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『グッバイ・ゴダール!』来日記者会見

2018-05-27 更新

ステイシー・マーティン

グッバイ・ゴダール!goodby-g 配給:ギャガ
© LES COMPAGNONS DU CINÉMA – LA CLASSE AMÉRICAINE
– STUDIOCANAL – FRANCE 3.

 ジャン=リュック・ゴダール監督作『中国女』の主演女優であり、ゴダールの2人目の妻でもあったアンヌ・ヴィアゼムスキーの自伝的小説を映画化した『グッバイ・ゴダール!』が、7月13日(金)より新宿ピカデリーほかにて全国順次公開となる。

 若くしてゴダールと出会い、そのミューズとなったアンヌ・ヴィアゼムスキーを演じるのは、『ニンフォマニアック』で主人公ジョー(シャルロット・ゲンズブール)の若き日を演じ、美しさと衝撃が相まった鮮烈なスクリーンデビューを果たしたステイシー・マーティン。「天才」と称され世界から注目されていた時代の寵児ゴダールと出会い、彼と刺激的で親密な日々を過ごしていく中で、少しずつ大人へと変貌を遂げていくアンヌの姿をいきいきと演じている。

 この度、日本での公開を控え、5月23日(水)にステイシー・マーティンが来日し、記者会見を実施した。ラース・フォン・トリアー監督をはじめ、有名監督の話題作に立て続けに出演し、モデルとしてもMiuMiu初のフレグランスの広告塔に大抜擢! フランス人の父とイギリス人の母を持つ英仏バイリンガルの彼女は、両親と共に7歳から13歳まで日本に住んでいた経験もある。会見には、ボーダーのトップスにブラックのクロップドパンツというフレンチスタイルで登場したステイシー。新時代のゴダール・ミューズと名高い彼女が本作に出演するきっかけや撮影について熱く語った。


この作品のオファーを受けた時の気持ちは?

 とても興奮しました。特に、アザナヴィシウス監督が彼の得意とするコメディに再び立ち戻る作品であり、フランスでは誰もが知っているゴダールを扱った映画だけでなく、斬新でワクワクするような作品というところにも惹かれました。今回演じたアンヌ・ヴィアゼムスキーの作家としての側面は知らなかったんですが、そういった部分も含めて、役者・作家としての彼女を知ることができ、そこで感じたことを物語を通して伝えるということが重要だなと感じました。


今回演じたアンヌ・ヴィアゼムスキーは、女優でありながら作家でもあり、とても多才な女性だと思います。実在の人物、そして彼女を演じるにあたって準備したことや心掛けたことなどはありますか?

goodby-g 実在の人物を描いた作品であり、脚本もアンヌ・ヴィアゼムスキーが書いた原作が元になっているので、その部分も大切にしながらアプローチしていきました。アンヌ自身も快くサポートしてくれ、彼女の記憶を映画にしたわけです。彼女の持つエッセンスや感受性を大切に保たなければと思う一方、監督は当初から伝記物にはしないと言っていたので、いろいろな要素を咀嚼して再解釈する“ポップ・コラージュ”をこの作品で取り入れています。
 そして、今回演じたアンヌについては、監督とも相談して彼女そのものを演じるというよりも、もっと抽象的なあの時代のアイコンと呼ばれていた女性たち全てを包括している、例えばジェーン・バーキンやゴダール作品で有名なシャンタル・ゴヤのようなキャラクターにしようと決めました。


現代を生きるあなたが、今回1968年を生きたパリジェンヌを演じて、気づいたことや発見はありましたか?

 こんなに時代を遡って身を置くことが楽なのかと思うくらい、すっと役に入ることができました。五月革命のシーンで参加してくれたエキストラのお陰で、重みを感じることなく、すんなりとこの時代に共感し、役に入ることができました。60年代そのものに、すごくエネルギーやバイタリティがあったと思います。こうした環境を作ってもらえたお陰で役に入ることも出来ましたし、一人の役者としてもワクワクしました。


本作はゴダールのファンではない方でも楽しめる作品ですが、一方でゴダールの熱狂的なファンからはどのような反応があると思いますか? また、プレッシャーなどはありましたか?

goodby-g もちろんプレッシャーは最初から感じていましたし、監督とも話していました。監督自身もゴダールを題材にした作品にすることを意識していました。ただ、この作品はジャン=ピエール・メルビル監督の『恐るべき子供たち』(76)のような遊び心を持って描いています。個人的には映画はディスカッションのきっかけにもなると思っていますし、決してこの作品はゴダール作品への考察や良し悪しを決めるものではないんです。そもそも、ゴダールを一度愛したアンヌ・ヴィアゼムスキーが原作を書いていて、監督がそれを読んで、伝記物でないコメディにしようと決めました。だから、私たち役者も楽に演じることが出来たんです。
 カンヌで正式上映をした時に、熱いゴダールファンの中には正直気に入ってもらえない方もいましたが、そういった方でも「アザナヴィシウス監督らしい作品」「とても面白かった。笑えました」「映像も美しかった」と言ってもらえて、コンセプトだけ気に入らなかったのかなと感じましたし、そういった意見を聞けて面白いなと思いました。


本作は映画好きにとっては、ゴダールやアンヌの伝記的な部分で楽しめる一方で、日本ではゴダール監督に馴染みのない人も多くいます。そういった人たちに、この映画の普遍的な魅力は何でしょうか?

 ゴダールのことは忘れて観ましょう! 邦題は『グッバイ・ゴダール!』です(笑)。この作品はラブストーリーでありコメディでもあるので、ゴダールのことを全く知らなくても楽しめる映画だと思います。映画やゴダールに関する知識をプレッシャーに感じずに、観てもらえばと思います。もちろん観た後に、ゴダール作品やアンヌの出演した作品・小説、アザナヴィシウス監督の過去作にも興味を持ってもらえたらうれしいですね。


今回の役柄は監督という年上の尊敬できる存在に影響を受けていましたが、これまで出演した中で影響を受けた監督や作品はありましたか?

goodby-g 今までコラボレーションしたすべてのアーティストから影響を受けています。偶然にも多くの方が自分より年上なんですが、同世代では『シークレット・オブ・モンスター』(15)のブラディ・コーベットや『Treat Me Like Fire』のマリー・モンジュという女性作家ともお仕事をしたことがあります。この仕事をしている中で学んだことは、年齢は関係ないということです。ラース・フォン・トリアー監督とご一緒した時も本当に若々しくて、大胆に遊びながら映画をつくっている姿にインスピレーションを受けました。その瞬間をしっかり受け止めて、何事に物怖じせずに楽しむことが大切だなと思います。


本作を観て、ゴダールは面倒くさい男性だなと思いましたが(笑)、ご自身はこういった恋愛経験はありますか?

 劇中では二人は別れるので、付き合うのは無理かなと思います。この作品では、アンヌはこれからステージを駆け上がる存在であり、対照的に地位が確立されたゴダールは自問を続け、自己否定していきます。お互い同じアーティストでも、置かれている立場は違っていて、彼女はそれを分かった上で、長い間彼を観察し、忍耐強くいろいろなことを感じて、最終的には別れを決めるわけです。ただ、別れ方もエレガントで、正直で誠実だなと胸打たれました。アーティストとしてのゴダールがそのまま在れるような、勇敢な行為だなと思いました。


7歳から13歳まで日本に住んでいましたが、今回来日して日本の印象は変わりましたか?

 やっぱり変わりましたね。私自身も大人になったので、東京という街との関係性も変わっています。子供の頃に過ごした東京は私に多くの自由を与えてくれました。住んでいた頃はフランス学校に通っていて、ひと夏だけ普通の小学校にも通ったことがありました。クラスメイトが皆真面目だった印象があります。もちろんあの頃と変わっていない部分もありますが、六本木など様変わりしている場所もあります。ただ、私にとっての日本のエッセンスはまだまだ残っていると思うし、とてもうれしい気持ちです。


 最後に日本のファンに向けて笑顔で「ゴダールのことは忘れて、ぜひ作品を楽しんでください!」と感謝を伝え、イベントは終了した。


ステイシー・マーティン

 1991年1月1日、フランス・パリ出身。27歳。フランス人でヘアスタイリストの父とイギリス人の母に育てられ、7歳から13歳までのあいだは日本で暮らしていた。
 ファッションモデルとしてキャリアをスタートし、イギリスで演技を学んでいる時に、ラース・フォン・トリアー監督『ニンフォマニアック』のオーディションに参加。シャルロット・ゲンズブール演じる色情狂のヒロイン、ジョーの若い頃に抜擢されスクリーンデビューを飾る。同作でデンマーク映画批批評家協会賞の主演女優賞にノミネートされた。
 その後、ジャン=ポール・サルトルの短編小説をベースにした心理ミステリー『シークレット・オブ・モンスター』(15)、イタリアのマッテオ・ガローネ監督『五日物語 3つの王国と3人の女』(15)、英SF作家J・G・バラードの長編小説をベン・ウィートリー監督が映画化した『ハイ・ライズ』(16)などに出演。
 さらに、モデルとしてMiu Miu初のフレグランスの広告塔に起用され、注目を集める。



(オフィシャル素材提供)



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