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舞台挨拶・イベント

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『町田くんの世界』
ティーチインイベント

2019-08-02 更新

石井裕也監督、池松壮亮、仲野太賀

町田くんの世界machidakun 配給:ワーナー・ブラザース映画
公開中!
© 安藤ゆき/集英社
copy; 2019 映画「町田くんの世界」製作委員会

 全国公開中の映画『町田くんの世界』。カナダ「ファンタジア国際映画祭」オフィシャルコンペテイション部門“Cheval Noir(シュバル・ノワール)”にて選出、そして香港、マカオ、台湾、韓国での海外配給が決定するなど国内外で大きな話題の本作のティーチインイベントが東京・キネカ大森で実施され、石井裕也監督、池松壮亮、仲野太賀が登壇した。


 上映終了後の高揚感に満ちた会場に、石井裕也監督、池松壮亮、仲野太賀が盛大な拍手に迎えられて登場! 池松は「今日はありがとうございます。どう考えてもこの映画が大分好きで、公開から大分経ってしまいましたが大森に来ました。よろしくお願いいたします」、仲野は「公開から時間が経ちましたがこれだけの人に集まっていただけて嬉しく思います」、石井監督は「前々からこのようなイベントをやろうと言っていて、本当はこういうことを毎日やりたいんですけど、いろいろあるのでこの時期になってしまいました(笑)。作り手として映画を観たお客さんの前で話すことはとても大切なことです」と各々公開後に映画を観た観客の前に立って作品を語る機会を持てたことについて喜びのコメントを寄せた。実は、仲野は現在舞台に出演しており、その合間を縫っての登壇。なんと本作のもぎりを、一緒に舞台に立っている女優の片桐はいりが行っていたことを明かした。


machidakun

 世界の見え方を180度変えてしまうユニークなメッセージと驚天動地のラストが描かれ、映画が公開されると様々な意見が飛び交い、日本映画のセオリーをもブッ飛ばした本作。太賀は「映画で誰かの人生を追体験できるのが面白くて、観る人に共感が生まれて、映画を観た2時間後に何かが変わると思うし、今まで僕もそういった体験をして救われたなということもあって映画の一つの楽しみだと思います」と映画そのものの魅力を語る。太賀の話を聞いていた石井監督は、現在新作の映画でキャスティング中であると明かし、「映画俳優と呼べる若い人がなかなかいなくて、映画っていうものが期待されていないメディア。ここの2人は20代俳優の天才ですけど、背負わなければいけないものも大きいと思う」と現状の映画界を危惧し、池松も「みんなでやんわり映画の価値を落としているので、いまだに映画を観に来てくださる方には感謝です。何とかしなきゃいけないとは思っているところですが、悪化していくのは間違いないかな……」と石井監督のコメントに共感。「何か息苦しさを感じている世の中だと思うんですよね。何か縛られている。制作側もそうなっていく危機感があるのは事実で、脚本などで少しでも妥協した場合、肉体で具現化してくれるキャストにしわ寄せが行ってしまう。何とか踏ん張ろうと思っています」と、石井監督は映画作りで起きている実状を激白した。

ことを明かした。


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 石井監督は「最近、映画とはこうあるべきだと語られていながら、映画というものは人生を語ると同じような意味合いになってるように感じて、人生と映画が混同してきています。でも、人生と映画を混同してもらいたくて映画を作っていることもあって……。池松君はいつも誰かにとっての生涯の一本になって欲しいと言っていますが、それについてどうですか?」と自身の映画の在り方について語るとともに、長年一緒に作品を作ってきた石井組常連の池松に疑問を投げかけるシーンも。池松は「(映画というものへの解釈は)絶対条件としてというものは揺らいできていますが、それぞれの中にあっても良いと思っていて、映画とは少なくとも絶対条件として人生を語るものでなければならないし、社会でも個人でも良いですが未来を勝ち取るものだと思いますし、社会や個人同士の関係を向上させる役割を持つものだと思う」と、自身の映画観について論じ、石井監督も「映画という概念はどういうものでも良いと思っています。暗闇の中で、自分とは違う人生や誰かの想いに想いを馳せるもので、他者や外部に対して想像をするというか……。自分に向かっていることもあり特異なものと思っていますし、それが映画の面白さだと信じています。ものすごく偉そうな言い方をしてしまうと観たお客さんの人生や暮らしに何らかの関わりを持ちたいという危惧があり、今回の映画では、“飛ぶ”ということが挙げられる」と語る。


machidakun

 石井監督が語るように、既に公開となっている本作では、ラストで描かれる主人公の町田くんが空を“飛ぶ”ということについて物議を醸しているが、池松も「“飛ぶ”ということが今回受け入れられるか2つに分かれた」と明かし、本作の製作プロデューサーを務めた北島直明も「何で飛ぶんですか? 夢想ですか? 空想ですか?」と石井監督に自身が感じた演出について疑問を投げかけたと言う。そして「信じるまでに時間がかかりました。細かいことはそんなに重要ではないということに気づき、すべての物事に道理をつけてしまうとつまらないなと思うようになった。映画の良い悪いを決めることについても含めて」と続けた。また、北島プロデューサーの話に耳を傾けていた石井監督は「今の時代はこういうことをやってはいけないという同調圧力があって生きづらいなと思っていて。青春学園ものならばこういうになっていないといけないとか、こういう終わらせ方でないと楽しめないという自分の世界を決めてしまうという状況に息苦しさを感じてしまって、だから自由を勝ち取るという気持ちもあって飛ばしてしまいましょう、と。“飛ぶ”“飛ばない”で映画を受け入れられるかではなく、映画の豊かさ、面白さ、価値が含まれていると思っています」と、自身の思う映画論を展開。仲野も「“飛ぶ”“飛ばない”もそうですけど、それができるものこそ映画の表現の自由だし、映画の中での飛躍で映画的だと思う。最初から飛ぶ話だと違いますが、序盤から共感があってそこから主人公が何かを得るために必要な飛躍だと思っていて観る人にとってはファンタジーなのかそうではないのかと戸惑いを感じる人がいるかもしれないんですけど、映画の作り手として参加した人間だから言えるんですが、そういうものこそ逆に頭を柔らかくして受け入れられたら映画を作るものとして自由を得ることができるし、もっと多様な映画が作られる。本作は漫画原作で、有名な役者さんがたくさん出ていて大作映画だと思うんですが、そういう映画であえて石井監督が飛ぶという選択をしたのはとても意味があることだと思う。飛ぶまでの助走の1人になればいいなと演じていた。そういう映画があればと思って演じていました」と、熱を込めて本作に込めた想いを述べた。 


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 会場には、栃木から大森まで駆け付けたという熱心な本作のファンの姿も見られ、観客とのQ&Aを行ったり、映画への熱い想いが溢れる熱気に満ちたムードの中、イベントは幕を閉じた。



(オフィシャル素材提供)



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