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『ヴァンサンへの手紙』トークショー

2018-07-07 更新

レティシア・ カートン監督、牧原依里(映画監督)

ヴァンサンへの手紙vincent 配給:アップリンク、聾の鳥プロダクション
2018年10月13日(土)より、アップリンク渋谷ほか全国順次公開
© 2015 Kaléo Films

 フランスに生きるろう者たちの現実に光をあてたドキュメンタリー映画『ヴァンサンへの手紙』が、アップリンクのセレクト型クラウドファンディング「PLAN GO」の支援者限定試写会で上映された。会場にはフランスから来日中のレティシア・カートン監督が来場し、本編上映後に本作を買い付けた牧原依里(映画監督)と共にトークショーを行った。


  トークでは、耳の聞こえるレティシア監督が、10年前にこの世を去ったろう者の友人ヴァンサンとの約束から本作の製作を始めた経緯や、フランスのろう社会の過去と現在についてが語られた。また、牧原はろう者である自身の人生から見た本作の感想を述べ、日本の観客に届けたい気持ちを強く語った。


vincent

 レティシア監督は「この映画の撮影を通して、ヴァンサンが自ら死を選んだ理由が、その苦しみがだんだんと分かってきた」と振り返る。かつて彼は周りから障害者だと思われたり無視されることに憤慨していた。彼女は彼の感じていた怒りに形を与えるため、二人で映画を撮ろうと約束した。しかしヴァンサンはその撮影を前に一人でこの世を去った。「彼の胸の内にあったものとは?」レティシア監督は一人でフランス中のろうコミュニティを回り、10年間の記録を映画にした。

 「ろうコミュニティに知り合いが増えるにつれて、ヴァンサンと同じような幼少期を過ごした人たちに出会うことができた」。レティシア監督はろう者たちの「アイデンティティの確立」の難しさについて語り始める。「ろう児の親が聴者だと、子供の教育針、人生は親が決めてしまう」。

 牧原も同じ状況が日本にもあると語る。そしてさらに、映画の中で指摘されていた「医師」の問題についても言及する。「ろう児を持った親が初めに会うのは医師。その医師の判断によりその子の人生が決められてしまう恐れがある」。劇中では、人工内耳手術が“治療”として強要される問題が現実にあることをろう者達が論じている。


vincent

 130年間にわたる手話の禁止が解かれて、まもなく8年。「私が魅了され、この映画で描いているのは、手話と出合えて、手話を言語として話せる人たち、精神的にもリラックスしているろう者です」と、レティシアは語る。ただ、フランス国内ではいまだ手話教育が受けられる学校は少ない。「ヴァンサンが辿ったような人生があることを、映画を通してたくさんの人に伝えたかった」。

 牧原は、「ろう者にも手話を使う人と使わない人がいる。そして聴者もいる。この映画を観て、様々な人たちがいるということを理解してもらいたい」と語った。

 映画『ヴァンサンへの手紙』は2018年10月13日(土)より、アップリンク渋谷ほか全国順次公開。


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レティシア・カートン監督

 1974年生。聴者。フランス・ヴィシー出身。
 クレルモン=フェラン美術学校卒業後、学士入学したリヨンの美術学校でジャン=ピエール・レムのもとドキュメンタリー映画製作と出合う。その後、リュサでドキュメンタリー映画製作の修士課程修了。
 自身初のテレビドキュメンタリー“La Pieuvre(蛸、貪欲な人、執念深い人)”で、ハンチントン病で亡くなった女性とその家族の記録を撮影。2010年国際テレビ映像フェスティヴァル (FIPA)にて上映される。
 2014年、長編1作目のドキュメンタリー“Edmond, un portait de Baudoin(直訳:エドモン、ボードワンの肖像)”が同年のクレルモン=フェランのドキュメンタリー映画祭でグランプリを受賞。『ヴァンサンへの手紙』は長編映画3作目。
 現在は人とダンスに焦点をあてたドキュメンタリー映画を製作、2018年カンヌ映画祭で上映された。



(オフィシャル素材提供)




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