インタビュー・記者会見等、映画の“いま”をリポート!

Cinema Factory

Cinema Flash





広告募集中

このサイトをご覧になるには、Windows Media Playerが必要です。
Windows Madia Player ダウンロード
Windows Media Playerをダウンロードする

記者会見

トップページ > 記者会見 > 『キングダム 見えざる敵』来日記者会見

完成披露記者会見

2007-10-04 更新

ジェニファー・ガーナー

キングダム

配給:UIP映画
10月13日(土)全国ロードショー
(c) 2006 Universal Studios. All Rights Reserved.

 サウジアラビア王国=キングダムで勃発した自爆テロの潜入捜査のため、派遣された4人のFBI捜査官が見えざる敵に挑むサスペンス・アクション大作『キングダム 見えざる敵』。TVシリーズ「エイリアス/2重スパイの女」でゴールデン・グローブ賞を受賞したジェニファー・ガーナーが来日、本作のプロモーションで記者会見は初めてという彼女が、過酷な現場で4人のうち紅一点の捜査官を演じきった苦労と喜びなどを語った。

-----アクション・シーンが素晴らしかったですが、体力作りはどのようにされたのですか?

 この映画の場合、他のほとんどのアクション映画と比べると、アクションの準備はほんの少ししかやらなかったの。例えば『エレクトラ』のときは、武術の練習もしなくてはいけなかったし、体を作る必要もあったわ。それに、アクションがきっちり振り付けされていたので、毎日数時間の訓練を受けたりもした。でも今回の映画の場合は、監督が振り付けとは正反対なものを求めたの。出来るだけ荒々しく戦うように言われたわ。もちろん、私の演じたジャネットは戦闘訓練を受けているけど、これまでは実際に戦うような状況に立たせられたことがなかったのよ。だから、最後のほうで戦っているシーンのアクションはほとんど即興と言ってもいいもので、互いに引っかいたり噛みついたり蹴り合ったり、あらかじめ打ち合わせておいた部分というのはほんの少しで、もう、お互いに殺し合うと必死だったわ(笑)。本当に楽しかった。

-----ドラマにしても今回の映画にしても、すごいアクションをなさっていますが、ケガをしたことはありませんでしたか?

 これまでアクション・シーンでケガをしたことがないかですって? もちろん、あるわ(笑)! ただ幸運なことに、小さな傷がついたくらいで、大きなケガはしていないの。以前に刀を使ったとき、親指の付け根に刀傷がついたくらい。でも、ほんの小さな傷だから、私はすごくラッキーだったわ。今回のアクション・シーンも、何としても自分でやりたいと思ったの。スタントがやっているところを見るとかなり痛そうだったけど、すごく面白うそうにも見えたので。それで、体のこことここにパットを入れて、ここで投げるから壁にこう当たるので……といろいろ説明を受けた後でやってみたんだけど、あまりに勢いよく投げられたので、壁をほとんど倒しそうになって(笑)。次のテイクのときには裏で壁が倒れないようにスタッフが押さえてくださっていたわ。それでも、ケガをすることはなかったので、本当にラッキーだったと思う。

-----現場では女性が少なかったそうですが、苦労話がありましたらお聞かせください。

 女性が一人だけだったのは楽しかったわ。男性陣みんなに甘やかされたから。椅子が一つしかなかったら、必ず私を座らせてくれたし、私の周りにはいつだって冷たい水があったし。
 ジェイミー・フォックスは紳士なので、私が日陰で涼んでいるか常に気にしてくれたわ。すごく暑かったから。クリス・クーパーもとっても紳士的だった。でも、監督のピーター・バーグには毎日のようにおもちゃにされたわ。お姫様のようには全然扱ってくれなかった。いつも私をからかっていたの。

-----男性チームの中で唯一の女性捜査官という役柄で、強さだけではなく、女性としての感情をいかに出すかという部分でバランスをとるのが難しい演技だったのではないかと思いますが、いかがですか?

 この映画の中では、女性も必要だと考えられた結果、1人参加したということになったのだと思うけど、特にサウジアラビアにおいてジャネットがどんな視点を持っていたかを追求することには、監督も私もそれほどエネルギーを注ぐつもりはなかったの。ただ、彼女はホワイトハウスでもFBIの上層部からも高く評価されている特別捜査官にもかかわらず、サウジアラビアに行くと何の権利も認められず、さまざまな苦労もするということには、私自身興味を惹かれたわ。この映画で唯一の女性を演じさせていただいたのはとてもありがたいことだったわね。

-----ジェニファーさんは女優というだけでなく、妻、そして母親としてのプライベートな生活があるわけですが、仕事と家庭のバランスはどのようにとっていらっしゃいますか?

 おっしゃる通り、私は妻であり母だけど、それは私だけじゃなく、世界中の女性たちがそのバランスに頭を悩ませながら日々格闘していると思うわ。今回の映画の現場は、働く母親としては最高の環境だったかも。というのは、今回はシーンに出ずっぱりなわけじゃなかったので、結構お休みがあったのよね。その間は娘の世話をしていたわ。働いているときも、一日の半分は娘をセットに連れていって、あとの半分は夫がホテルで娘の世話をするという感じだったから、申し分なかった。だから、娘にしたら母親が働いているという感覚さえなかったと思う。正直言って、働きながら、なおかつ母親であるというのはかなり混乱することで、私もどうすべきなのか未だに分かりかねているところがあるの。実は、この映画が終わってから、1年休みを取ったのよ。そして今は、夫が子供と一緒にいて面倒を見てくれているわ。働く母親って、働いていれば家のことを考えるし、うちにいたら仕事のことを考えるし、常にそうやって反対側のことを考えてしまうものなんじゃないかしら。

-----すごく印象に残ったのですが、メイズ捜査官は時々ロリポップ・キャンディをなめています。あれは彼女自身、気持ちを落ち着かせるためにそうしていたのでしょうか? あれはジェニファーさんが出されたアイデアですか? あるいは脚本にすでにあったのでしょうか。また、最後の混乱の中で、ズボンのポケットの中からキャンディを出して、サウジ人の子供に差し出すシーンがありますが、あれはジェニファーさんご自身のアイデアだったのですか?

 今回は私だけじゃなく、全員がFBIの方々からお話をたっぷり聞かせていただいたの。例えば法医学のことも学んだし、爆発物のことなども勉強したわ。私は当然、女性の捜査官たちとお話しすることが多くて、彼女たちにいろいろと質問したの。例えば、メイクや髪はどうしているのか、どんなズボンをはいているのか、ポケットには何を入れているのかとか。そしたら一人の人が、「私は緊張をほぐすために、いつもキャンディを持っている」とおっしゃったのよ。“あ、これはいいな”と思ったのでそのアイデアをいただいて、ああいう風にキャンディをズボンのポケットに入れておくことにしたの。
 で、最後のシーンだけど、もともとの脚本にはなかったの。監督と話をして、キャンディを使おうということになったのね。気に入ってくださってうれしいわ。

-----『エイリアス』ではCIAのスパイ役が素晴らしくカッコ良かったですが、今回はFBIの捜査官で、FBIとCIAということで演じ分けられた点があったらお聞かせください。

 この役をやるとき、実は正直言って、ちょっと不安があったの。というのは、CIAとFBIは似ているかもしれないと思ったから。でも、今回の映画はとてもリアルだし、『エイリアス』のほうはどちらかというと、コミック的、テレビ的なオーバー・アクションの物語なんだと、その違いにすぐに気づいたわ。この映画の場合は、FBIの捜査官を出来るだけ現実に近づけているというか、地に足のついた成熟した大人でプロフェッショナルな役だったので、全く違うものなんだから心配しなくていいと思ったの。

-----この映画の見どころを教えてください。

 この映画には、4人の俳優の間のケミストリー、相乗効果がすごく良く出ていると思う。私たちは全員、違う個性を持っていた。クリス・クーパーはとてもシリアスで静か、ジェイミーは騒々しく面白くて、ジェイソンはドライなユーモアの持ち主でいつも何かを面白く皮肉る人、そして私……というわけで、その4人がそれぞれのキャラクターをうまく生かしながら即興的な部分も取り入れつつ自分の役を演じて、とても自然な感じでケミストリーが生まれたの。それには本当に満足したわ。

-----これは自爆テロを題材にした社会派映画ですが、ジャネット・メイズという役を演じる前と後では、テロ行為について考え方が変わったでしょうか。

 確かにこれは、政治的な要素が色濃く出ている映画だわ。でもそれ以上に、まず何よりも非常に良く出来たエンターテインメントで、観客がポップコーンを食べながらハラハラドキドキできるエキサイティングな作品なの。……日本でもポップコーンは食べるわよね(笑)? 初めから、説教臭いとか政治的だとか思わないで、まずは楽しんでいただきたいと思うの。ただ、その上で言わせていただくなら、確かに政治的なメッセージはそこにあるわ。世界中で起きていることに関して、私自身、この映画に出演した後は見方が変わったかもしれない。世界地図では例えば、アメリカは青色で日本は緑色で、旧ソ連はまた違った色で……と色分けされていたりして、それを眺めていると、ここは良い国、あそこは悪い国、敵国、怖い国などという目で見てしまうのは簡単なことだわ。でも、この映画に出演して分かったのは、それぞれの国には色なんてない、そこには人々がいるだけだということだった。その人々には子供がいて、夢や希望があって、その99.999%までの人々が他者を傷つけたくないという同じ想いでいるんだということが理解できたの。言葉のアクセントや、ターバンを巻いているとかどんな服を着ているとか、どこどこの出自だとかいうステレオタイプな見方は止めて、親や兄弟、友達という目で見るべきだということを、この映画から教えてもらったわ。

-----次回作として、邦画『いま、会いにゆきます』のリメイクを製作・主演されるということですが、プロデュースまでしようと思った最大のポイントと、オリジナルとどんな部分で違う作品になるのか、今言える範囲で教えていただけますか?

 私は小さな製作会社を持っているんだけど、あるとき、『いま、会いにゆきます』(註:英題は『Be With You』)を見せていただき、もう、大泣きしちゃったの(笑)。本当に美しい映画で、大好きになったわ。一体誰がこれをアメリカで映画化するんだろうと思って聞いたら、どこも予定がなくて権利もあるということなので、じゃあ、自分で作ろうと思ったの。とても幸運なことに、最高の脚本家に書いていただいているし、『アメリカン・ビューティ』のプロデューサーも関わってくださるということで、この映画のためにベストなチームを組むことができたので、私としては今、一生懸命実現しようとしているところなの。この映画にどうして惹かれたかというと、国を越えて誰でも感動できる愛の物語だからよ。日本の映画と一番大きな違いというか、私たちが解決しなければいけない問題点となっているのは、日本の映画の場合、ちょっと神秘主義的でマジカルな部分があることなの。それはおそらく日本文化にはしっくりくるものなのかもしれないけど、私たちアメリカ人はもっとシニカルなので、マジカルな要素といったものはそのまま受け入れられないと思っているわ。だから、そこの部分をいかに、アメリカの観客にとって違和感のないものにしていくのかということが当面の大きな課題なの。

-----もちろん、ヒロインはジェニファーさんですよね?

 ええ、も~ちろんよ(笑)! でも、夫の役はまだ決まっていないわ。それこそ、皆さんの意見をお聞きしたいくらい。

ファクトリー・ティータイム

2005年12月、ベン・アフレックとの間に娘が誕生したジェニファー。母となっても瑞々しい若々しさで、ニッコリ笑ったときのエクボが何とも愛らしく、180㎝近い長身に、ミニ・スカートからすらりと伸びる足が美しい。仕事と家庭の両立について聞かれたときの話によると、1年ぶりに仕事に復帰した彼女に代わって、今度はベン・パパが子育て中だとか。最近も米雑誌に「ジェニファー・ロペスとの交際のせいで、キャリアが台無しになった」とボヤいたという彼。一方のジェニファーは、映画にテレビにプロデュースにと大ノリで、この夫婦の行く末はいかに……。
(文:Maori Matsuura、写真:Kei Murakami)


関連記事

Page Top