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『HOKUSAI』第33回東京国際映画祭 特別招待上映 舞台挨拶

2020-11-10 更新

柳楽優弥、田中 泯、橋本一監督、河原れん

HOKUSAIhokusai 配給:S・D・P
2021年5月TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー!
© 2020 HOKUSAI MOVIE

 映画『HOKUSAI』が、第33回東京国際映画祭クロージング作品として選出され、葛飾北斎生誕260周年である本年に遂に世界最速上映&舞台挨拶が開催された! 会場では『HOKUSAI』の最新特別映像が流れ、観客らが高揚しているところに、二人一役で葛飾北斎の青年期と老年期をそれぞれ演じた柳楽優弥と、田中 泯、本作のメガホンをとった橋本一監督、企画・脚本の河原れんが登壇した。


 盛大な拍手に包まれながら、「本日はお越しいただき、ありがとうございます。葛飾北斎役で最も興奮したことは、時代劇であるのに刀を使ったチャンバラのような殺陣をやるのではなく、アーティストを演じさせていただいたということです。これは本作の魅力のひとつだと思うので、楽しんでご覧いただきたいです」(柳楽)、「北斎の老年期の役ということで、自分もご覧の通りの年齢ですが、嘘偽りなく年齢を感じながら演じさせていただきました。本当に光栄な役でした。小さいころから北斎に触れることの多い人生でしたが、その北斎を身をもって演じることができたのは、この上ない幸せな撮影の日々でした。楽しんでご覧いただければと思います」(田中)、「北斎生誕260年という年ですが、北斎が生まれた江戸、東京というこの町の東京国際映画祭のクロージング作品に選んでいただいて光栄です。皆様に楽しんでご鑑賞いただければと思います」(河原)、「一年以上も前に撮影して、ようやく皆様の前にお披露目できる日がきて嬉しいです。最高のスタッフ、キャストと共に作り上げた一本です。特にこの主演のお二人の“目”の素晴らしさには、カメラ越しに見ながら抱きしめたくなる時が何回もありました」(監督)とコメントし、公開を待ち焦がれていたファンの前で想いを伝えられる喜びを噛み締めた。

 本来ならば2020年5月の公開を予定していたが、改めて来年の公開を控えて柳楽は「僕自身、北斎の絵は知っていたのですが、北斎の人生についてはあまり多くのことを知らなかったんです。特に青年期の情報はあまり残されていないこともあり、僕たちの北斎像というものを監督と作り上げていきました。見ごたえのある作品にできたのではと思います。期待していただきたいです」と自信満々にコメント。田中も「この映画は撮影中から好きで、撮影が終わってから時間が経ちますが今でも好きな一本です。こんなにも世界中に知られている北斎ですが、この映画が語っていることを観ていただくことで、北斎が絵を描いた理由が少しは伝わるんじゃないかと思います。北斎もこのタイミングで観てもらうことで、喜んでくれているんじゃないかな」と北斎の想いを語るかのように丁寧に言葉を紡いだ。

 葛飾北斎の人生や人物像については史実も少なく未だに謎に包まれているが、世界で最も有名な日本人として知られている。最近では『鬼滅の刃』の主人公が使う技、“水の呼吸”も北斎のあの波をイメージされてると聞き、青年期の北斎を演じた柳楽は「北斎が『鬼滅の刃』にも響いているなんて、すごいですよね。僕は俳優をやらせていただいていて、絵を描き続けた北斎とは少し違いますが、同世代の(東洲斎)写楽や(喜多川)歌麿ら当時のスターたちが台頭していく中で、悔しいとか、もっと上手くなりたいという気持ちは、僕と同じなのではないかなと思いながら演じさせていただきました。北斎が何故そこまで“波”に感動し、こだわって描いていたのかという理由を撮影していく中で見つけたいなと思っていたのですが、撮影が近づいていくにつれて、北斎はこの波の絵に(で成功できなかったら)人生を諦めるくらいの覚悟と情熱を込めて、向き合っていたのでないかと思いました」と北斎の想いを感じ取りながら演技に努めたそう。

 老年期を演じ、撮影現場でもまさに北斎そのものだと称賛されていた田中は「北斎はすごい昔の人です。今の世の中にはいないし、産まれてきた環境も地球も今のようではなかった。ものすごく大きな時間の開きがあるのにも関わらず、世界中で皆さんが絵をみて何かを感じる。有名な名前だけが継承されていっているのではなく、絵を見たときにその凄さが向かってくるのが本当に羨ましいです。北斎は『こんな世の中、おかしい』、『もっといい世の中がないのかな』と口癖のように言う人でしたが、僕もその台詞にとても同調して、震えるように言葉を発することができて嬉しかったです。僕も子どものころから『なんで大人はああなんだろう?』、この年になっても『大人のせいかな?』と思ってしまうことがしばしばあるので、北斎と似ているのかもしれないですね」と北斎との共通点を明かした。

 北斎という難しい題材を映画化するにあたって、河原は「葛飾北斎という人は、江戸時代に90年も生きた人で、そんな人の人生をわずか2時間にまとめるのは不可能な話なんです。90回以上引っ越したとか、30回以上名前を変えたとか、3万枚以上の作品を残したとか、逸話はたくさんありますが、これをまとめるだけではただのダイジェスト映画になって面白くないなと思いました。そこで、本当に何を描きたいのかなと思ったときに、やはり北斎が描いた“絵”に焦点を当てて、どんな絵を描いたのか、その絵を描いたときに、北斎は誰と出逢い、どんな気づきがあったのだろうか、影響を受けた北斎の次の絵はどんなふうに変わったのかと、私なりに考えながら作品を作り上げました。柳楽さんと田中さんのお言葉を聞いて改めて、北斎の“美しい不器用さ”を描きたかったんだなと感じました。きっとそういう一面があり、愚直に自分の作品を作り上げて、世に何かを伝えようとしていたんじゃないかなと思います。他にもこの作品に込めたメッセージや、今の時代にだからこそ見てほしいという意味も、ご鑑賞いただいて感じていただきたいです」と北斎を表現した苦労を熱く語った。

 また橋本監督も「この映画を作る際に、なぜ北斎はここまで世界中で認められて、人気があるのか。特に波の絵は見ただけで沸き上がってくる気持ち、あのワクワク感はどうやって創り出したのかという答え探しを目標にしていました。ただその答えは僕自身も見出してないし、作品の中にも答えはないかもしれませんが、観ていただいた方はそれぞれの答えを感じとれるかと思います。そして言葉のない絵と同様に、日本語が分からない、言葉が分からない人が見ても伝わるような映画を目指しました」と北斎同様に本作が世界中で愛されることへの願いとこだわりを語った。

 更に今回、本作の公開が2021年5月TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショーの決定が発表され、登壇者の4名も歓喜! 最後に「僕は10代のころから日本映画に関わらせていただいています。今、このような時期で気をつけるべきことは多いと思いますが、日本映画ファンとして、また皆さんに元気をお届けできるような俳優でありたいと思います。楽しんでください!」(柳楽)、「ヨーロッパやアメリカ、世界中で映画が観られていない状況の中で、今日これから上映されるということは本当に特別な時間を体験なさるということだと思います。ぜひ、大切に観ていただき、そして正直な感想を持っていただきたいです。今は映画どころではないという人たちが世界中にいるかと思いますが、作る側も夢中で作った映画です。ぜひよろしくお願いします!」(田中)と『HOKUSAI』の記念すべき世界初上映を見届ける観客と、来年5月の公開に期待を膨らますファンたちに向けて世界中が苦難のときを過ごしているいま本作を届けることの意義と自信を込めたメッセージを送り、舞台挨拶は終了。今後のエンタメ業界を『HOKUSAI』が“あの波”のように、力強く豪快に盛り上げていくことを予期させるようなイベントとなり、幕を閉じた。



(オフィシャル素材提供)



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