記者会見 > 第70回ヴェネチア国際映画祭『キャプテンハーロック』公式記者会見

第70回ヴェネチア国際映画祭
『キャプテンハーロック』公式記者会見

2013-09-11 更新

松本零士、荒牧伸志監督、三浦春馬、池澤良幸プロデューサー

キャプテンハーロックherlock

配給:東映
全国公開中!
© LEIJI MATSUMOTO/CAPTAIN HARLOCK Film Partners

 日本のアニメ史上に輝くエポックである巨匠松本零士の「宇宙海賊キャプテンハーロック」が総製作費3000万ドル(東映アニメ史上最高額)、日本のトップクリエイターとともに、世界市場に挑戦する壮大なる映像プロジェクトとして甦った!

 第70回ヴェネチア国際映画祭では特別招待作品として選ばれた本作の公式記者会見が9月3日に行われ、松本零士、荒牧伸志監督、ボイスキャストの三浦春馬が出席した。

 世界中にファンの多い松本零士が登場とあって、会場には海外プレスも大勢詰めかけ、司会者が紹介すると大きな拍手が贈られた。


何故、30年経った今、『キャプテンハーロック』を甦らせようと思ったのですか?

herlock池澤良幸プロデューサー: 5年前に実写化の話が上がった際に、「キャプテンハーロック」は非常に人気が高く、またその人気を維持していることに気づきました。そして新たなCG技術を導入し、松本先生の許可を得、荒牧監督からも協力を頂くことが出来ました。それが全ての出発点です。

荒牧伸志監督 中学高校と私は松本先生の作品を観て育ちました。今回はその松本先生の「キャプテンハーロック」ということで、覚悟を持って引き受けました。また、松本先生と私は同じ九州の福岡出身で、シンパシーもあり、先生の作品をずっと愛読していた私にとって、10代のころは松本先生自身が僕にとってのヒーローでした。今回の仕事は、私自身が原点回帰するための仕事でもありました。松本先生の作品がもともと、“堕落した地球人に対してのハーロックの存在”という世界であり、その部分も含めて、「キャプテンハーロック」を現代に新たにリブート〈再誕〉させるためには、現代の社会に通じるテーマが必要だと思い脚本を練り上げました。


今日の世界に対してどのようなメッセージがあるのでしょうか?

松本零士: 「ハーロック」とは、私が小さい頃に歩く時の“号令”だったのです。自然発生的に「ハーロック! ハーロック!」と言って歩いていました。そしていずれ世界の海を自由にドクロの旗をはためかせて走る大海賊を描きたい、更に宇宙にも行きたいと思い、そこから「キャプテンハーロック」というキャラクターが誕生しました。
herlock そして私は、温暖化の問題や資源の掘削などで地球を痛めつけている地球人そのものの行為が地球を破壊的な状況に追い込んでいる、と少年の頃から思っていました。そこから「地球を守る立場で宇宙へ乗り出していくキャプテンハーロック」が生まれ、テーマとして繰り返し描くようになっていったのです。創作の世界に終わりはありません。これからも自分の想いや信念を一生懸命描きたい。そして子供たちや現代の人たちに訴えたい。その想いで今回の『キャプテンハーロック』のリブートに賛成したのです。

荒牧伸志監督 松本先生の原作に描かれるのは、堕落した人間に対して一人孤独に戦うハーロック。今、世界中で、特に日本では「少子化」「高齢化」「経済の停滞」「貧富の差」など色々な問題や矛盾が蔓延しています。それを何とか覆せないかと、反逆のヒーロー「キャプテンハーロック」に託し、それに続く若者を描くことで状況が少しでも希望に変わるんじゃないかという気持ちを作品に込めています。(そういう想いを)みなさんが感じてくれたらと思います。


3Dを導入することによってどんな風に変わりましたか?

松本零士: 漫画アニメーションの世界において地球上の国境はありません。国は違えど、それぞれが楽しんで観ています。(世界にむけて)話しかける言葉としても成り立つと思ったので、今回の『キャプテンハーロック』の製作にもOKを出しました。
herlock 3CGアニメーションと同じ映像を完成させる為には、今までの手で描くアニメーションでは5000人が必要でした。この大きな時代の変わり目に遭遇したことも、とても幸せなことです。CGやネット配信など、色々な新しいシステムの時代に生きる今は、大きな第二の表現形態、創作の世界の変遷期です。これから先はどうなる運命か分かりませんが、今この新しい世界のスタートを切り、何とかしてみたいという信念に基づいて、『キャプテンハーロック』のような作品にトライしました。この大きな時代の新しい始まりに「ハーロック」の新しい大航海への船出が始まったのです。ドクロの旗の意味は「俺の旗の下に、俺は自由に生きる」という絶対に諦めない男の信念。この旗を翻して、キャプテンハーロックをこれからもずっと宇宙へ飛ばしたいと思います。
 実は、自分のこれまでの作品全部が一つの大きな物語となっているのです。「キャプテンハーロック」もその一つですが、タイトルを変え、バラバラにして描いていて、最後は一つの大きな物語にしたいなと思っています。「銀河鉄道999」「クイーン・エメラルダス」など「キャプテンハーロック」の物語と連携して続いていく物語を描きたいですが、今描いてしまうと、カーテンコールだと思われ、アイツはそろそろお墓に……と思われてしまいそうなので今はまだ描きたくありません。その最後は遥か遠い世界だと信じて頑張りたいと思います。創作に終わりはありません。


モーション・キャプチャーという最新の技術で演技をすることはいかがでしたか?

三浦春馬: 初めての声優挑戦として、このとても大きな作品に関われたこと、そして松本先生が創りだす大きな艦(ふね)に一緒に乗ることができたことを、本当に光栄に思っています。
herlock 「モーション・キャプチャー」において難しかったことは、キャラクターの動きを僕自身が演じていないということ。当時、モーション・キャプチャーで演じた俳優の気持ちや間の取り方でキャラクターの口が動くので、自分が思い描くセリフまわしや、表現が難しく大変でした。しかし、出来上がった素晴らしい映像に自分の気持ちをいかに、どこまで表現できるか、ということはすごく良い挑戦であり、経験でした。現場では荒牧監督や、脚色・脚本の福井晴敏さんにアドバイスを頂きながら進め、最後に皆さんから「とても良い出来だ!」と褒めていただいたので、今は胸を張って皆さんに『キャプテンハーロック』を届けることが出来ると思っています。
 2年前、日本で起こった東日本大震災や、今なお世界中で続く紛争など、苦しいこと、悲しい、辛いことでどんなに心を痛めても、必ず未来に希望はある。本作には「どんなに苦しい状況下におかれても前だけを向いていよう」という強いメッセージが込められていると思います。劇中のセリフで全人類にそのようなメッセージを届けようとする演説のシーンがありますが、気持ちを込めて大切に演じたつもりです。この素晴らしく、今までかつて観たことがないド迫力パワーのある作品とともに、このメッセージを皆さんのもとに届けられたらと心から思っています。

松本零士: 漫画の世界には国境はありません。地球人として、全人類の立場でこの物語を考えていきました。創作者、作家として夢の10分の1しかまだ自分の想いを描いていません。「人が涙を流すのは恥ではない。諦めるのが恥である」涙を流しても歯を食いしばって頑張るんだ、と、若い世代に伝えていきたいです。若者たちを励ますために、日本だけでなく、地球上の全若者に伝えるために、この仕事を続けています。


(オフィシャル素材提供 ※メイン画像以外はヴェネチア国際映画祭オフィシャル写真:Foto_ASAC)

ファクトリー・ティータイム

 世界中に熱狂的なファンがいる日本マンガ界の巨匠・松本零士。記者会見のみならず、夜の公式上映でも、映画だけでなく巨匠の姿を一目見ようとファンが詰めかけ、大歓声を浴びていた。75歳とは思えない若々しさで今後の創作への想いを熱く語り、宮崎駿監督の引退表明を受けてか、「創作の世界に終わりはない」という言葉を繰り返していたのが印象的だった。

(文:Maori Matsuura)

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