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舞台挨拶・イベント

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『ある少年の告白』トークイベント

2019-04-10 更新

溝口彰子氏、奥浜レイラ氏

ある少年の告白boy-erased 配給:ビターズ・エンド/パルコ
4月19日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー!
© 2018 UNERASED FILM, INC.

 俳優のジョエル・エドガートンが『ザ・ギフト』に続きメガホンを取り、若手実力派ルーカス・ヘッジズが初主演を飾る、映画『ある少年の告白』が4月19日(金)より全国公開となる。公開に先立ち、4月8日(月)にトーク付き特別試写会が開催された。

 2016年に発表され、NYタイムズ紙によるベストセラーに選ばれるなど全米で大きな反響を呼んだ 衝撃の<実話>をもとに、ひとりの青年の葛藤と成長、親と子が絆を再発見するまでが描かれる本作。主演は『マンチェスター・バイ・ザ・シー』で一躍その名を世界に知らしめたルーカス・ヘッジズ。共演に、ニコール・キッドマン、ラッセル・クロウら実力派豪華キャストが集結した、圧倒の人間ドラマ。

 本作では、アメリカにも実存する同性愛を“治す”目的で行われている矯正セラピーでの驚愕の出来事が描かれ、主人公ジャレッドが何故そのセラピーを受けることになったのかも紐解かれていく。ゲストに「BL進化論」などの著書があり、映画、アート、クィア領域研究倫理などについて論文や記事を執筆している溝口彰子氏と、数々の映画イベントに登壇、音楽にも造詣の深い奥浜レイラ氏が、本作の魅力を徹底解説した。


「これまでの傑作を彷彿させる、非常に意義深い作品」

 本作の感想を聞かれた溝口氏は「米配給会社が一緒ということもあり、『ミルク』(09/ガス・ヴァン・サント監督)を思い出しました」と実在の政治家、ハーヴェイ・ ミルクの半生を描いた大ヒット映画に言及。「『ミルク』も実話がベースですが、こちらは実際にいた人物を褒めたたえた映画。『ある少年の告白』は同じ実話でも、衝撃的な事実を描いて観る者に現実をつきつけてくる。一方、フィクションだからこそできる構成で、苦しさだけではなく、誰もが受け止められる表現にしている。そこが素晴らしいですね。そして、エンディングも“現実に接続すること”が共通している。非常に意義深い作品だと感じました」と傑作との繋がりを解説した。さらには「本作では、悲劇を描いているけれど、悲しみだけじゃない。その先に希望や光を感じさせる。その意味では『チョコレートドーナツ』を思い出しました」と、難しいテーマを描きながら、観客に多くの共感を生んだ名作『チョコレートドーナツ』(12/トラヴィス・ファイン監督)とも重なる点を語った。


S級俳優たちの演技合戦は必見! 「本作に出たい!」という思いが溢れてる

 若手実力派のルーカス・ヘッジズをはじめ、ニコール・キッドマンやラッセル・クロウの大物俳優が集結している本作。溝口氏は「出演者のインタビュー動画を見ていて、彼らが物語に惚れこんで出たいと思っているのが、ものすごい伝わってきました」と、俳優たちの熱量が桁違いだったと解説。さらに「自身もゲイだとカミングアウトしているトロイ・シヴァンも“何があっても関わりたい”と話していて、本心としか思えなかった!」と驚きの表情をみせた。

 奥浜氏も「歌手としても活躍しているトロイは、ヨンシーとの共作で本作の主題歌「Revelation」も歌っていて、出演者だけでない関わりをして自分が“広げなければ”という姿勢が伝わってきますね。さらにニコール・キッドマンも大女優にも関わらず、映画PRのために多数のTV番組に出ていて熱意が伝わりました」と続けた。またオーストラリア出身の俳優が多く出演している点にも言及、「オーストラリア勢の、アメリカ発音のパーフェクトさにはいつも驚かされます。本作の舞台がアメリカ南部で訛りがあるのですが、私自身が暮らしていたこともあって、特にラッセル・クロウの説教が、鳥肌が立つほどに完璧だった」と溝口氏は彼らのリアルを追求した演技を絶賛した。


「この映画は“変換期”をみせた」「まったく他人事ではない映画」

 印象的だったシーンとして、奥浜氏は「ジャレッドがプログラムの中で家系図を書かされるシーン」を挙げた。「昔から慣用句でも言われていたように“この親にしてこの子あり”と、自分の由来を家族になぞらえることが、当たり前でしたよね。でも、本作でも描かれるように、本当はそうではない。もちろん身体的なものでなくて性格とかでも通じる話で、たとえ親子であっても、独立した別のひとりの人間なのだということを、どう受け入れていくかを考えさせられましたし、本作の主人公らと同じ立場にはいないけれど、遠い話だとは思いませんでした」。

 一方、溝口氏はラスト近くのジャレッドと父マーシャルの対面シーンを挙げ、「彼らの演技力もあって、短い台詞で強い想いが伝わるシーンでした。息子も父を嫌いではないし、親も息子を嫌いではない。その上での“葛藤”が見えます。親との違い、その葛藤、そして受容。この映画は新たな“変換期”を見せたと思います」と、本作の重要シーンを解説。「宗教的なことも描かれる映画だし、“自分は関係ない、日本はいい国だ”と思う人がいるかもしれません。でも実際、日本でも事件は起きているし、全く他人事ではないですよね」と、物語の普遍性を語った。


「出口には希望がある」「たくさんの人と観て、語り合ってほしい」

 最後に溝口氏は「鑑賞のきっかけとして俳優の演技合戦を観に来るのもいいと思います。たくさんの人と観て、語り合ってください」、奥浜さんは「観に行くことに対して、二の足を踏むのはもったいない。出口には希望がある物語なので、ご覧になった方はそのあたりもお友達にお薦めいただきたいですね」と、多くの人に届く言葉で締めくくった。


boy-erased


(オフィシャル素材提供)



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