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記者会見

トップページ > 記者会見 > 『藁の楯 わらのたて』第66回カンヌ国際映画祭 フォトコール&公式記者会見

『藁の楯 わらのたて』
第66回カンヌ国際映画祭
フォトコール&公式記者会見

2013-05-25 更新

大沢たかお、松嶋菜々子、三池崇史監督

藁の楯 わらのたてwaratate

配給:ワーナー・ブラザース映画
新宿ピカデリー他 全国ロードショー中
© Kazuko WAKAYAMA
© 2013映画「藁の楯」製作委員会

 現在絶賛公開中のスリル&サスペンス超大作『藁の楯 わらのたて』が、現在開催中の第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門へ公式に選出され、本日、現地時間5月20日(月) 10:30より、フォトコールと公式記者会見が行われた。日本からは三池崇史監督と、大沢たかお、松嶋菜々子の3人が駆けつけた。

waratate 大沢が紺のスーツ、松嶋は紺のワンピース、三池監督は黒のジャケットと、ダークカラーで統一したファッションで会見場に登場。現地では開幕から雨が続いていたが、『藁の楯 わらのたて』のフォトコールでは爽やかな青空に恵まれた。多くの取材陣が訪れ、大沢、松嶋、三池監督は笑顔で撮影に応じていた。ムービーは20台以上、スチールは30台以上と、100人以上のマスコミが会見会場に殺到。

 また、早朝のプレス・スクリーニングはなんと満席に。溢れてしまい観られない記者もいたそうで、現地では19日の日刊速報誌「スクリーン」で『藁の楯 わらのたて』が表紙を飾るなど、現地での注目度が伺えた。さらにはプレス・スクリーニング上映後、観客は興奮の面持ちで拍手を送っていたという。その興奮が冷めやらぬ中、日本から駆けつけた3人が世界に向けて本作の魅力について語った。


監督は“義務”という概念の強い日本社会についていかがですか?

三池崇史監督: 生きている人間のテーマとさほど変わりません。人間を描いていれば、警察官と犯罪者という立場ではありますが、そこに人間としての日常があります。それをシンプルに描いた結果、縦社会、日本社会で解決しづらい問題などが自然に浮き彫りになりました。


撮影の苦労についてお聞かせください。

三池崇史監督: 大変でしたね。日本映画のリミットを、作る側から崩していきたくて台湾に行くことになりました。慣れていないことをしたストレスで、いま頬が腫れています(笑)。


原作とずいぶん変わっている点、とくに松嶋さんのキャラクターを(映画で)シングルマザーに変えた点については如何でしょうか。

waratate松嶋菜々子: 最初の台本では独身でした。でもその後わたしが演じることになって、監督が子持ちの役に変えてくださいました。原作はもちろん素晴らしい本ですが、映画でまた少し設定を変えることで、観客の方にもフレッシュな気持ちで観ていただけると思います。また私自身、シングルマザーというところで共感できましたし、より白岩の人物設定が作りやすかったです。自分の引き出しのなかから自然に役作りすることができたので、それほど難しいと感じることはありませんでした。

大沢たかお: 最終的に深いところに流れているものは原作と変わらないと思い、自分では特に(変更点は)意識せず、同じ気持ちで演じました。


日本社会の伝統的な点についてお聞かせください。

三池崇史監督: 緩やかに変化はしていますが、日本人の独特の感覚は変わらないと思います。ただその表現の仕方がちょっと変わって来ているかもしれませんね。基本は変わらないと思いますが。むしろ失ったものを取り返そう、かつて持っていた日本人らしさをとりかえそう、という流れは逆に起きていると思います。


カンヌに来たご感想は? カンヌでの受け止められ方が変わったと感じますか? 特に、この作品がコンペに選ばれたことをどう思われますか?

三池崇史監督: 自分でも(コンペに選ばれて)本当にびっくりしました。主催者にも質問を投げかけてみましたが、そんなことはない(※意外ではないという意味)と言われました。だから我々はなんの先入観もなく、作りたいものを作っていけばいいのかな、と。そのままやっていけばいいのかな、と感じさせてもらいましたね。

松嶋菜々子: カンヌに来たのは16年ぶりです。そのときも大沢さんと一緒でテレビドラマ「深夜特急」の仕事でした。とても奇遇だと感じています。光栄です。

大沢たかお: カンヌに来られて本当によかったと思います。正式上映はこれからで緊張もしていますが。日本で空港を出るときに皆さんから頑張ってください、と言われて、今さら頑張りようもないかなと思いましたが(笑)、でも来られてよかったと思います。


(映画祭委員長の)ティエリー・フレモンはセレクションの発表のときにこの映画の紹介で、アメリカのクラシックなジャンル映画を彷彿させる素晴らしい映画と形容していました。あなた自身はどうご自身の映画の流れを見ていますか? よりクラシックなフォームになってきたと思いますか?

三池崇史監督: 自分自身が変化するということよりも、出合う作品が変化するという、その環境の変化によることだと思います。これまでやってきたことによって海外での自分の見られ方も変化している。だからクラシックな映画に戻ろうということではありません。そもそも自分らしさを追求しないたちで、それをとくに今回は感じました。観客それぞれにそれぞれのやり方で楽しんでもらえばいいと思います。


罪や人を赦すことがひとつのテーマだが、それをどう自分のなかで消化して演じたのですか。

松嶋菜々子: 答えのない難しいテーマだと思います。大きなテーマというよりは、白岩のポジションを理解しようとしました。清丸に対して職業として付いている、一番足かせのない立場(個人的感情がないということ)であると思いながら、演じました。それを観ている方それぞれに解釈していただくのがこの映画の狙いだと思います。

大沢たかお: 登場人物全員がそれなりの正義、見方を持っていると思います。それがぶつかりあって、微妙な均衡を保っているのが、社会そのものでもあると。でもその均衡が、事件や刺激によってあっという間に歯車が狂うのが、世の中そのものだというように考えました。そういう意味で、(そういう状況になったらどうなるのか)自分自身も問われているような気持ちで演じていました。


なぜ台湾で撮ったのですか。またその経験はどうでしたか。

三池崇史監督: 以前低予算の作品を作っているとき、台湾で自由に撮らせてもらった経験があるので、今回思いついたんです。日本ではいざ大規模な作品を撮るとなると、安全第一で許可が降りないということがありました。また台湾で日本の新幹線が走っていたこともあり、台湾で撮影することになりました。快く引き受けてくださって、またお世話になりました。

松嶋菜々子: 台湾の方々もとても優しく接していただき感謝しています。撮影はとてもハードで観光などをしている時間がなかったので、またぜひ今度は観光で行って、おいしいご飯を食べてみたいと思います。

大沢たかお: 台湾の方々の協力がなかったら本当に撮影できなかったと思います。ぜひ公開の際も訪れたいと思います。


ちょうど30年前に監督の師匠である今村昌平監督が『楢山節考』でパルムドールを撮りましたが、監督の思い出について一言。

三池崇史監督: あれから30年なんですね。ということはある意味残酷さというか、振り返ったときの時間の早さを感じ、それが生きているという感触なのかと。今村さんからは自分の中にあるものをきちっと見つめて撮って行くということを学んだ気がします。映画とは、自分は人と違うのだということや個性を表現するための道具ではなく、自然に自分のなかにあるものから撮っていけばそれは自分の映画になるのだということを教わった気がします。


スピルバーグが今年は審査員長ですが、エンターテインメントはとかく評価されにくいという状況のなかで、どんな期待をしていますか。

三池崇史監督: パルムドールは頂けたらもちろん頂きたいと思いますが、自分はなかなかそういうタイプではないかなと(笑)。いろいろな作品があるなかで刺激になってくれればと。こういう場で上映されること、それ自体でもう十分満足しています。


(オフィシャル素材提供)


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