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記者会見

トップページ > 記者会見 > 『SOMEWHERE』(原題)第67回ヴェネチア国際映画祭記者会見

『SOMEWHERE』(原題)
第67回ヴェネチア国際映画祭記者会見

2010-09-18 更新

ソフィア・コッポラ監督、スティーヴン・ドーフ、エル・ファニング、ロマン・コッポラ(プロデューサー)ほか

SOMEWHERE
(C)Kazuko WAKAYAMA
(C)2010 - Somewhere LLC

配給:東北新社
2011年4月2日(土)、新宿ピカデリー他全国ロードショー!

 ヴェネチア国際映画祭にて、ソフィア・コッポラ監督作『SOMEWHERE』(原題)の公式記者会見が9月3日(金)に行われ、ソフィア・コッポラ、主演のスティーヴン・ドーフ、エル・ファニングが登壇した。
 ワールド・プレミアとあって、会見にはプレス・スクリーニングを終えた世界各国のプレスが多数参加。
 ソフィア・コッポラは、幼いころよりよく訪れていたイタリアの地でワールド・プレミアできることを幸せに思うと、感慨を述べた。

ドーフさん、ジョニー・マルコと共通する部分はありましたか?

スティーヴン・ドーフ: 正直言って、僕は車の運転はそんなに好きじゃない。僕との共通点はもちろんあるよ。僕はこの主人公のように俳優をしているし、ほとんどの時間を映画撮影に費やしているからね。ジョニー・マルコとの違いは、僕はこの業界の中で育った人間だってことかな。ソフィアとの話し合いの結果、この人物が有名になったのは2年くらい前からってことになったんだ。そして、ものすごい孤独感に襲われている。すごくリアルに描かれていると思うね。
 俳優として、この映画に出演できたことはすばらしい体験になった。エル・ファニング、ソフィア・コッポラ、ロマン・コッポラたちとのチームは本当に素晴らしかったね。みんなが一生懸命に関わってくれた。撮影が終わった時はすごく寂しくなったよ。3ヵ月間一緒に俳優たちと仕事をしているってことは特別なことなんだ。僕は毎日オフィス・ワークをしに、会社に行っているわけではないからね。次の映画が始まるまで、空虚な気分になるんだよ。感情の流れ方、脚本の描かれ方もすばらしかったし、特出した才能の監督との仕事だったしね。グラッツィエ(イタリア語で「ありがとう」)。

ドーフさん、なぜこのジョニー・マルコという役を演じることを選択したのですか? コッポラ監督、なぜ彼を主役に選んだのですか?

スティーヴン・ドーフ: この脚本を読んだときに、これは今の僕にぴったりな役だと思ったからだよ。それにソフィアから何かを学びとりたかったから。ソフィアは僕のことを支持してくれていたし、今この時期にこの役をやるということはパーフェクトなタイミングだと思ったんだ。だからどうしてもこの役をやりたいって気持ちにかられたんだよ。
ソフィア・コッポラ監督: この脚本を最初に草稿したときに、スティーブンのことが頭に浮かんだの。彼はすごく才能ある俳優であると同時に、温かいハートの持ち主なのよ。その部分がこの役を演じてもらう上でとても重要な要素だった。だから彼とエルが演じているシーンにほのかな温かさが生まれてきたのだと思うわ。

監督、あなたは監督としてメジャーではなく、インディーなジャンルの作品、そのような俳優たちと仕事をしていきたいと思っているのですか?

ソフィア・コッポラ監督: どんなジャンルの映画なのか、なんてことは少しも考えていないわ。自分が興味を惹かれるものを作っていきたいと思っているだけよ。特にそういうことは意識していないわ。

監督、この映画のテーマはあなた自身が考えてだしたものであり、前作の『マリー・アントワネット』よりも小規模な作品であり、ロケもロサンジェルスになっていますね。それにエルを主人公の娘役に選んだということはとても素晴らしい配役だったと思います。その辺の心境についてお話していただけますか?

ソフィア・コッポラ監督: 自分が幼いときのロサンジェルスの思い出を今の時代で再現してみたかったの。エルは実際に会ってみて、すごく生き生きとした女の子で、年齢的にもこの役にパーフェクトだって思ったわ。

『ロスト・トランスレーション』でもこの映画でも水のシーンが出てきますが、これは何を意味しているのでしょうか?

ソフィア・コッポラ監督: あら、そんなこと深く考えてみたこともなかったわ。私がこの映画の中で特に気に入っているシーンは、二人でプールにいるシーンなの。とても心温まるシーンよね。でも深く考えてことはなかったわ。もし、何かを象徴しているだとしたら、それはピュア(純粋さ)ってことだと思う。

俳優として大成功しているのに、主人公には心の葛藤がありますが、娘が訪ねてきてくれたことで、彼は心のシグナルを感じ取ったのでしょうか。

ソフィア・コッポラ監督: この主人公は非現実的な世界の中にいるのよね。すべてがうわべだけの虚構の世界の中にどっぷりと浸かっているんだわ。そんな非日常的な生活に娘が入り込んできて、彼は現実を直視することができたというわけね。

監督、ホテルのシーンは『ロスト・イン・トランスレーション』の中にも多く出てきましたが、あなた自身はホテルに滞在するのは好きですか? 主人公は好感持てる男性ですが、なぜ、ポールダンサーなど特殊な職業の女性たちを登場させたのでしょうか。

ソフィア・コッポラ監督: 自分が子供の頃、父親のロケ先に同行してよくホテル暮らしをしていたのよ。まさにそこでは興味深い人たちがホテルで暮らしているってことを発見したわ。そこには共同で使える場所もあって、コミュニティーが出来上がっていたの。でもそれを女性ではなく男性の目から通して見てみたかった。

監督、あなたは幼い頃よく、イタリアへいらしていたということですが、この映画でまたイタリアへ戻ってきてみてどんなお気持ちでしたか?

ソフィア・コッポラ監督: この映画をヴェネチア映画祭でプレミア上映できることでとても幸せに思うわ。

エル、朝食の時のシーンで父親がブロンドの女性と一緒にいるのを見て、どう思ったのでしょうか。

エル・ファニング: この女の子は父親がいつも女性に囲まれているってことをよく知っているのよね。“なぜなの? 私はいつもお父さんと一緒にいたいのよ”ってことを彼女なりに主張していたのだと思うわ。

監督、あなたはこの映画を撮影中、妊娠していたそうですが、それはどのような影響を作風に与えましたか?

ソフィア・コッポラ監督: 撮影中に妊娠していて、ポスト・プロダクションの時にはその子は生まれていたのよ。だから、脚本を書いたときと、この映画を撮り終えた後では状況が違っていた。その事実は大きなインパクトがあったし、このストーリーに大きく影響していると思うわ。

この映画は現代社会の中の孤独感や、悲劇というものを見事にとらえていると思います。このような素晴らしい作品を作ってくださったことを心から感謝します。(場内大拍手となる。)

ソフィア・コッポラ監督: どうもありがとうございます。

エル、この女の子 には普通の女の子という感じがあります。尖ったエキセントリックさがないところが好感もてますが。どのようにこの役作りをしましたか?

エル・ファニング: 彼女はすごく普通の女の子だと思うの。父親とホテル暮らしをしながら、ここに母親がいてくれたら、両親が一緒に暮らしてくれていたらどんなにすてきなことかって思っているのよね。外見的にも普通の女の子だけど、内面も本当に普通の女の子なのよ。とにかく、両親がまたよりを戻してくれることを心から願っている子なんだと思うわ。

監督が映画で描いていきたいテーマは?

ソフィア・コッポラ監督: 私は人間の孤独さとか、孤立感というものにとても惹かれているみたい。


 同日、19時半より行われた公式上映では満員の観客から大喝采を浴びた。


(オフィシャル素材提供)


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