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トップページ > インタビュー > 『ブルーノのしあわせガイド』フランチェスコ・ブルーニ監督 オフィシャル・インタビュー

『ブルーノのしあわせガイド』
フランチェスコ・ブルーニ監督
オフィシャル・インタビュー

2013-03-13 更新

脚本を書き終えてみると、これを誰かほかの監督に渡せば
私はかなり落ちこむと悟った


ブルーノのしあわせガイドsushigirl
© 2011 I.B.C. Movie

フランチェスコ・ブルーニ監督 Francesco Bruni

 90年代から脚本家として活躍。主な作品に、『見わたすかぎり人生』(08)、『はじめての大切なもの』(10)、『副王家の一族』(07)や、映画以外にもベストセラー推理小説で文学賞を受賞したアンドレア・カッミレーリの『モンタルバーノ警部』のTVシリーズを手掛けるなど、イタリアの映像シーンを支えてきた。本作で監督デビューを果たした。
 『ナポレオンの愛人』(06)で共同脚本としても交流のあったイタリア映画史を代表する脚本家フリオ・スカルペッリの教えを受けた独特なコメディ・タッチで高く評価されており、ローマ国際映画祭ではパースベクティブ・イタリア部門審査委員長賞を受賞と、今後が期待される監督の一人。

タイトルに使われた“シャッラ(Scialla!)”の意味は?

 ローマの若者のスラングで、“落ち着け、リラックス”という意味になる。英語の“take it easy”に近い意味だね。アラビア語のインシャーラから来ているという説もある。さまざまな重要性を含んだ表現だと思うよ。うちの子どもたちが一日に20回は言うという事実を別にしても、この言葉がもっている穏和で平和な生きかたでいこう、というニュアンスが好きだ。最後には詩的なマニフェストに思えてきたほどだよ。この言葉を私の映画を形容する“コメディ”と結びつけてじっくり考えるうちに、“コメディだけど落ち着ける”典型的な内容の映画にふさわしいと思ったんだ。


主役のファブリッツィオは実生活ではミラノ暮らし、強いベネチア方言でしゃべりますが、本作でそうした方言のある俳優を使った理由は? また、ルカを演じるフィリッポはこれがデビュー作となりますが、彼はどうやって見つけたのでしょうか?

scialla ファブリッツィオについては、北部の言葉が彼の役作りのプラスになると考えた。ベネチアの言葉は彼がよく知る音楽と言っていい。それですぐに私はぴったりだと思った。
 フィリッポの発掘については、いたって普通の手法だったね。彼はオーディションに来たんだ。友だちの連れ添いとして。彼にもセリフを言わせてみたら、頭がどうかしたみたいに大笑いされてね。彼の笑いと表情に、私はすぐにこの子だとピンときた。


これまで一流の監督や作品のために数多く脚本を手がけていますが、こうして監督デビューを飾ったきっかけは?

 この業界に入って以来、いつになくすんなりと決まっていったことだった。プロデューサーのベッペ・カスケットから、自由にコメディを書いてくれと依頼された。誰が監督とも決まっていなくてね。それで自分がもっとも関心のあること、直接的に自分が一番気にかけていることを書いた。そして無意識のうちに――おそらくね――シンプルな物語を書いていた。登場人物が少なくて、監督デビューには理想的なものを。脚本を書き終えてみると、これを誰かほかの監督に渡せば、私はかなり落ちこむと悟った。ベッペは最初から、とても巧みにプランを立てていたんだよ。私への最後の一押しとして、「自分で監督をやってみないか」と提案された。


この映画について商業的な成功、批評家からの絶賛、映画祭での受賞など、どんな希望がありますか?

 きればその全部を! どうしても選べというのなら、この映画が観客の胸に深く刻まれたらいいと願うよ。どんなに小さくてもいいから、心の奥深くまでね。そうすれば本当のファンは、次にこのような映画を世に出すまで、忍耐強く信頼して待ってくれるだろう。イタリアのコメディ“議事堂”の中には――数多くの作品が存在しているけど――ぽっかり空いた大きなスペースがあると感じているんだ。大きな興行収入のあるような主流のコメディ党と、自分の独創性を追求する党のあいだに。私はそこに席を見つけたい。少なくとも何度かの任期を務めたい。


イタリア・コメディの豊かな才能の中で仕事をし、その中のほんの一部、パオロ・ヴィルツィ、ダニエーレ・ルケッティ、フランチェスカ・アルキブージについて、彼らの芸術的コミュニティ“ニュー・イタリアン”の後継者だと感じられていますか?

 その一派になぞらえてもらえるのは本当に名誉なことだが、当面は私が脚本を担当した一部の映画、特にパオロ・ヴィルツィのものにそうした面があるかもしれないとだけ言っておこうか。だが脚本家として学んできたことが私の一部になったことは明らかだね。だから私にとって、現実の観察によってインスピレーションを受けることは自然だったし、私の描く登場人物は必ずしもポジティブではなく、その逆ですらあるが、どんなときでも親愛なる師のフリオ・スカルペッリの教えを守っている。シリアスで、ドラマチックな対照を見せるものがないと、いいコメディにはならないということだ。


高校生の息子さんや中学生の娘さんと、映画を鑑賞する際に主導権を持つのは、どちらですか? また、あなたの好みの監督とジャンルは?

 子どもたちは映画の大ファンで、それぞれに好みがあるんだ。17歳と13歳が相手では、用心しないとならない。面白くない映画を薦めると信用をなくして、その回復が大変だからね。息子に薦めて気に入ってくれたのは、マチュー・カソヴィッツの『憎しみ』(そう、本作でも引き合いに出している)やスパイク・リーの『ドゥ・ザ・ライト・シング』。娘には『JUNO/ジュノ』を好きにさせることに成功した。あの映画は、私の心の中でも特別な場所に位置しているんだ。
 最近ではアメリカのインディペンデント系映画がいい驚きを私に与えてくれている。ジェイソン・ライトマン(『JUNO/ジュノ』の監督)の映画のほかにも、『ブロークン・フラワーズ』、『ロスト・イン・トランスレーション』、最近では『キッズ・オールライト』を大いに楽しんだ。
 それからこんな人たちも好きだ――まあ、好きじゃない人はいるのかって話だが――ウディ・アレン、ロバート・アルトマン、初期のマーティン・スコセッシ、ケン・ローチ、マイク・リー、アキ・カウリスマキ。若い頃にはヴィム・ヴェンダーズが大好きだった。
 実験的な作品が好きだった時期は、自分にとって絶対的な存在であったクシシュトフ・キェシロフスキーを批判する人がいたら、ケンカも辞さないという勢いだったよ。
 とにかく、自分の映画選びとなると、イタリアの独創的な映画に傾きがちで、最近ハズレだと思うことが非常にまれだということに気づいたよ。


(オフィシャル素材提供)


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