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『ファンファーレが鳴り響く』
初日舞台挨拶

2020-10-19 更新

笠松 将、祷キララ、森田和樹監督

ファンファーレが鳴り響くfanfare 配給:渋谷プロダクション
新宿K's cinemaにて公開中ほか 全国順次公開
© 「ファンファーレが鳴り響く」製作委員会

 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2020のオープニング作品として上映された森田和樹監督の待望の最新作『ファンファーレが鳴り響く』。10月17日(土)のK's cinemaでの初日舞台挨拶に、笠松 将、祷キララ、森田和樹監督が登壇し、一見過激に見える本作のメッセージ、主人公の母を演じる黒沢あすか、父を演じる川瀬陽太、国会議員を演じる木下ほうかとの撮影エピソードなどについて語った。


 冒頭、森田監督は「4年前に自分が病気を患いまして、治療して就職活動をしたんですが、病気のことを伝えたら、『その病気じゃ無理だね』と一言で片付けられて、社会的弱者になったんだなという気持ちがありました。翌年ゆうばり映画祭でグランプリを獲って、この映画を作ることになったんですけれど、その時の自分の気持ちを、YouTubeで見た吃音症の方の気持ちに重ねて作りました」と本作に込めた気持ちを吐露。

 主演の笠松は、「監督になんでこういう脚本を書いたのかを聞いたら、1日こんなに薬を飲んでいるという話を聞いて、僕にとっては、何個かある作品の内の1つだけれど、目の前にいるこの人にとっては、めちゃくちゃ大切な1つだと思って、原点回帰できました」とその想いを受け止めたエピソードを語った。

 笠松は完成した本作を観た感想を聞かれ、「(作品中)僕ら二人でいろいろな人を殺していくわけですけれど、最後に僕の役は幸せな気持ちになるんです。いじめられている主人公が人を殺したことによって笑えたわけで、自分の存在した意味があった。今の社会の中で、周りからの評価と自分を大切する気持ちを分けて考えられていないと思うんです。自分がどうしたいということと周りがどう思うかは別じゃないですか。その難しいことを、この時代に合わせてバシッとはめてきた。時代を読んでいて、めちゃくちゃ高度なことをやっていると思いました」と大絶賛!


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 演じた光莉は狂気を孕んだ役だけれど、一言でサイコパスと片付けたくないと思ったという祷は、「予告やポスタービジュアルとかで、激しい快楽殺人をスプラッターで描いた映画だと受け取る方もたくさんいると思うんですけれど、この映画では、形とか見た目ではなくて、犯した犯罪の裏にあるものだとか、二人が選んでいく道筋の内側にあるものを監督は映像に映したいのかなと思いました。私は映像にそういうものが残る作品になればなと思いました」と語った。


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 二人の想いを聞き、森田監督は、「先ほど話した気持ちを含めて脚本を書いているんで、お二人は現場で一生懸命で、あの時の二人と一緒にやれたことが幸せでした」と感謝を述べた。


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 撮影では、テイクをあまり重ねず、瞬発力を大事にしたという話題になると祷は、「ここのシーンがバチッとハマらなかったらこの映画は終わりだなと思っていたシーンがそれぞれにあったと思うんですけれど、そういうシーンの時は、『感情をこう作ってください』だとか『こういうふうに見せてください』っていう演出はされず、その場で生まれたものが見たいと監督が本番に委ねようとしてくださっているような印象を受けました」と回想した。

 過保護なお母さん役の黒沢あすか、厳格なお父さん役の川瀬陽太について聞かれた笠松は、「気持ちを作って演技をする方もいいんですけれど、『気持ちは体に出るけれど、体も気持ちに出る』という僕が好きな理論を、川瀬さんから感じました。役割を理解して『こういうパフォーマンスをする』っていうのが明確で、すごくやりやすかったです。川瀬さんがそうやってきてくれるから、そこに僕が乗っかるみたいな。言い合うシーンもあるんですけれど、やっていてテンポがよくて気持ちが良かったです」と撮影エピソードを披露。「黒沢さんは、カットがかかってもめちゃくちゃ優しくて、『こんな綺麗なお母さんいる?』と思いながら演じました」と話し、笑いも誘った。

 国会議員役の木下ほうかとのシーンについて聞かれた祷は、「ほうかさんからも学ぶ部分がたくさんありました。アクションや動きも一緒に試行錯誤してくださって、一緒に考えて作っていけたのが刺激的でした」とこちらもベテラン俳優に感謝を述べた。

 最後に笠松は、「インディーズっぽさもあると思うし、インディーズの映画にこんなメンバーが集まったというのは、監督やプロデューサーの器、人間性、これまで培っていったものの塊で、すごいなと思います。この作品は完璧ではないけれど、監督の想いが詰まっていて、その想いを字にされたものを僕らは読むんですけれど、冒頭で話した出来事(薬の話)が起こり、自分がやってきた仕事や価値観が変わりました。時代が粗探しをする時代じゃないですか。粗なんて誰にでもあると思います。『この作品では、宝探ししたほうが面白い』と思うくらい、やってよかったなと思った作品なので、皆さんと共有できたらと思います」と熱いメッセージを送った。



(オフィシャル素材提供)



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