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トップページ > 記者会見 > 『ブレイブ ワン』来日記者会見

来日記者会見

2007-10-28 更新

ジョディ・フォスター(中央)、ニール・ジョーダン監督(右)、ジョエル・シルバー(左)

ブレイブ ワン

配給:ワーナー・ブラザース映画
10月27日(土)より、サロンパス ルーブル丸の内ほか全国ロードショー
(C)2007 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

 ジョディ・フォスターが、禁断の境界線を越えた!
 観る者一人ひとりのモラルに根源的な問いを投げかける話題作『ブレイブ ワン』の公開を前に、製作と主演を務めたジョディ・フォスターが、ニール・ジョーダン監督、プロデューサーのジョエル・シルバーと共に来日し、都内ホテルで記者会見を行った。

-----まずはご挨拶をお願いいたします。

ジョエル・シルバー:日本に来るのを毎回楽しみにしているんだ。今回は特に、この作品を持ってきたことを誇りに思っているよ。
ニール・ジョーダン監督:来日できてすごくうれしいね。日本が大好きなんだ。
ジョディ・フォスター:私は日本には12~13回来ているわ。初めてきたのは13歳の時で、その時には京都や大阪にも行ったのよ。

-----(タイトル『ブレイブ ワン』にちなんで)皆さんはそれぞれ、“勇気”という言葉をどのように定義されるかお聞かせください。

ジョエル・シルバー:勇気ある人とは、まさに、ジョディ、ニールの二人のことだと思うね。この題材を、よく映画化したと思うよ。特にジョディは、とてもクリエイティブで大きな力を発揮してくれた。
ジョディ・フォスター:タイトルには皮肉も含まれていると思う。(ヒロインの)エリカは銃を手に取り、サバイバルを学んで行くけれど、エリカのように、強く“私は生きたい”と思うのは大きな勇気だと思うわ。私自身はそんなに勇気があるほうではないから、映画の中だけでも勇敢な人間を演じたりしているわ(笑)。
ニール・ジョーダン監督:私は自分を大変勇敢な人間だと思っているから、誰も私の玄関には近づきたくないんじゃないかな(笑)。この映画のような事件にあった女性が、人生の長い旅路の中で、生きるすべを見出し、生き抜いていくことが勇気だと思うね。

-----ジョエル・シルバーさんはハリウッドのヒットメーカーであるプロデューサーとして活躍されていますが、ヒットを生み出す秘密を教えてください。

ジョエル・シルバー:ただ運が良かったということと、いつも言っていることだが、自分が観てドキドキする映画を作ることを目指しているんだ。才能があって、努力家の人たちと一緒に、的確な題材と人材を集めて映画作りをすること、そしてそれを観客が気に入ってくれることだね。

-----エリカが大きな決断を下すラスト・シーンが印象的ですが、今まで越えることができなかった一線を越えることで、人生が変わったことはありますか?

ジョディ・フォスター:エリカのように極端なものではなくても、誰でもそれなりに一線を越えているんじゃないかしら。俳優という仕事は一線を乗り越えることで自分自身を見出せるものなの。その点では恵まれているわね。
ニール・ジョーダン監督:私にとって一線を越えるということは、この映画の脚本を読み、面白いと思ったということだね。我々が住んでいる世界は恐ろしいことが起こり得る世界で、エリカは愛する人を亡くしたことで全く違った人間になってしまったが、そんなことは実際にもあり得ることじゃないかな。
ジョエル・シルバー:我々は映画の中ではいつもそんな一線は越えていると思うよ。たとえば、『ソード・フィッシュ』、『マトリックス』、『リーサル・ウェポン』などを観ていただければ分かると思うね。

-----もともとの脚本ではエリカの職業はジャーナリストだったそうですが、ジョディさん自ら、ラジオのパーソナリティーに変えた理由を教えてください。

ジョディ・フォスター:彼女の語りかける夜の声が、まさに映画のトーンなの。最初はジャーナリストとして事件を探っていくというミステリーだったんだけれど、声のトーンが変わるように、自分の中の見知らぬ自分を探して行く、という風にしたかったの。それでラジオのパーソナリティーにしたのよ。

-----これはある種、モラルに対する判断を問われる映画だと思います。そうしたモラルを巡って、皆さんの間で良い意味でのぶつかり合いはありましたか?

ジョディ・フォスター:映画と現実は違うと思うわ。映画の中では女性は暴力や虐待に直面したりすると、自分自身を傷つけてしまったりお酒に溺れたり、夫に銃を放ったり子供を虐待する行為に走ったりしているけれど、普通はそんなことしないでしょ? 普通は見知らぬ人を殺したりなんかしないわ。最初はエリカの“私は自分を破滅させたくないから、あなたを破滅させる”といった考えに驚いたわ。でも同時に、これは女性たちの心をとらえるものでもあるかもしれないとも思ったの。何故なら、誰もがそうした思いを心の奥底に秘めていて、「私はもう、自分をダメにしたくない。そのためなら他の人を傷つけるわ」と言ってみたいという幻想を抱いているものなのではないかしら。もちろん、それを実行に移すことはしなくても。
ジョエル・シルバー:このような復讐劇は今までもたくさんあったけれど、これまではどうしても男性主人公が多かったね。映画を作るには良いジャンルだし、人気もあった。でもこの映画がユニークなのは、女性の視点から描かれていることだ。新鮮だしオリジナリティーがあるから私たちも惹かれたんだよ。脚本自体、もともとは男性主人公だったものを女性に書き換えたわけじゃなく、最初から女性が復讐をするという内容だったし、描きたいことは明確だった。その後スタッフが集まって話し合ったのは、この題材をどういう風により洗練されたものにするかということで、いろいろな選択をしたわけだが、エンディングも含めて我々の選択は間違っていなかったと思う。この映画の中で我々は多くの問いかけをしているが、あえて答えは出していないんだ。
ニール・ジョーダン監督:最初に脚本を読んだときから、エリカの取る行動は不合法なものが多くても彼女への同情心がずっと消えなかったんだ。いろいろな段階でいろいろな事件が起こるわけで、私はいつも“いつ、彼女に対する同情心を失うんだろう”と自問しながら作業をしていたが、彼女のやっていることが悪いことだと分かっていてるにもかかわらず、ずっと同情心が消えることはなかったんだ。それがあったからこそ、この映画を作ろうという気持にもなったわけだ。

-----ジョディさん、映画の中では“処刑人”と表現されているようなエリカの行為について、どのように思いますか?

ジョディ・フォスター:もちろん、エリカの行為は間違っていると思う。刑事も最後は間違った道に走ったと思うわ。それでも、私たちは共感を覚えるのね。エリカの行為に賛同できるか否かはともかく、私たちは彼女の辿る道を共に歩んでいくからこそ、覚える感情だと思うわ。もちろん、暴力はあらゆるものを破壊する。相手のみならず、自分の周囲の者全てをも破壊するものだわ。でも、私たちは頭の中ではエリカの行為が悪いことだと分かっているし、彼女自身だってそれは分かっているんだけど、そうしないではいられない気持ちも理解できる……それこそがこの映画の美しさだと思うの。

-----撮影中に許せない、復讐してやりたいと思った人には出会いませんでしたか?

ジョディ・フォスター:人は誰でも、ネガティブな側面を持っているものだと思うわ。つまり、自分が嫌な目に遭わされたら、相手にも同じ痛みを与えたいという気持ちになることもあるわよね。でも私たちは文明社会に生きているわけだから、それを実行したりはしない。この映画が興味深いのは、そうした人間の内なる抑えがたい欲望を描いていることだわ。
 相手は人間じゃないけれど、私は電子機器に弱くて、それに対してはいつも癇癪を起こしてしまうわ(笑)。

ファクトリー・ティータイム

ジョディにとって、勇気ある人は母だという。彼女自身も母となり、物事をより深く見て行動するようになって、演技にますます磨きがかかり、さらに美しくなった。衝撃の結末とジョディの鬼気迫る渾身の演技に注目。
(文・写真:Sachiko Fukuzumi)


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