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舞台挨拶・イベント

トップページ > 舞台挨拶・イベント > 『全然大丈夫』完成披露試写会舞台挨拶

完成披露試写会舞台挨拶

2008-02-01 更新

荒川良々、岡田義徳、藤田容介監督

全然大丈夫

配給:スタイルジャム
シネクイントほか全国順次公開中
(C)2007『全然大丈夫』製作委員会

 超個性派俳優、荒川良々の初主演劇場映画『全然大丈夫』。“世界最恐のオバケ屋敷を作る”ことを人生の目標にしている古本屋の息子と彼を取り巻く人々の、ユル~くのほほんとした(本人たちはそれなりに一生懸命な)日常を描いた、ほんわかとした笑いに憩いまくれるこの映画……にハマるのはウクレレ音楽、ということで、本編でも音楽を担当しているニューエイジ・ハワイアン・バンド“エコモマイ”の心躍る生演奏が、完成披露試写会にやってきた観客を迎えてくれた。

 陽気な音楽に浸ってすっかり気分は常夏のハワイアン~♪な観客の前に、本作で主役を務めた荒川良々とその幼馴染役の岡田義徳、藤田容介監督が登場、上映前の舞台挨拶を行った。 オリジナル脚本で、商業映画では本作がデビュー作となった藤田監督。とはいえ、松尾スズキが主宰する個性派演劇集団「大人計画」の舞台映像などを長年担当してきたベテランだ。「自主映画は8年前に、大人計画のグループ魂(註:宮藤官九郎、阿部サダヲ、村杉蝉之介のバンド)主演の映画『グループ魂のでんきまむし』を撮りました。それが大人計画での仕事の集大成になったというか、そこで全て出しきってしまった感じがしたので、“当分いいかな”と思いまして、大人計画の仕事を辞めたんですが、その頃にちょうど入れ違いで荒川くんが大人計画に入ったんですね。だから、大人計画では荒川くんと仕事をしていないんです。その2年後くらいに、グループ魂の村杉蝉之介くんから、“荒川くんと皆川猿時くんの3人で新しいコント・ユニットを作ったので、その映像をやってくれない?”と言われて受けました。30分くらいの短編映画(『イヌ的』)だったんですけど、荒川くんの評判がすごく良くて、僕も前から荒川くんとはやりたかったこともあり、彼の主演で長編映画を撮りたいなと思いました。そんな時ちょうど、今回のプロデューサーの新井さんから「何かやってみないか」というお話を頂き、荒川くんが主演という大前提で脚本を書いたんです」と、荒川への熱い想いを吐露(?)。
 そんな熱烈ラブ・コールを受けた荒川にとっても、本作は初の商業映画主演作となった(註:自主映画では、井口昇監督の『恋する幼虫』<03>で主演を務めている)。観た感想を聞かれると、「何をですか?」といきなりボケをかます荒川。「あぁ、観ました。まあ、ちょっと恥ずかしいですね。自分が出ているやつについて、何かこう……、言えないですよ(笑)。でもまあ、面白く演じられたと思います」。

-----現場での思い出が甦ってきましたか?

荒川良々:まあ~、そうでもない……(笑)。

-----演じた照男さんと素顔の荒川さんと重なる部分は発見できましたか?

荒川良々:発見は……できてない(笑)。彼とは全然違いますね~。

……と、ひたすら“らしい”ユルい答えが返ってくる。
 そんなつかみどころのない荒川と、共演したのは初めてだという岡田義徳は、「すごく楽しかったですよ。そんなに年の差もないので、違和感なくやれました」とのこと。
 その後、カナダで映画撮影中(註:フェルナンド・メイレレス監督作『Blindness』)のため、当日来場できなかった木村佳乃のビデオ・メッセージが流された。

木村佳乃:今海外で映画撮影のため、今日はそちらに伺えなくて本当にすみません。残念です。きっとそちらには監督と荒川良々さんと岡田義徳さんがいるのかな~。こんにちはぁ~、すみません、今日は。『全然大丈夫』で私は、木下あかりという手先の不器用な画家の役を演じたんですが、苦労したのはやっぱり……不器用シーンですかね。監督がそこにはすごくこだわりを持っていらしたみたいで、ティッシュの箱を開けられないシーンでは、ティッシュ箱を50個……いや、もっとやったんじゃないですかね~。でも、楽しかったです、撮影!

 元気いっぱい語る木村のメッセージを聞き、監督は「木村さんは実はすごく器用な方なんですよ。でも、節々に不器用に見えるようにしてもらいました。ティッシュの箱を50個以上……って言ってましたが、それは嘘で10個くらいです」と苦笑い。荒川も「10個なのに、何で50個って言ったんだろ……」とポツリとつぶやく。現場では「“手が痛そうだな”と思って見てました」という岡田も、「50個は“絶対やってないな~”と思いました」と証言。
 謎の発言はさておき、不器用な女の子役がとってもキュートだった木村をめぐって、劇中密かに火花を散らした荒川と岡田。「ん~、撮影中、好きになりかけたんですけどね、やっぱり僕も(笑)。でも、他の二枚目のほうに行っちゃったみたいな……」(荒川)。「僕もあんまり話しかけてもらえませんでしたね。僕ら、現場ではすごく静かなほうなんです。木村さんが一人でばぁ~っしゃべっていたのを、僕らが“はい、はい”と聞いていた感じだった気がしますけど」(岡田)と、それぞれに木村への複雑な思い(?)を語った。

 撮影中の思い出を問われると、「エンドロールのNGシーンがとても良くて……」という荒川に、慌てた監督が「いやいや、あれ、NGシーンじゃないよ!」と真顔で否定し、映画をこれから観る観客の期待を思いっきりかき立てることに。最後まで人々を煙に巻く荒川だった。
 ちなみに、日本語の語用的には間違っているが、今や通用している表現をタイトルにした理由について、監督はこう答えた。「“大丈夫”というと癒し系でウェットな感じがありますが、そういう意味合いは全然なくて、むしろドライでカラッとした、馬鹿っぽい、根拠なく肯定するみたいなイメージでつけたんですね。そういうニュアンスが伝わればいいな、と」。確かに、これほどこの映画のエッセンスを伝えるタイトルもないかもしれない。

(文・写真:Maori Matsuura)


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