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舞台挨拶・イベント

トップページ > 舞台挨拶・イベント > 『黒帯 Kuro-Obi』初日舞台挨拶

初日舞台挨拶

2007-10-16 更新

八木明人、中 達也、神尾 佑(鈴木ゆうじ改め)、長崎俊一監督、飯田譲治(脚本)

黒帯 Kuro-Obi

配給:クロックワークス
10月13日より全国公開
(C)2007 KURO-OBI PARTNERS

 “初めて本格的に空手を描いた映画”として、国内はもとより、チャウ・シンチーをはじめ世界中の武術ファンから注目されている『黒帯 Kuro-Obi』が公開された。初日の舞台挨拶には実際に武術の有段者である主役の3人が登場、劇場は熱気に包まれた。

 この日登壇したのは、義龍役の八木明人、大観役の中達也、長英役の鈴木ゆうじ改め神尾佑、長崎俊一監督と、脚本の飯田譲治。まず、挨拶を求められた5人は、「空手というものの美しさや迫力を、この映画を観て感じていただければと思います」(長崎)、「この度は、映画『黒帯 Kuro-Obi』初日にご来場いただきまして誠にありがとうございます。押忍(おっす)!」(八木)、「本日は誠にありがとうございます」(中)、「おそらく、映画と違う名前で舞台挨拶をするのは私が初めてではないかと思いますが、今日はどうぞ楽しんでいってください」(神尾)、「役者さんも本当の空手家で、娯楽アクションとしてではなく、本当に日本の空手というものをちゃんと描こうという意志の元、皆で作った映画です。ぜひ、そこら辺を考えて楽しんでいってください」(飯田)と、手短に語る。

 実は、八木と中は本物の武道家で、演技については全くの初体験。「違う流派の先生や違う武道をやっている人と手合わせをしてから撮影に臨んだのですが、緊張し、いろいろなことがありました」(八木)、「学芸会にも出たことがないので演技は初めてでしたが、内容が普段仕事にしている空手なので、それほど違和感はありませんでした。道場で撮るシーンはごくわずかしかなく、砂利道や山の中、藪の中、泥沼の中でやるのは非常に難しかったです。最初に憲兵隊員を一撃で倒すシーンがありますが、ここでは下が砂利道で非常に難しかった上に、一撃で倒す時には本当に相手に当てて倒しています。この役は役者さんでは難しいということで、空手協会の大熊指導員を呼んできて実際に叩いて倒しましたが、他の憲兵隊員役の役者さんたちはこのことを知りませんでした。役者さんたちは大熊指導員のことを役者だと思っていたので、この映画は本当に役者を叩いて倒すんだと、非常に緊張したそうです。足下が不安定だと、どうしても刀を抜く時に鍔が当たるので、その前に相手を倒さないといけない。しかも、実際に叩くので何回も出来ないということで、ファースト・シーンは非常に緊張してやりました。実際に叩かれた大熊指導員は口の中がざっくり切れ、唇もいつもの倍以上に腫れていましたが、是非このシーンを見てください」(中)と、寡黙な八木の一方で、ファンが知りたい裏話を中が詳しく説明する。
 素顔の八木は、沖縄明武舘剛柔流空手道の始祖にして、沖縄県指定重要無形文化財である祖父を持つ、映画で演じた義龍同様武道の継承者だ。「自分の祖父や父が師匠なのですが、3歳の頃から空手が生活の一部で、先生である親から“空手に先手なし、相手を倒すものではない”ということを教えられ、空手道を通して人として精神的に鍛えられてきました。義龍という役は、人としても空手家としても、自分が小さい頃から目指していたことと一致する点が多いです」と、自ら演じた役どころを振り返る。

 一方の中は、社団法人日本空手協会総本部の師範として後進の指導にあたっている身。自ら演じた大観の生き方については、「先生の言うことを聞かず暴れ回っている非常に悪い男だと思いました。我々も同じですが、若い頃から人間が出来上がるようなことはないと思います。いろいろなことに挑戦し、いろいろな挫折を味わい、くじけずにまた挑戦していく。その中で初めて心が磨かれ、最後には義龍のようになるのではないかと思います。ですから、この映画は、大観と義龍、2人で1人みたいな感じで観ていただくと面白いかもしれませんし、皆さんの感想も聞いてみたいと思います」と説明。ちなみに、大観のような弟子がいたら、「教えません。すぐ破門にします」とのことだ。 主演の3人の中で、唯ひとりプロの役者なのが神尾佑。武道家である中と八木の演技について感想を聞かれると、「とても不安でした(笑)。嘘です、嘘です。やはり、最初はどうなることかなというのはありましたが、初日を迎え、カメラの前に立っているお二人を見て、すごいなと。その動じなさというか、堂々とした演技というか、そこにいるだけで絵になるという、そういう姿を見て、逆に芝居の原点を勉強させていただきました」と印象深げだ。神尾自身も国際空手道連盟極真会館城東支部に所属する12年以上のキャリアを持つ有段者だが、「僕より倍ぐらいの経験を積んでこられたお二人なので、空手についてものすごく勉強になりました。いろいろな流派のいろいろな考え方があることが判り、これからも一生空手を続けていくつもりなので、とても勉強になりました」と、二人との共演から学んだものも多かったようだ。

 長崎監督にも二人について聞いてみると、「不安は全くなかったですね。この映画に出合うまでは、空手について浅い知識しかありませんでした。この映画とやることになり、沖縄の道場で八木君と中さんの形や演武を見せていただきましたが、お二人の空手には説得力と迫力と美しさがあり、とても演技で出せるものではないことが判りました。印象に残っているのは、空手のシーンになると、八木君も中さんも表情がガラッと変わることです。それを何とかカメラにとらえたいと思いましたし、実際に映像になっているので、その辺も注目していただければと思います」と、神尾と同様の意見だ。 『NIGHT HEAD』や『リング』で知られる脚本家の飯田譲治に、この企画に惹かれた理由を聞くと、「子供の頃から空手の漫画や映画が大好きで、いつか関わりたいと思っていたのですが、なかなか機会がなく、今回こういう形で関わることが出来ました。脚本を書いている時は、すごく楽しかったですね。どんなものでも書く時はきついですが、今回は“自分は本当にこういう世界観が好きなんだな”ということを再認識するような作業でした」とうれしそう。

 最後に観客への挨拶を求められた長崎監督は、「空手の美しさと迫力を感じていただけると思いますので、ごゆっくり楽しんでください。そして、もし気に入っていただけたら、2回、3回と観てほしいし、お友達やお知り合いの方に知らせてあげてください。よろしくお願いします」と語り、この日の舞台挨拶は終わった。


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