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記者会見

トップページ > 記者会見 > 第22回東京国際映画祭『台北に舞う雪』来日記者会見

第22回東京国際映画祭
『台北に舞う雪』来日記者会見

2009-11-16 更新

フォ・ジェンチイ監督、チェン・ボーリン、トン・ヤオ、トニー・ヤン、モー・ズーイー

レッドクリフ PartⅠ

配給:ゴー・シネマ
2010年正月第2弾、シネスイッチ銀座他 全国順次ロードショー
http://taipei-snow.jp/main.php

 岩波ホールで大ヒットした『山の郵便配達』、東京国際映画祭受賞作『故郷の香り』などで知られるフォ・ジェンチイ監督の『台北に舞う雪』が完成した。
日本・台湾・香港・中国の合作となる『台北に舞う雪』は、舞台を現在の台湾に地方都市に移し、香港、台湾の若手俳優が出演するラブストーリーだ。主演は日本でも人気のチェン・ボーリン、脚本はス・ウと韓流映画やドラマのナビゲーターとしてお馴染みの田代親世だ。東京国際映画祭でのお披露目に合わせ、監督と主要キャストが来日、記者会見を行った。

まずはご挨拶をお願いいたします。

フォ・ジェンチイ監督: 記者の皆さん、こんにちは。また東京国際映画祭に来ることが出来、大変うれしく思います。そして、皆さんに新しい作品を観ていただくことをうれしく思います。
チェン・ボーリン: 久しぶりに東京国際映画祭に来ることが出来て、とてもうれしく思っています。特に、今回はフォ・ジェンチイ監督とここにいる皆と一緒にコンペ部門に参加することが出来たこともうれしく思っています。ありがとうございます。
トン・ヤオ: 皆さん、こんにちは。初めて東京国際映画祭に参加することが出来、大変うれしく思っています。そして、台湾の俳優さんと競演できたことも、大変うれしく思っています。また、光栄にもフォ・ジェンチイ監督と一緒にお仕事をすることが出来、たくさんのことを教えていただきました。今回は非常に素晴らしいグリーンカーペットを歩くことが出来、これからは私も環境のために自分で出来ることをやっていきたいと思っています。
トニー・ヤン: 皆さんこんにちは。今回、東京国際映画祭に参加することが出来、といても興奮しています。特に、今回は初めてのコンペ部門参加ということ、ここにいる皆と共演できたこと、そして、フォ・ジェンチイ監督と仕事が出来たことがとてもうれしいです。ありがとうございます。
モー・ズーイー: 今回、フォ・ジェンチイ監督とここにいる優秀な俳優と共演でき、とてもうれしく思っています。『台北に舞う雪』という非常に特別な映画を皆さんが気に入って下さることを期待しています。

今回、日本人脚本家の作品を映画化された理由は何ですか? そして、オールロケだった台湾での撮影はいかがでしたか?

フォ・ジェンチイ監督: 最初に日本の方が書かれた脚本をいただきましたが、たまたま台北での出来事を描いた物語だったので、こういう形になりました。そういったことは重要ではなく、この脚本に感動したので、何とか映画に表現したいと思ったのが主な原因です。今回は台湾の人たちと一緒に仕事をしましたが、お互い華人ですから言葉も食べるものも同じなので、全く問題はありませんでした。中国の地方都市で撮影するのと全く同じように撮影できました。ここにいる4人以外の俳優、そしてスタッフたちも皆が一生懸命努力して、すばらしいチームワークと阿吽の呼吸でスムーズにこの映画を撮ることができました。

出演者の皆さんから見たフォ・ジェンチイ監督の印象は?

チェン・ボーリン: フォ・ジェンチイ監督は、僕がこれまで一緒に仕事をした監督の中で一番優しい方です。このことは、ずっとインタビューでも言い続けているのですが、撮影が終わるまで一度も声を荒げたことはありませんでした。スタッフが間違えても、「大丈夫、もう1回やろう」と言ってくれます。ずっと考えていたのですが、僕が演じているモウという青年は、たぶん監督その人なのではないでしょうか? 監督はそういう人だと思います。
トン・ヤオ: フォ・ジェンチイ監督と仕事をすることができ、本当に光栄だと思っています。というのは、監督が中国のいわゆる第五世代の監督の1人で、大変有名な方だからです。初めて監督にお会いした時にはとてもまじめそうな方だなと思いましたが、実際にはすごく童心があり、非常に子供っぽいところがある人です。私たちがいろいろなことをして遊んでいると、必ず自分も参加し試してみようとする、とても好奇心が旺盛な方です。改めて思ったのですが、そういう好奇心を失わないから、いろいろな役者の細かなところや個性を見事にとらえ、それを表現することができるのではないかなと思いました。ですから、今回監督と一緒に仕事をして、いろいろと身につけたことがありました。
トニー・ヤン: 僕も、初めて監督と一緒に仕事をすると知った時には非常に緊張しました。というのは、中国の非常に有名な監督ですし、以前から監督の作品を見ていたからです。そのフォ・ジェンチイ監督の作品に出演できるということで、非常に興奮しました。今でも覚えているのは、最初に監督と最初にお会いした時、じっと僕を見つめているので、何を言うのかな? と思っていたら、「台北で一番面白い場所はどこ? 何が美味しい?」と聞かれ、一気に緊張がほぐれました。ですから、全てを監督にお任せして、役に入ることができました。そういう意味では、監督に大変感謝しています。先ほどもトン・ヤオさんが言いましたが、すごく童心のある監督で、今回の来日でも、毎日仕事が終わると「さぁ、何か美味しいものを食べに行こう!」と皆を誘っています。
モー・ズーイー: 僕が監督をすばらしいと思うのは、非常に高い美意識をお持ちだと思うからです。監督はいろいろな美しい土地の一番美しい場所を見事にとらえることができます。監督にとって、今回のロケ地の菁桐(チントン)はあまり慣れない場所のはずですが、すぐにここで一番美しい場所を見事にとらえ、人の心の一番良い部分もちゃんとつかんでいます。そういう素晴らしいところは、ぜひ監督から学びたいと思います。それから、本当に性格が良い方で、監督と一緒に仕事をしていると楽しいし、気持ちよく仕事をすることが出来ます。ぜひ監督に教えて欲しいのは、これだけ良い性格なのに、なぜあんなに素晴らしい作品を撮ることができるのか? ということです。 実はとても難しいことだと思うのですが、それを見事にやり遂げる人生哲学があれば教えていただきたいと思います。
フォ・ジェンチイ監督: 皆さん、褒めていただいてありがとう(笑)。私が思うのに、役者とはとても脆い存在です。ですから、あまり厳しく監督が怒ったら、ますます演技ができなくなってしまう。演技に影響があると思うので、怒ることはできません。特に、この4人は本当にかわいらしくて華やかなので、とても彼らの前で怒ることはできませんね。彼らが演じたこの映画の中の役柄は、皆私が理想とする好きなタイプの若者たちなので、温かいチームワークの中で作ってこそ、良い作品ができると思いました。

出演者の皆さんは個性的な役柄を演じましたが、それぞれの役作りについて教えて下さい。

チェン・ボーリン: 僕が演じたモウという役は、菁桐(チントン)という街から一度も出たことがない青年だから、外の世界への大きな好奇心を持っていると思ったので、そこを強調しました。僕自身は、この世界に入ってからあちこち飛び回ったので視野も広がりましたが、そういう機会がない人は世間に対してものすごくもの知らずで、逆に言えばとても純粋な部分も持っていて、非常に善良な気持ちを守っている。そういうところを描き出そうと思いました。それから、モウが街の人たちを助けるためにとても忙しそうにしていますが、実際に彼がやっていることは大したことではないので、一種の現実逃避ではないかと思います。本当は、自分の母親や自分の夢を追いかけている。だけれども、自分は何をすればいいのか判らない、どうして良いのか判らない。そういう気持ちを紛らわすために、たぶん、あのように忙しそうにしている青年なのだと理解して演じました。
トン・ヤオ: メイという歌手を演じることになって脚本をいただき、自分なりにいろいろと考えました。とても個性的な歌手という設定で自分なりに人物を作り上げようとしましたが、その後監督にお会いして話をすると、監督は「あまりそのようにはして欲しくない。もっとこの女の子は自然で、天然そのもの、素のような感じでやって欲しい。その方がよりリアリティがあって、きっと人を感動させる力がある」と言われました。私もなるほどと思い、無理に作ったり演技をするのではなく、むしろ私自身とかなり近い部分を引き出すことにより、私自身がこの菁桐(チントン)という街に生活していてモウに出逢った、そのようにしようと思いました。今までの経験を活かして、自分なりに演じてみました。
トニー・ヤン: 僕が演じたレイは非常に陰鬱な男ですが、音楽に対しては完璧を要求するプロデューサーです。そういうレイを演じるのは、実は非常に辛かったのです。どちらかというと僕自身は非常に明るいタイプで、とにかくいつも皆と遊んでいたいのですが、この役を作るためになるべく現場ではここにいる3人と離れていました。彼らが楽しいことを言ったり遊んでいても、絶対にそれには染まらないようにしていました。とても辛かったのですが、その辛い気持ちが逆にレイの役には役だったかなと思っています。今回のレイの役は、今までの自分の役とは全く違いますし、髪型や外見も普段の僕とは全く違いますが、そういう僕の違った一面を見ていただければうれしいです。このような役も出来るんだということを、ぜひご覧下さい。
モー・ズーイー: この映画での僕の役どころは芸能記者ですが、あたかも観客をこの映画に引き込んでいくような役割でした。最初に台北から菁桐(チントン)という小さな街に連れて行くのも、僕の役割のような感じがしました。そして、メイという失踪した歌手を探し出し、独占記事を書こうとするのですが、実は台湾では僕たちと芸能記者は微妙な関係なので、記者をしている友達にどういう気持ちでこういった記事を書いているのかを聞きました。彼らはいろいろなスキャンダルやあまり良くない記事を書いたり、写真を撮ったりしますが、そういう時に彼らが重きを置くのは、そういうニュースを取り上げることに対する自分の気持ちよりも、それがニュースとして価値がある、売れるならば報道したいという気持ちがあるからやるんだと言っています。だけど、そこには彼ら自身にも矛盾と葛藤があるのだということを知り、自分の役にも非常に参考になりました。僕が演じたジャックという記者は、非常にそこで悩むわけですが、最後には、記者としてのニュースの価値よりも、メイを何とかして助けてあげよう、彼女を見つけだし自分なりの道を探し出すお手伝いをしてあげようという道を選んでいく、変化していく。そのように僕は演じました。

監督に音楽について伺います。この映画では、チア・チェンの音楽がたくさん使われています。また、ビクター・ホァン、ジョナサン・リーやジェイ・チョウの物まねも上手くて楽しかったですが、どのような理由で選曲をされましたか?

フォ・ジェンチイ監督: 台湾の歌は中国でも非常によく知られていますし、私も知っています。中国の女の子メイは歌手ですから、当然劇中で多くの歌を歌うことになりますが、たくさんの台湾の歌を聴いてその中から選びました。特にモウ・ウエンティの「冬季到台北来看雨」(COME AND SEE THE RAIN IN TAIPEI IN THE WINTER)という歌ですが、私たち中国人にとって、冬に雨が降ることは非常に意外なので、そこが非常に面白いのですね。逆に言えば、映画のタイトルの『台北に舞う雪』ですが、台湾の人にとっては、何で冬に台北に雪が降るの? という意外さがあります。台湾の人たちは、中国に来て雪を見ると凄く興奮しますが、この物語では非常に季節感が関係してくると思ったので、この歌は非常に気に入り2ヵ所で使用しました。最初に出てくるのは10年前に香港映画で使用された歌ですが、もうひとつは最近再び録音されたもので、歌い方がちょっと違います。もう1曲、メイがステージで歌う「旅行の意義」という曲は、最近台湾で人気のあるチア・チェンの曲を使いました。この曲も、映画の内容にあっているなと思います。

撮影で大変だったシーン、特に力を入れたシーンは?

チェン・ボーリン: ちょっと考えます……(笑)。あえてひとつあげるとしたら、最後の方で、消防車が泡を飛ばして雪のようになった情景を僕が眺めるシーンです。機械が相当な力で泡を飛ばしたので、何回も顔が真っ白になるほどかぶって鼻の穴や眼の中に入り、我慢するしかなかったのですがけっこう辛い思いをしました。他はとてもスムーズでした。
トン・ヤオ: 私も、何もかもがスムーズでした。最初に監督が皆に、「あまり演技をしすぎるな、演じている痕跡を見せるな」と言われましたが、その言葉を聞いて、役者に演技をするなと言うのならどうしたらいいの? と頭の中がいっぱいになりました。そのことが一番難しかったと思います。でも、こうしてフォ・ジェンチイ監督と一緒に仕事ができたので、いずれ良い機会があれば再び監督と一緒に仕事をしたいなと思います。
トニー・ヤン: 皆と似ていますが、本当に楽しかったので、あまり辛いことはありませんでした。
チェン・ボーリン: たばこは?
トニー・ヤン: 実は僕はたばこを吸わないのに、演技ではたばこを吸わないといけなかったのが大変でした。撮影があっという間に終わってしまったのが辛いぐらいで、クランクアップの時に皆でお酒を飲みましたが、その時には僕は狂ったようになりました。それまではずっと耐えて、皆が遊んでいるのを見ても我慢していたので、そこで発散しました。
モー・ズーイー: 僕にはニつあります。ひとつはバイクに乗るシーンがあるのですが、僕はバイクに乗れないので、練習を2週間ぐらいしました。台北が一番寒い真冬の頃でしたが、周囲から見たら変なやつだったと思います。それから、もう一つは走るシーンもすごく多かったので、毎日体をほぐして、走る準備をしていました。ある時、たまたま走っているシーンで転んだら、監督が「あっ、それが良い」というので、もう1回走って転びました。でも、そんなことは全く大変ではないですし、問題ありませんでした。
フォ・ジェンチイ監督: 私からもひとこと言わせて下さい。僕は本当に父親のような気持ちでこの4人を見ていたわけですが、それでもやってもらわないといけないことがいろいろありました。例えば、チェン・ボーリンは唐辛子を食べる競争がありました。アップで撮ったり引きで撮ったりするので、何度も唐辛子を食べないといけない。競争相手は皆スタッフが演じているので、スタッフもいっぱい食べないといけない。ちょっと撮ると皆が吐くほど辛いのですが、それを何回もやらせないといけませんでした。あれは本当の唐辛子です。トン・ヤオはステージの上で天使の格好で歌ったのですが、あの時はスタッフ全員がダウンジャケットを着ているほど寒かったですし、夜の撮影だったので非常に彼女は寒かったと思います。中国語では、人を感動させる意味の言葉と凍る意味の言葉は同じ発音ですが、「凍りたいか? 人を感動させたいか?」と聞いたら、「人を感動させたい」と答え、がんばってあのシーンを撮りました。本当に寒さを全然感じさせないような笑顔で歌ってくれました。
トン・ヤオ: 後で、私は監督に感謝しました。

もっと監督のお話を伺いたいのですが……。

フォ・ジェンチイ監督: 言いたいことはいっぱいありますが、もう時間だということでしたら、やむを得ませんね。

最後に、日本が上手なチェン・ボーリンさんから、作品のアピールを日本語でお願いします。

チェン・ボーリン: 『台北に舞う雪』、ぜひ観て下さい。お願いします!

ファクトリー・ティータイム

(文・写真:Kei Hirai)


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