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トップページ > インタビュー > 『SUSHI GIRL』マーク・ハミル オフィシャル・インタビュー

『SUSHI GIRL』
マーク・ハミル オフィシャル・インタビュー

2012-12-15 更新

この不気味な雰囲気の作品で風変わりな役を演じることができてとても楽しかった

SUSHI GIRLsushigirl
(C)2011 SUSHI GIRL FILMS

マーク・ハミル Mark Hamill

 1951年9月25日生まれ、アメリカ、オークランド出身。高校時代には、日本の横須賀基地内の高校にて2年間過ごした経歴がある。

 『スター・ウォーズ』旧3部作の主人公であるジェダイの騎士、ルーク・スカイウォーカー役として有名。

 『スター・ウォーズ』以降は、映画でのキャリアは低迷しており、B級SF映画などの出演が多かったが、ブロードウェイでのキャリアや、アニメの声優、漫画のクリエイターとしては成功をおさめ、英語版『天空の城ラピュタ』では、ムスカの吹き替えを務めている。

 70年代ホラー映画風の狂気とヴァイオレンス描写で、全米で話題騒然となった作品『SUSHI GIRL』が遂に日本公開! 閉館が決まっている銀座シネパトス最後のお正月映画としても話題の本作では、『スター・ウォーズ』シリーズのルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミルがイカれたサイコパスを怪演している。そんな彼のインタビューが届いた。


『SUSHI GIRL』のどこが魅力だったのですか。

 クエンティン・タランティーノの『レザボア・ドッグス』を思い出したんだ。犯罪をロマンティックに美化していない部分に魅かれたよ。例えば『ゴッドファーザー』はとてもロマンティックな作品だからね。
 一番何に魅かれたって、僕が今まで経験したことのない領域であって、その領域に自分が入っていけるという部分に大きな魅力を感じたかな。今までやったことのないことに挑戦するのが好きなんだ。


この作品はあなたにとって出発点ですが、クロウ役は初めての悪役ではないですよね。アニメの悪役と、実際生きた人間の悪役とはどう違うのですか。

 アニメは匿名性みたいなものがある。なぜなら、完成作品が届いたときには物理的にはそこに自分はいなくて、自分の中で冒険的になることができる。全ての俳優は、少なくとも僕は、どうやって座って、腕を組んで、どんな髪型をしているか、ある程度自意識を持っているものだと思う。クロウについて一番気に入っているのは、「彼はとんでもないワルで、ただ単に滑稽なだけではなく非道で異常なユーモアの持ち主だ」って思えたところだ。
 「彼をもっと魅力的に見せなければ」と思って、髪型や衣装に頼ったよ。小さなことかもしれないけど、ピンキーリングとか、彼のキャラクターに近づくようにした。髪型を決めた時は「これこそクロウだ!」と思ったよ。なぜって、彼の年であんなにぐちゃぐちゃのサーファーカットの男なんていないからね。


どのようにして『SUSHI GIRL』に関わったのですか。

 脚本が送られてきてそれを読んだんだ。ご存知の通り、僕は歯科衛生士の女性と30年以上結婚生活を送っているから、歯を抜くシーンを読んだ時は「こんなの出来るか!」と思ったよ(笑)。息子に読ませて暴力が行き過ぎているかどうか尋ねてみたら、息子は「クエンティン・タランティーノとかに比べればそんなことはないよ、拷問ポルノでもない」と答えた。娘にも読ませたんだけど、「お父さん、この役をやらなかったら絶対不満に思うはず。フィリップ・シーモア・ホフマンやスティーブ・ブシェーミやウッディ・ハレルソンの役を出来なかったことを後悔するはずよ」と言ったんだ。彼女が僕の背を押したわけだけど、とても怖かった。すごくエッジが効いていて、万人受けする作品じゃないからね。でも僕は、この作品が魅力に満ちた犯罪映画ではないところに魅かれたんだ。犯罪をすごく醜く描いている。出演を決めるのは簡単ではなかったけど、一旦仕事に入ったらとても楽しかったよ。


クロウがマーク・ハミルだとはほとんど分からないくらいの変貌ぶりでしたが、どのようにして容貌を作り上げたのですか。

 何か革新的なことをしたかったんだ。人が僕を見た時に、「この男はどっかイカれてる」と言って欲しかった。最初は頭を剃ったらどうかと提案したが、僕の妻がそれには猛反対して。それに後から気づいたんだけど、ボール頭にしたらトニー・トッドとかぶってしまう。だから考え直して、反対方向に行ってみたらと思った。20歳のサーファーだったら分るけど、クロウの年では長くてぐちゃぐちゃの髪型は珍しいからね。その髪型にして鏡を見たら、そこにいたのはマーク・ハミルではなくてクロウだった……というわけさ。


では、フィッシュの腿に箸をハンマーで刺すのは簡単でしたか?

 あれは怖くて縮みあがった(笑)。それとは別に、あんなに悪い奴がたくさん集まっているのだからセットの雰囲気も悪いだろうと思うだろうけど、全く反対ですごくいい雰囲気だったし、たくさんイタズラなんかもしたんだよ。


悪役を演じる楽しみは?

 悪役はとても挑発的で、普段の生活では決してできないことを出来るから、その意味では悪役を演じるのは楽しいよ。あと、悪役は自分のことを悪い奴とは思っていない。クロウは彼なりの倫理があって、それは僕らには通用しないんだけど。『SUSHI GIRL』に出会えたのは運命だと思っている。悪役は僕の得意とする役ではないけど、自分の守備範囲外のものを追い求めるのはそれなりの価値があるからね。


『SUSHI GIRL』について語ってください。

 初めて脚本を読んだ時、「これはひどい! この役を気持ちよく演じられるか分らないな」と思った。僕は歯科衛生士の妻と30年以上も暮らしているので、劇中の歯を抜くシーンとかは耐えられなかったよ。
 トニー・トッドは知っていたよ。彼は素晴らしい俳優で、彼のキャリアを定義するような役だと思う。トニーがこの作品に本当の基盤を築いてくれると強く思っていた。他のみんなは、実は知らない人ばかりだった。監督のカーン・サクストン、アンディ・マッケンジー、ノア・ハサウェイ、ジェームズ・デュバル、デイビッド・ダストマルチェイン、コートニー・パーム。みんな知らなかったし、それが僕にとっては不安でもあった。それで、この映画は出演するより観に行ったほうがいいと思った。暴力的な作品だしね。でも、先ほども言ったように、脚本を読んだ息子のグリフィンに「違うよパパ、『レザボア・ドッグス』とかに比べたら暴力シーンは大したことないよ。心配するほどじゃない」って言われて、娘にも「お父さんはいつもウッディ・ハレルソンやフィリップ・シーモア・ホフマンが演じているような役を演じたいって言ってたけど、この役を受けなければ、もうそんなことを言っても聞きたくないわ」と言われてね。
 それで、もう一度脚本を読んでみようと思った。マーク・ハミルとは正反対のクロウになりきって脚本を読んでみたんだ。サイコパスの人間の頭に入りきってみると、脚本にのめり込めたよ。この役をやろうと決めた時、「彼がレストランに入ってくる時、お客さんが彼を見て、この男は普通じゃないと思うようにしよう」と考えた。頭を剃って髭をはやしイヤリングをするとかも考えたよ。ブロードウェイでミュージカルをやっている時に出会ったような人を真似しようかとも思った。でも、トニーも丸坊主だから、正反対にロングヘアにしてみた。プロデューサーの一人が、このドリス・デイみたいな金髪のロング・ヘアーを送ってくれたんだ。すごくよく出来ていたよ。まるで美容師がセットしたみたいだった。このロング・ヘアーのアイディア、すごく気に入ったんだ。頭を見ると普通じゃない髪型をしていて、スリー・ピースのスーツを着ていて、足元は子ども用みたいなテニス・シューズを履いている。外見だけでも注意を引くし、何か嫌な感じを与えるキャラクターにぴったりだったんだ。


クロウは見た目も下水道から這い上がってきたみたいに汚いですが、もっと汚い何かを醸し出してますよね。

 そうだね、クロウを演じることは衛生学的に見てもチャレンジングだったよ。僕は観客が知りえないバック・ストーリーを役に持たせることが好きだ。なぜってクロウは他人に苦しみを与えられる人間なんだけど、アンドリュー・ロイド・ウェバーのミュージカルが好きな一面があったりする。彼はすごく低俗な人間で安酒場で食事をして、道をうろついてゴミ箱にダイブなんかをしたりして、でも一方ではお金を節約して『サンセット大通り』のエレン・ペイジを観るためにロンドンにわざわざ行ったりもする。こんな感じで彼は相当な変わり者なんだけど、そんな彼のバックグラウンドは観客にとってはどうでもよくて、でもそういうことこそクロウが一体どんな人間かということをよく知らせる要素になるし、それがあるからこそしっかりとクロウを演じることができたんだ。


たまに意外な場面で、トルーマン・カポーティのような部分があったように思えました。例えば、着こなし方や話し方、にやけた顔などですが。

 そうなんだ、それは矛盾で、男が暴力的な汚い仕事を行う時はチャールズ・ブロンソンみたいな感じになる。僕はクロウが決まった型にはまらないようにしようした。彼は漫画のよう冷酷なブラック・ユーモアがある人間だ。このような映画では、そういう人間像が必要なんだ。でもそれはとても素晴らしい体験だったよ。上手くいくかどうか分らなかった。キャストもそうだけど、スタッフも含めてね。多分みんな、この何にも分類できないような小さな宝石のような作品に関わっていると感じていたんじゃないかな。この不気味な雰囲気の作品で風変わりな役を演じることができてとても楽しかったよ。仕事に行くのがとても楽しかった。


この作品ではほとんど一つの場所で物語が展開されています。劇場に戻ってきたと感じましたか。

 そうだね。この質問をしてくれて嬉しいよ。劇場では多くのことを経験してきたからね。この作品は主に一つのセットで行われる。場面が切り替わり回想シーンは入るが、演劇のように一連の流れとして演じることができた。それは俳優として夢が叶ったような瞬間だったよ。それがニューヨークで仕事をするのが好きな理由の一つさ。ニューヨークは俳優の表現舞台だ。この作品は『アメリカン・バッファロー』を思い出させたよ。『アメリカン・バッファロー』の冒涜の世界と犯罪者の弱点を描いていて、暴力を美化していない。「暴力はかっこいいことなんだ」みたいな描き方をしていないんだ。暴力はとても醜く非道徳的なことなんだよ。


とても魅力的な裸の女性が多くのシーンで出てきますが、途中でみんな彼女のことを忘れ、彼女はただ単に背景になってしまいますよね。

 まさに彼女は家具とかその類の種類のものなんだ。コートニー・パームは男たちを喜ばせ、そのままの状態でいられるように訓練を受けている。彼女を見つけられてとてもラッキーだったと思うよ、なぜって今回みたいな小さな役は、全てのシーンで一人芝居をするよりも難しいんだ。でも彼女は見事にこなした。彼女は完璧にやり遂げた。彼女がテーブルに登り降りするのを手助けできなくて残念だった(笑)。彼女はまさにギリシャ彫刻のようだったよ。


(オフィシャル素材提供)


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