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『オカンの嫁入り』完成披露記者会見

2010-08-09 更新

大竹しのぶ、桐谷健太、絵沢萌子、國村 隼、呉 美保監督

オカンの嫁入り

配給:角川映画
9月4日(土)より全国ロードショー
http://www.okannoyomeiri.jp/

 映画『オカンの嫁入り』記者会見が明治記念館で行われ、出演者の宮崎あおい、大竹しのぶ、桐谷健太、絵沢萌子、國村 隼と、呉 美保監督が登場した。
 円卓がいくつも用意されており、まるで披露宴会場のようなつくりの会見場。キャストの後ろには金屏風。女性陣は着物。男性陣は礼服姿だった。

まずはご挨拶をお願いいたします。

宮崎あおい: こんにちは、宮崎です。今日久しぶりにこうやってキャストの方達にお会いして、撮影していたのは1月なんですけども、なんかあっという間にこの日を迎えたなあという気がしています。たくさんの人に観ていただけるように、いろいろお話ができたらいいなと思っています。<
大竹しのぶ: こんにちは、大竹です。原作者の方からまだ映画化になる前に本が送られてきて、映画化された時はぜひこのオカンをやって下さいというお手紙を頂いて、それがこういう形で実現するなんて思ってもいなかったので、今日はすごく嬉しいです。そして、今あおいちゃんが言ってたように懐かしいメンバーに会えて、あの時の時間が戻ってきました。今日はよろしくお願いします。
桐谷健太: 初めまして桐谷健太です。本当に温かい素敵な作品が出来たと思います。この作品に関われて本当に幸せだなと思います。今日はいろいろお話出来たらいいなと思っています。
絵沢萌子: こんにちは。隣の大家をやりました絵沢萌子です。この映画に参加できて本当に嬉しかったと思っております。どうぞよろしくお願いします。
國村 隼: どうも、國村 隼です。完成披露にこれだけたくさん来て下さってありがとうございます。なんかこちらから見ていると、丸テーブルについているので本当に結婚式の披露宴の席についたような、ちょっとこの作品の撮影がまだ続いているような感じがします。
 非常にストレートで堂々とした作品に仕上がっています。一人でも多くの方に観ていただきたいと思っています。
呉 美保監督: 今日はお越し下さってありがとうございます。今、國村さんもおっしゃてくださいましたが、なんか円卓に座って、まさに“オカンの嫁入り”ならではのこの披露記者会見が開けたことがすごく嬉しいです。今日は原作者の咲乃月音さんもだんな様と来ていただいているということで、本当にありがとうございます。出来るだけ作品の良さをお伝えしたいと思いますので、よろしくお願いします。

祝電が来ておりますので披露させていただきます。

友近: この度は映画の完成おめでとうございます。呉監督の描く映画や小説やCMやどのジャンルも温かさが最後に残ります。普段ほとんど当たり前過ぎて意識していない家族のあり方を再確認する時間をいつも与えてくれます。きっと呉監督の作品に出会うと家族崩壊率は減るんじゃないでしょうか。ハレルヤ!!
(※友近は『酒井家の幸せ』に出演。『オカンの嫁入り』にも友情出演している。)
東映株式会社取締役東映京都撮影所所長: キラキラ輝いて美しい花嫁さん……ではなく、感動の映画『オカンの嫁入り』の完成おめでとうございます(笑)。寒い京都でスタッフとキャストの熱い想いがぶつかりあい、一丸となった素晴らしい作品だと思います。新しい門出にあたり、末永い興行と大ヒットをお祈りするとともに2世誕生ならぬ次回作も期待しております。
呉監督のお母さんより(これはサプライズ): 『オカンの嫁入り』完成おめでとう。山椒は小粒でもピリっと辛いとはあなたのことだとおばあちゃんはいいますが、味の引き締め役から生臭さの消し役で、後を引く旨みの残し役が山椒です。あなたなら俳優さん、スタッフさんの味をひきたたせて後を引く映画を作ると信じてます。周り方々の感謝を忘れずにこれからもあなたらしい映画を撮り続けて下さい。家族みんなで見守っています。

呉監督、お母様からの祝電をもらった感想をお聞かせください。

呉 美保監督: 嬉しいです……。『オカンの嫁入り』でのツキコとヨウコの母娘の関係は自分の母親とはまた違っていますが、やっぱり母と娘という部分の不変性の中の愛というものを自分なりに描きたかったので、そういう意味で、大竹さん、宮崎さん、本当にこのお二人でしか出来ない母と娘を演じていただきました。台本が刷り上ってきた時にパッと開いたら、宮崎あおい、大竹しのぶ、の名前が並んでいて漢字2文字、ひらがな3文字が似てるなと思いました。それで私は、第3者ですがこのお二人は役を超えた何かすごい縁で結ばれているから「よし!」と思わず見た時に思えたので、それがきちっと作品に出たと核心しています。

宮崎あおいさんと大竹しのぶさん、お二人に質問です。お二人は初共演ですが、実際演技をしてどんな風に感じあったりしたでしょうか? また、それぞれの印象は?

宮崎あおい: 自分が人見知りなので初めは本読みの時は挨拶くらいしか出来なかったんですが……。実際京都に入ってみたら、自然に同じ空間を共有できたというか、今回はキャストもすごく少ないですし、チームワークがとても良くて、しのぶさんのスタッフの方に対する接し方がとても素敵だなあと思いました。例えば、最後の撮影が終わった時に挨拶をし終わった後、一人一人に握手をしにいく姿を見て、「なんてすごい人なんだろう」って……。そばで見ていて勉強になることもたくさんありましたし、そばにいられて幸せでした。それにすごくキュートな方なので、普段お話しをするだけで楽しいんです。出会えてほんとに良かったなと思います。
大竹しのぶ: 本当に私も楽しかった。あおいちゃんとは初めてでしたけれど、周りからあおいちゃんのことをいろいろ聞いていたとおり、お芝居をしっかりしていて素晴らしい女優さんで、あえてコミュニケーションをとろうとしなくても、無理しないでそこにいられる環境だったのがすごく嬉しかったです。
 寒い京都だったんですが、みんなでコタツに入りながら休憩時間にいろいろな話しをしたり、美味しい物を食べに行ったりして、楽しい一ヵ月でした。

桐谷さん、大竹しのぶさんが恋人役でどんな思いでしたか?

桐谷健太: 全然違和感なかったです。年の差は若干ありますがお会いする前から大好きだったし、お芝居してもっと好きになりました。途中からどれだけ骨の髄まで抱きしめられるか……みたいな(笑)。どれだけ愛し愛されるか、芝居を越えた愛、桐谷健太を好きになってほしいし、僕は恋愛映画初めてなんですが、初の相手が大竹さんで本当に幸せな奴だなあって思っております。

どんな撮影現場だったのでしょう?

絵沢萌子: 撮影現場に初めて入りました時、すごく静かでピーンと張り詰めてる感じがあって、それで圧倒されました。だけど楽しいと一言で言ってしまえば語弊がありますが、とても楽しい現場でした。

國村さんは関西の出身で、この映画も関西が舞台ですがどのように感じられましたか?

國村 隼: 15も年が違う人を連れてきて「この人と結婚する」と、突拍子もないことが日常の中にあってもおかしくないような人と人との距離感であるとか、関西という土地柄の型に捕らわれない、常識に捕らわれない、それぞれのスタイルで生きていくというような関西人独特のある種の特徴みたいなものは、関西を舞台にしてるから成り立っているのかなと思います。

呉美保監督の演出を受けていかがでしたか?

國村 隼: ご覧の通り小柄な本当に若い女性なんですけれども、現場では本当にタフでした。現場では監督が一番大変じゃないですか。いろいろなプレッシャーもあるし、いろいろなことが起こる訳ですよ。でもそんな中で、彼女は声を荒げるわけでもなく、だけど絶対に引かないところは引かない、非常にタフなカッコいい男前な女性でした。

この作品をすすめする立場にたったとしたらどんな部分をすすめしますか?

宮崎あおい: 私は同年代の人に観てもらいたいです。例えばお母さんとの関係に悩んでたりとか、甘えるのはとてもいいことだとは思うのですが、お母さんに言いすぎてしまったりして悩んでる友達も周りにいるので、そういう人にこの映画を観てもらいたいです。親と一緒にいられる時間は人生の中で短い時間だと思うので、一緒にいられる時間の大切さ、尊さをこの映画を観た時に思ってもらえると思うので、同年代の女性に観てほしいですね。
大竹しのぶ: 映画もお芝居も観る人によって感じるところが違うので、あおいちゃんくらいの女の子もそうですし、私くらいの人もそうですし、いろいろな人に観てもらいたいです。
桐谷健太 生きてる人、全ての人に観てほしい(笑)。面白くないと言ってくれても全然いいですし、何かを感じていただけたら僕はいいと思っています。
絵沢萌子 私は友達みんなに「観といで、観といで、思い当たることあるで~」って言いますわ(笑)。
國村 隼 大竹さんと一緒で、一人でも多くの人に観てもらいたいです。血の繋がってるのはツキコとお母さんだけ。僕を含め、隣の大家さん、彼女が旦那として連れてくる彼。不思議なことに、家族ではないんだけどある種の擬似家族で、人と人の繋がりみたいな家族という一つの単位みたいなものが血の繋がりとはちょっと違うところにあって、家族というものを考え直すには、この映画はちょうどいいんじゃないかなと思います。

それぞれの役を演じるにあたって大切にしていた部分はどこですか? そして監督が最もこだわった部分があれば教えて下さい。

宮崎あおい: 私は物語の頭からずっと怒ってばかりいるんですね。お母さんが最初に知らない男の人を連れてきたところから始まるので、お母さんとの仲がいいシーンはほとんどないんです。
 怒ってばかりいるシーンを撮っていましたが、なんかこうお母さんが大好きだからこそ怒ってしまうんだっていうことを、やっぱりちゃんと伝えたいし伝わらないといけないと思っていたので、お母さんが大好き!ということを大事にきちんと伝わるように演じました。お母さんが好きだからこそ怒ってるということを、観ている人にも伝わるように心がけていました。
大竹しのぶ 私は、実年令も15歳以上違う人と結婚するということがどうリアリティをもって見てもらえるかを考えながら演じました。また、病気になっても抗がん剤治療をせずに日常を続ける選択をする、そこが本にはあまり書かれていなかったので、書かれていない部分を監督と話し合いながら作っていきました。例えば、食卓でツキちゃんがいつもどこに座るのか?ケンちゃんがきたらツキちゃんはどう思うのか?とか、本に書かれていない部分をいかに自然に見せるにはどうしたらいいのか……それが一番苦労でしたし、考えたところです。
桐谷健太 複雑で難しい役だったので、まず孤児として生きてきたっていうのはどういうことなのかからリサーチしました。やっぱり人によっても性格によっても違いますし、それは孤児だからどうということはなかったんですけど、すごく優しく温かい人間で、悲しみを越えている男で、芝居に捕らわれず自分の中にある生っぽさが出たらいいと思い、たくさん想像して演じました。
絵沢萌子 単にお人よしでもないし、かといって威張っている風でもないし、この女に近づくのは難しいなと思いました。
國村 隼 毎度のことなんですが、僕は細かいことを考えて現場には入らないんです。今回もまさにそうなんですが、一つ考えてたとすれば、母親である大竹さん、娘であるあおいちゃんとの距離感はどの程度なのか?また二人のことをどう思っているのか?……考えたのはその程度です。
呉 美保監督 自分が拘った点、大事にしたところは……これは今回の作品だけではなく、これからも撮り続ける限りこういうことは絶対表現していきたいですが、例えば、さっき宮崎さんが言った「なぜこの人は今怒っているのか?」とか、わざわざセリフにはしないけども、表情やその人たちそれぞれのバックボーンみたいなものがだんだん透けて見えてくるような、そういう人間、人を描きたいと思っています。今回は母親の隠している病とか、15歳年下の男性を連れてくるとか、そういう日常的な事柄を、観客の心が離れないように見せていくには、人をきちっと描くことなんだなと思いました。
 今回のキャストの皆さんがご自身のキャラクターの掘り下げをすごくしてくれる方たちだったので、自分が思った以上に表現できた作品だと思っています。

大竹さん、桐谷さん、劇中の役柄はお互いのどこを好きになったと思いましたか?

桐谷健太: 本当にたくさんあり過ぎて……。チャーミングだし、でも人を好きになることに理由ってないですよね。吸盤のように引っつくというか、すごく優しいですし、気をつかってもくれますし……本当に大好きなんです。
大竹しのぶ 今、吸盤という言葉を使った時点で終わったなと思いました(笑)。でも本当に人を好きになるのに理由はないので。嫌いになるのにも理由はないと思います。でも人生は自分のものであって、子供のための人生ではないと思うので、私は私の人生を生きていきたいと思います。

ファクトリー・ティータイム

 終始ニコヤカな楽しい会見だった。桐谷がムードメーカーで、笑いを取るようなコメントを連発。監督はあまり話す機会がなかったが、一つの質問に真剣に答えてくれるタイプの人だと感じた。短い言葉で終わる人ではない印象を持った。そして、小柄でまるで高校生のように若々しくみえた。
(文・写真:Hitomi Miyajima)


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