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インタビュー

トップページ > インタビュー > 『クヒオ大佐』堺 雅人 オフィシャル・インタビュー

堺 雅人 オフィシャル・インタビュー

2009-09-28 更新

つけ鼻で演技すると表情が大きくてやりやすかったです

クヒオ大佐
(C)2009『クヒオ大佐』製作委員会

堺 雅人

 1973年、宮崎県出身。早稲田大学在学中に劇団「東京オレンジ」に参加し、舞台俳優として注目される。NHK連続テレビ小説「オードリー」(00~01)、NHK大河ドラマ「新撰組!」(04)などの演技が高く評価され、NHK大河ドラマ「篤姫」(08)で人気を博す。映画の主演作は、『蟹男』(07)、『ジャージの二人』(08)、『南極料理人』(09)に続き、本作で4作目となる。2008年には、第51回ブルーリボン賞をはじめ数々の映画賞で助演男優賞を受賞。その他、近年の主な映画出演作は、『アフタースクール』(08)、『クライマーズ・ハイ』(08)、『ジェネラル・ルージュの凱旋』(09)、『ラッシュライフ』(09)など。今後の公開待機主演作に『ゴールデンスランバー』(10)がある。また、8月に初の著書「文・堺 雅人」を発行。10月には舞台「蛮幽鬼(ばんゆうき)」に出演予定。


配給:ショウゲート
10月10日 渋谷シネクイント、新宿バルト9ほか全国ロードショー!
http://www.kuhio-movie.com/

 各国の映画祭で評価された『腑抜けども、悲しみの愛をみせろ』の吉田大八監督の最新作『クヒオ大佐』で、実在した結婚サギ師・クヒオ大佐を演じて新たな魅力を発揮している堺 雅人がインタビューに応えた。

実在の結婚詐欺師クヒオ大佐のエピソードを初めて聞いたとき、どう思われましたか?

 実際のクヒオ大佐の詐欺事件を知れば知るほど、なぜこんな人に騙されたんだろう?って思いが強くなっていきました。クヒオ大佐を受け入れていった人たち、松雪さんたちが演じた女性たちが、どうしてクヒオの話を信じたのか不思議でしたね。

吉田監督からは、役作りについてどうリクエストされましたか?

 こんな感じに演じてくださいといった総論の指示は初めからなかったです。非常に各論で、細かい指示はいただきましたが。いっしょに細部を詰めながら、クヒオについて共に探っていった感じですね。

クヒオは、アメリカ人になりすました日本人という設定ですが、台詞のアクセントについてはどんな指示が入りましたか?

 しゃべっていて、ちょっと片言すぎるとか、滑らかすぎるとか、本当に細かく指示してもらいました。吉田監督のおっしゃるとおりになんとか頑張ってやっていくことしか考えてなかったですね。ペース配分はすべて監督におまかせしました。

つけ鼻での演技はいかがでしたか?

 つけ心地はよかったですよ。演技しているときも、まったく気にならなかったし。また、つけ鼻をすると自分じゃないみたいで、完成した映画も客観的に観ることができました。撮影中、正面から見た顔は鏡で確認できましたが、横顔は見たことがなかったので。自分では普通にやっているつもりでしたが、思ったよりもオーバー・アクションになっていました。表情のバリエーションがあってよかったなと思いました。つけ鼻で演技をすると、表情が大きく作りやすくなるのですね。

腕立て伏せを数十回したり、めいっぱい全力疾走したりするシーンは大変でしたか?

 いや、思ったほどは大変じゃなかったです。ただ、腕立て伏せのシーンは、実際映画館でどういう受け止め方をされるのかが非常に気になりますね。笑っていただけるといいのですが。どちらかというと、全力疾走のほうが大変だったかな。リハーサルもあったし、テイク5くらいはやりました。ぜひ発売用のDVDのメイキングでは、走った分を全部使っていただきたいです(笑)。

いちばん苦労したのはどのシーンでしたか?

 苦労したというより、手間がかかったのは、最後のLAで撮ったヘリコプターのシーンですね。ひと晩で片付けなきゃいけないシーンだったし、うまくつながっているかモニターでチェックする時間もなかったので。いろんなことでドタバタしましたが、映画を観たら無事つながっていたので、感動しました。

3人の女性を演じられた、松雪さん、満島さん、中村さんと共演していかがでしたか?

 現場では相談し合いながら、互いに影響を受けながらやっていきました。非常に頼りがいのある共演者でしたよ。とくに松雪さんは大先輩ですから、いろいろと勉強になりました。いろんなところで助けられたし、映画を観ても、やっぱりしのぶの存在は大きいですね。

完成した映画をどうご覧になりましたか?

 こんなにスケールの大きい超大作だったのかと思って、興奮しました。登場人物が非常に少ないし、移動距離もそんなにない映画なので、もう少しこぢんまりした映画になると思っていたので。LAまでロケに行った甲斐があったなあと。後半のクヒオの内面にぐっと入っていく一連のシーンがよかったです。ひとりの人間の狂気と正気の間を行ったり来たりして、“虚”と“実”が描かれている。深い映画だなと思って、ちょっと感動しました。まさに“吉田大八作品”に仕上がっていたし、その作品の1ピースになれてよかったです。

クヒオの内面を語る上で、少年時代のエピソードも効果的に挿入されていました。

 台本の段階で楽しみにしていたシーンでしたが、子役の方がすごくいい顔をしてましたね。映画を観て、いろんなシーンを楽しめましたよ。たとえば、自然博物館の3人の恋のかけひきや、永野弁当の人間関係など、細部まで手を抜かずにこだわる吉田監督作品の素晴らしさを堪能できました。

本作を、どんなふうに楽しんでほしいですか?

 この映画を見たら、戦後日本のいびつな部分や、湾岸戦争のちょっと腑に落ちなかった思いを感じるお客さんもいらっしゃるかもしれない。でも、そういう政治的なややこしいことは考えなくても、いろんなメッセージがあると思うし、いろんな方がいろんなことを感じられる大きい物語だと思います。もちろん、実際の詐欺事件をご存知ある方もない方も、女性も男性も楽しめるでしょうし。僕は、観終わった後で、少し座り心地の悪い感じになりました。国家とか人間とか男とか、物事を抽象的に考えると、そう思ってしまうのかもしれない。でも、女性が観ると違うのかもしれないし。本当にいろんな方に観ていただきたい映画です。

(オフィシャル素材提供)


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