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『メカニカル・テレパシー』
オフィシャル・インタビュー

2020-10-05 更新

五十嵐皓子監督


メカニカル・テレパシーmechatele
© Akiko Igarashi
配給:アルミード

五十嵐皓子監督

 1982年生まれ。埼玉県出身。
 映画美学校フィクションコース第13期高等科・脚本コース第4期高等科修了。
 2016年、短編『心を可視化する機械』を監督。長尾理世が企画と主演をつとめ、フィクション・コース修了生とともに作り上げた連作映画『月刊長尾理世』の内、11月号『牛乳配達』(15/監督:長尾理世、小田 篤)に共同脚本として参加し、したまちコメディ大賞2015準グランプリを受賞。本作が初の長編監督作品となる。




 「心を可視化する機械」を巡る3人の男女の物語、五十嵐皓子監督の初長編映画『メカニカル・テレパシー』。五十嵐監督のオフィシャル・インタビューが到着した。


「心を可視化する機械」というアイデアはどこから来たんですか?

 「心を可視化したらどうなるんだろう」ということを考えていて、抽象的なイメージも考えていたんですけれど、「それを実際に姿として見せる機械があって、それを軸として展開するSFの話があったら面白いんじゃないか」と思いつきました。

その後の細かい展開はどう決めて行ったんですか?

 まず、「心を可視化する機械」というSF的なアイデアがありまして、それを物語として展開していく際に、好きな人の気持ちを知りたいとか、自分の気持ちが分からないとか、日常的に身近にある感情を元にして展開していく話にしたら、いろいろな人が楽しめるのかなと思いました。


脚本はどのように構想されていったのですか?

 おおまかな骨格は決まっていたんですけれど、場面自体が撮影ギリギリまで決まっていない部分がありました。今までリハーサルで演技していただいて作ってきたものを見ながら、脚本に落として撮影初日に渡しました。


劇中のセリフにあった、「小説と映画化された映画とで結末が違う。2つ別々の人間がいる」という考え方も面白かったですが、いつも気になっていたんですか?

 はい。原作があって、それが映画化された作品を観た際に、いつも「原作はどうなっているんだろう?」「それをどうやって演出したんだろう?」とその違いを見るのが面白くて、今回そのセリフを入れてみました。


劇中のセリフにあった、「心って海に似ているのかも」というのも以前から考えていたことなんですか?

 以前からは考えていなかったです。今回心をテーマにした作品を作っていく中で、ロケ地を探しながら脚本を書いていたんですけれど、ロケ地となった神戸が海のある街だったので、海を見ていて、「もしかして心って海に似ているのかな」と思いついて、セリフに入れました。


キャスティングの際の面白いエピソードはありますか?

 当初企画の段階では、メインの3人(トオル、碧、草一)の三角関係で、アスミ役は存在しなかったんですけれど、CO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)の俳優特待生のワークショップで伊吹 葵さんの演技を見て、アスミという役のキャラクターとセリフが頭に浮かんだので、アスミ役を追加しました。


理事長役の青山雪菜さんは、宝塚歌劇団の元星組娘役スターですが、ご一緒していかがでしたか?

 リハーサルのときに、「怖い感じで」だとか、「優しい感じで」だとか演出をすると、すぐパッと感じを変えてお芝居をされる、本当に素晴らしい方でした。


役者さんによっては、役本人と心が可視化されたバージョンと演じ分けなくてはいけなかったですが、どういう演出をしたんですか?

 キャラクター作りに関しては、キャストの方で主体的に進めていただき、心のバージョンも何パターンか作っていただきました。怖いバージョンやもっと極端なバージョンなども演じていただいた中で、本番でやっていただいたバージョンに決めて行った形です。


本作は、大阪アジアン映画祭のインディ・フォーラム部門で上映されました。観客の反応はいかがでしたか?

 初めての上映でかなり緊張したんですけれど、具体的なエピソードに関してここが良かっただとか、温かい、元気をもらえる感想を頂きました。


本作で特に注目してもらいたい部分はありますか?

 キャストです。これからどんどん活躍していく役者さんたちが出演していますので、その方たちの演技をぜひ観ていただきたいと思っています。


webインタビューの読者にメッセージをお願いします。

 大きいセットや設定を使わずに、不思議な気持ちになれるようなSFをどうやって作るかということを考えて今回作りました。その中で、自分の中にある、人を想うとか、誰かを好きになるという気持ちは一体何だろうというのを突き詰めて、新しい感覚に浸れるような映画を目指しました。
 黒沢 清監督の『散歩する侵略者』が、恋愛とSFを掛け合わせたような作品だったので、それに憧れ、SFが好きな方、恋愛い映画を観たい方、いろんな方が楽しめる作品を目指して作りました。ぜひ劇場でご覧ください。



(オフィシャル素材提供)




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