インタビュー・記者会見等、映画の“いま”をリポート!

Cinema Factory

Cinema Flash




広告募集中

このサイトをご覧になるには、Windows Media Playerが必要です。
Windows Madia Player ダウンロード
Windows Media Playerをダウンロードする

舞台挨拶・イベント

トップページ > 舞台挨拶・イベント > 『いろとりどりの親子』

『いろとりどりの親子』トークイベント

2018-11-13 更新

レイチェル・ドレッツィン監督 × 坂本美雨

いろとりどりの親子irotoridori 配給:ロングライド
11月17日(土)、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
© 2017 FAR FROM THE TREE, LLC

 世界24ヵ国語に翻訳され大ベストセラーとなった、アンドリュー・ソロモン著「FAR FROM THE TREE」を原作にしたドキュメンタリー映画『いろとりどりの親子』が11月17日(土)、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開となる。

 10年をかけて、身体障がいや発達障がい、LGBTなど、親とは“違う”性質を持った子を抱えた300以上の親子に取材し、家族の本質を探った本書を、これまで数々の社会派ドキュメンタリー作品を手掛けてきたエミー賞受賞監督レイチェル・ドレッツィンが、深い感銘を受け映画化。自閉症や、ダウン症、低身長症、LGBTなど、さまざまな“違い”をどう愛するかを学んでいく6組の親子の姿を映しながら、マイノリティとされる人々の尊厳と権利に光を当てた本作は、しあわせの形は無限に存在していることを、私たちに気づかせてくれる。

 この度、本作の公開にあわせて初来日したレイチェル・ドレッツィン監督と、ミュージシャンであり、「#こどものいのちはこどものもの」では児童虐待撲滅の声をあげ、本作に向けて応援コメントも寄せている坂本美雨が登壇したトークイベントが開催された。


 大勢の観客に拍手で迎えられ登壇したレイチェル・ドレッツィン監督と坂本美雨。はじめに「日本に来られたこと、そして、日本の皆さんに観ていただくのをとても楽しみにしています。よろしくお願いいたします」と挨拶した監督。坂本も「わたしが何故ここにいるかというと、この映画のファンだからです。2ヵ月ほど前に、お友達のインスタグラムにこの映画について書いてあり、観たいと思いました。その方にすぐ“観たい!”と連絡し、いち早く観せていただきました」と続けて挨拶し、和やかなムードでトークイベントが始まった。

 映画についての感想を聞かれた坂本は「“これは、日本の一人でも多くの人に観てもらわなくてはいけない”と、使命感のようなものを感じて、勝手に広報活動をしています(笑)」と、作品に魅了されたと話した。さらに、ライブでのチラシ配布、パーソナリティを務めるラジオ番組での紹介など、本作を意欲的に応援する理由を「私には3歳の娘がいて子育てに奮闘中なのですが、子育ては、もう一度自分を見つめ直して、向き合い続けることだと思うんです。自分とは全く別の人間である子どもと知り合っていくプロセスによって、写し鏡のように自分のことも教えられる。子どもを自分の分身のように思う人もいるけれど、私は完全に“違う”人間だと感じていて、まさしくそのことがこの映画では描かれていました。映画では否が応でも“違い”をつき突きつけられている親子たちがモデルになっているけれど、身近な例はどんな人にも、どんな家庭にも、どんな親子にもあるんじゃないかと思いました」とコメント。それを受けて監督は「大きなハートを持っているからこそ、この映画にここまで反応してくれているんだと思います。映画のサポートをしてくださって、感謝の気持ちでいっぱいです」と笑顔で返した。

 また3児の母でもある監督は「子育てというのは、ある種のアートだと思います。皆やり方も違って、それぞれが学びながら、子どもを育てていくものなのではないでしょうか。今回登場する親は、自分の想像とは違った形で産まれてきた子どもたちを前に、手探りでその方法を見つけていきます。この作品自体が私たち全員に対して、“子育てとは何なのか?”ということのメタファーになっているようにも思います。私も子育てを始めてから、随分と変化がありました。最初の頃は“自分が子どもたちを形作っていくんだ”“影響を与えていくんだ”と意気込んでいましたが、歳を重ねるにつれて“彼らは自分たちの道を歩いているから、それを尊重しなくては”と思うようになりました。今、自分が親としてできることは逆に一歩下がって見守り、あるがままの姿の彼らを祝福し、受け入れることではないかなと思います」と話した。


irotoridori

 最後に、これから映画を鑑賞する観客に対し監督は「この作品はエモーショナルであると同時に政治的、時事的な側面も持っています。ご存知のようにアメリカではいろいろな葛藤が起きていて、その核心にあるのは社会がこれからどのくらい包括的でありたいのか、どのくらい多様性を持つ社会にしたいのかということだと思います。日本での滞在は数日ですが、いろいろな方からお話を聞いて、さまざまな問題に向き合っているんだなと感じました。何が“同じ”で何が“違う”のか、そのふたつの関係性はどうあったら良いのか、何が“普通”で何が“普通じゃない”のか、誰がそれを決めるのか、何かに属することはどういうことなのか、それらを問いかけている作品だと思います」とメッセージを送った。

 坂本は「『FAR FROM THE TREE』という原題もすごく重要だと思っています。「りんごの木の実はそんなに遠くには落ちない」ということわざを逆説的にとったもので、「遠くにも落ちる場合もあるよ」という意味合いのタイトルだけれど、“遠くに落ちた理由の責任は親にあるわけじゃない”というのも大きなメッセージのひとつだと思いますね。日本の文化では“子どもが何かしたら親のせい”というのがあると思います。映画では先天的に障がいがある場合も、また後天的に子どもが何かしてしまったという親子もでてきます。その全ての原因が親にあるわけじゃないということを、多くの人に知ってほしいですね」と作品への想いを語り、イベントを終了した。


irotoridori


(オフィシャル素材提供)



関連記事
特別試写会トークイベント
レイチェル・ドレッツィン監督 オフィシャル・インタビュー

Page Top