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『土手と夫婦と幽霊』
オフィシャル・インタビュー

2021-07-24 更新

渡邉高章監督


土手と夫婦と幽霊dotefufu
©2021 zampanotheater
配給:アルミード

 日本芸術センター映像グランプリ&湖畔の映画祭 主演俳優賞(星能 豊)受賞、海外映画祭でも受賞を重ねている渡邉高章監督作『土手と夫婦と幽霊』。この度、公開を前に、渡邉監督のオフィシャル・インタビューが届いた。


渡邉高章監督

 脚本監督。東京都出身。​日本大学芸術学部映画学科卒。二児の父。
 映画やドラマの演出部・制作部を経て、現在は「ザンパノシアター」にて映像制作を行っている。「子ども映画シリーズ」第一弾となる『サヨナラ、いっさい』は、全国四十箇所以上の映画祭等で上映され、最高賞を含む複数の受賞を果たした。
 他に『ELEPHANTSONG -A TOKYO COUPLE STORY-』『多摩川サンセット』『そんな別れ。』『別れるということ』(星能 豊脚本・主演)等がある。
 ケミカルボリュームの音楽ドラマ『あかりのむこう』全五話(脚本・監督)はYoutubeにて無料配信中。
 新作は押谷沙樹とコラボした短編映画『I Forget』。


夫婦と幽霊の話にしたきっかけはありますか?

 当初、「土手と夫婦」というタイトルで、夫婦がもう一度歩き出すというシンプルな物語を考えていましたが、すぐに撮影に入れず、温めていろいろと考えているうちに、さまざまな変化をして、最終的に幽霊が登場していました。私は作品の中で、ある種の境界線として「川」や「土手」をモチーフにすることが多いのですが、その世界観に浸食されていったような感じでしょうか。


原作としてクレジットされている日下部征雄「土手と夫婦と幽霊」は、主人公の「私」が書いたという設定かと思います。メインキャストの皆さんには脚本の前に読んでもらったそうですが、どのような内容ですか?

 私(日下部征雄)が書いた約4万字の小説です。文庫本に製本してから俳優さんたちに渡しました。大まかな内容は基本的に映画と変わりませんが、主人公「私」の心情や、主人公が彷徨う世界観は、より細かく書き込まれています。


タイトルにも関係してくるかと思いますが、モノクロで撮影した理由はどこにありますか?

 撮影時はカラーでした。当初衣装をモノトーンにしてと、色調をあまり派手にしないよう努めましたが、仮編で画を繋いでみると、思ったより多摩川にはさまざまな色があり、自分がイメージしていたよりカラフルになっていました。それを消したいと思って、編集段階でモノクロに変換しました。結果的に、文学的な要素と相まって、相乗効果が得られたのではないかと思います。


衣装に関してはどのようなこだわりがありますか?

 全体的には世界観を汲み取ってモノトーンで探しました。(主演の)星能豊君の衣装は、ご本人の希望で、ご自身で用意していただきました。物語に関係してくるので多くは言えませんが、衣装のカミフクモトジュン君が、(<高橋>役の)佐藤勇真君の衣装にビンテージのアロハシャツを幾つも用意してくれました。ちなみに、<高橋>のハットは私のパナマ帽です。


〈私・小説家〉役の星能(ほしの)豊さん、〈女〉役のカイマミさん、〈高橋〉役の佐藤勇真さん、〈髪の短い女〉役の小林美萌さんのキャスティング理由をお教えください。

 星能豊君は、2013年に製作した映画『くにこマイル』のオーディションからの付き合いです。以来、家族ぐるみの付き合いをさせていただいております。これまで何本も星能君を撮っていますが、毎度一緒に作品を作りたいと思わせてくれる俳優です。
 カイマミさんと初めて会ったのも、星能君と同じオーディションでした。実は、脚本の時点で、カイマミさんだけは想定がありました。〈女〉役は、カイマミさんしかいないと思っていました。今回承諾していただいて、本当に嬉しかったことを覚えています。
 佐藤勇真君は、それまでも短編映画に出てもらったり、映画祭で出会ったりということがあって、知らない仲ではなく信頼の置ける俳優さんでしたので、自然と今回〈高橋〉という役をお願いしました。
 小林美萌さんは4人の中では一番古い付き合いです。喜怒哀楽を表現するのがとても上手な方で、私は彼女の動きがあるお芝居がとても好きで、今回もいろいろとお願いしてしまいました。
 今回の撮影形態は、メインスタッフ私一人ということがあって、現場をいかに効率的に回すかは重要でした。そのために、現場での俳優さんとの演技に関するコミュニケーションを極力減らしたかった。よって、自然と以前から信頼の置いている俳優さんにお願いすることにしたのです。


dotefufu

日本芸術センター主催映像グランプリでグランプリを受賞し、湖畔の映画祭では主演俳優賞を受賞しましたが、受賞した際の感想をお教えください。

 「映像グランプリ」は、初めての受賞、それもグランプリだったこともあり、とても嬉しかったです。「映像グランプリ」は、毎回いろいろな映画祭で選ばれているような作品がノミネートされています。その中で本作の名前が最後に呼ばれた時は、すごく信じられないような思いでした。
 「湖畔の映画祭」では、星能君と並んで授賞式に出席したのですが、星能君の名前を呼ばれた時に、彼が隣で泣いているのが分かったんです。その時に初めて、この作品を撮る意味があったというか、報われたと感じました。「映像グランプリ」でグランプリを受賞した時以上に嬉しかったのを覚えています。


読者の方々にメッセージをお願いします。

 本作は、モノクロでクラシックな風変わりな作風かもしれませんが、「生と死」、「この世」と「あの世」など、様々なテーマを内包した作品になっております。きっと皆様の心に何かを残せると信じております。お時間がありましたら、くれぐれも健康にご留意されたうえで、ぜひとも劇場に足を運んでいただければと思います。



(オフィシャル素材提供)




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