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『万引き家族』
第71回カンヌ国際映画祭レポート 第2弾

2018-05-16 更新

リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、樹木希林、城 桧吏(子役)
佐々木みゆ(子役)、是枝裕和監督

万引き家族manbiki-kazoku

配給:ギャガ

© 2018『万引き家族』 製作委員会

 第71回カンヌ国際映画祭 「コンペティション」部門に正式出品されている是枝裕和監督『万引き家族』。現地時間2日目は、フォトコールと公式会見が行われ、会見上では多くの海外メディアが駆けつけ次々と質問が飛び交い、会見終了後は、サインや写真撮影を求めるひとびとが殺到。プレス用に開かれた上映会終了後は絶賛の嵐で、是枝監督が新たに描く“家族”の物語に世界各国の心を感動で震えさせた。


【フォトコール】

manbiki-kazoku 小雨が降り、少し肌寒いカンヌの中、是枝監督はじめ、ブラックのチャイナジャケットとセットアップのパンツに白いTシャツを合わせたスマートカジュアルでキメたリリー・フランキー、フランスのファッションブランド、ルイ・ヴィトンのレザージャケット、オリエンタルな雰囲気漂う色鮮やかなドレス、ハイヒールを身にまとった安藤サクラ、イタリアのファッションブランド、ボッテガヴェネタのオレンジのレースドレスを爽やかに着こなした松岡茉優、ところどころにあしらわれた赤い花ビラがアクセントとなったオリエンタル且つシックなブラックドレスに身を包んだ樹木希林、グレーのストライプのセットアップを大人っぽく着こなした城 桧吏くん、花柄のドレスをキュートに着こなした佐々木みゆちゃんの7名が参加したフォトコール。昨夜の熱狂そのままに“万引き家族”と監督は世界から集まった約70名ほどのスチールカメラマンたちから、激しいフラッシュを浴び、特に子役2人にはシャッターが集中、飛び交う目線やポーズのリクエストににこやかに応えた。


これまでに家族の物語を描いてきたと思うが、今回はまた新しい家族の形が描かれていると感じました。

是枝裕和監督: 5年前に『そして父になる』で血のつながりか時間なのかというものを描いて、その先に今回のモチーフが生まれてきました。ファミリードラマではありますが、社会との接点にフォーカスをあてました。


昨日のスクリーニングの反応について。

是枝裕和監督: これまでのどの経験も感慨深いですが、昨日はこれまでで一番温かい感じる拍手が続いて、今まで映画をつくってきた20年間が報われた気持ちになりました。


是枝監督作品には何度も出演していますが、是枝監督との仕事とはどんなものですか?

リリー・フランキー: 是枝さんとの時間は、特殊な空気、魔法の時間、あっという間で濃厚で素晴らしいものです。


子役と演じるにあたってリハーサルは何度も重ねましたか?

松岡茉優: 海外と違い、日本の子役への演技指導は固まっています。一方、監督は自由に流動的に演出されるので、子供の魅力が開花されて、今作においても奇跡的な場面が生まれました。


子役のキャスティングについて。

是枝裕和監督: いつもオーディションでこの子を撮りたいかどうかで決めます。台本を覚えるのではなく、その空気にどのように存在するかを見極めていく。今回も素晴らしい2人を選べました。


今回是枝監督作品には初参加だったが、どんな経験でしたか?

安藤サクラ: 今作は、自分自身にとって子供が生まれて初めての作品だったこともあり、演者としても人間としても成長させてもらった映画です。リハーサルはあまり重ねませんでしたが、事前に何かを背負って準備していかなくても、現場で向き合っていくと呼吸をするようにその世界に入っていけるような、そんな特別な時間でした。


【公式記者会見】

今回も家族をテーマにした作品だと思いますが、家族を通じて日本社会を伝えていくことがより効果的だと思っているからですか?

是枝裕和監督: 効果的だと思ったからかといわれるとちょっと違います。この数年、ファミリードラマを撮り続けてきましたが、今回はどちかというと少し視野を広くもって、現代と社会と家族との摩擦する面をきちんと描こうと、あくまで、社会を描こうというよりかは家族を描こうと思いました。ただ今回は今までより社会によって、切り裂かれていく家族を描いてみたいと思ったのです。


今回描かれる家族は貧しく、ある意味哀れといえますが、観終わったあとに、この家族の一員になりたいと思いました。この感想についてどう思われますか?

是枝裕和監督: この家族が実際にいたとして、日本で報道されたらただの犯罪者でしかありません。ただ、カメラがあの家に入ったときに、報道だけでは伝わらない、ある種の豊かな繋がりや僕たちが感じられない色や光があって、その家族の姿を描くことによって、僕らの家族とか共同体というものが逆に照らされるというか、そんな存在としてあの家族を描きたいと思いました。彼らが感じている喜怒哀楽を豊かに描きたいという風に思ったのです。


家族をモチーフにした作品ですが、ある意味あなたにとって新たな家族に出会えたというように思いましたか?

城 桧吏: 万引きは悪いことだけど、すごい楽しい温かな家族だと思いました。

佐々木みゆ: 新しい家族ができました!(一同笑)


日本では未婚者が増えていたり、夫婦でのセックスレス問題など人と人との接触が減っていることが報道などで知られていますが、ある意味そういった問題についても、作品においてのモチーフとなっているのですか?

是枝裕和監督: たぶん、そういううまくいかない家族関係から捨てられた経験をもつ人たちが集まっている。前提として家族をつくることに失敗しているから、逆に意識的に考えている。そういうやり直そうとしている感じがあの家族の中にあったと思います。指摘するモチーフは中心ではありませんが、彼らの過去としてきちんと存在していて、そのことがあるからこそ、あそこでの接触があったり、涙や笑顔があるのではないかと思います。


安藤さんは、今回が初めてのカンヌだとおっしゃっていますが、カンヌで出品された三池 崇監督の『愛と誠』(12)に出演されていて、義理のお父様は『カンゾー先生』(98)のカンゾー先生役であるわけで、ある意味今回でカンヌが身近になったと思いますか? また、松岡さんは、実際に妹さんがいらっしゃいます。是枝監督は松岡さんの育った環境と照らし合わせてつくっていたりするのですか?

manbiki-kazoku安藤サクラ: 子供の頃の夢というか、わたしの家族は姉と父が映画監督だったりすることもあり、カンヌというのは家族にとっての夢であり、映画人であれば誰しもが憧れ目指す場所だと思います。今回是枝監督にふわっと連れてきていただきましたが、昨日の上映を経験して、とてもすごい場所だと感じました。どういうお土産話をもって帰ろうか考えています。またいつか来れたらいいなと思っています。

manbiki-kazoku松岡茉優: お芝居をするきっかけは妹でした。子供の頃から同じ役を争ったりして、家庭の中で正直風通しがよくないこともあり、そういうときの気持ちが今回の役に通ずるところがありましたね。現在妹は演技を止め、新しい夢に向かって進んでいる姿をたくましいと感じます。監督は私と妹とのことは知りませんが、偶然にも今回の役と引き合わせてくれました。子供の時に妹には優しくできませんでしたが、みゆちゃんに、ゆり(みゆちゃんの役名)に対して役を通して返せて、この作品でカンヌに来られて幸せに思います。


日本にある実際の社会問題をモチーフにしてあるわけですが、海外メディアの反応は?

是枝裕和監督: 昨日何十件か取材を受けましたが、ひとつは日本は社会問題をモチーフにした映画が少ないので新鮮に感じたと言われました。もうひとつは、血縁を越えた家族の繋がりというのは『そして父になる』のときもそうでしたが、記者の中には養子である方が何名かいて、今回描いたのは特殊な繋がりをもった家族だけど、その物語の向こう側に自分自身の人生のテーマを見出してくれている方が非常に多いなと感じたのが、昨日の取材を受けた感想です。とても自分に近いところでこの作品を捉えてくれている方が多いと感じました。


2001年『DISTANCE』以来、7度目のカンヌですが、今回ご自分の気持ちの変化はありますか? 最近のカンヌをみて思ったことは?

manbiki-kazoku是枝裕和監督: :7度目だからといって、緊張や喜びはないのではないかと言われますが、映画祭に参加するというのは、例えば一本の映画を役者さんたちとつくっていく作業とすごい似ていて、毎回新しいキャストやスタッフと来ますし、映画祭も毎回違う変化をしている中で自分も身を置きます。幸運にもその流れの中で、7回も来させていただいてとても幸せなことだ感じています。映画祭がどう変化しているかを語れるほど深くウォッチしていたわけでないのでそのことについて語るのは難しいのですが、僕の中で30~50代で参加させてもらい、作り手として人間として成長でき、キャリアにおいてもすごく大きな存在となっています。ここでまた上映して恥ずかしくない作品をつくりたいと素直に、そういう場所だと思えます。映画に対して畏怖の気持ちを持てる場所があるというのは監督にとって幸せなことです。


樹木さん、是枝監督含め日本で活躍している監督に起用される機会が多いですが、なぜご自分が選ばれていると思いますか?

樹木希林: :それはー、いやー、んー……分かりません……。


リリーさん、是枝監督作品に何度も出演しているが、お互いに相談しあって決めたりアドバイスし合ったりすることはあるのですか?

manbiki-kazokuリリー・フランキー: 是枝さんの撮影に参加させてもらえるのは自分にとって特別な時間です。人生の中であまり感動したなと思ったことがなく、これまでに2回しかありません。1回目は、『そして父になる』でカンヌのスタンディングオベーションを受けたときで、2回しかないその2回目が昨日の夜(公式上映)でした。是枝さんにはいつも勉強させてもらっているのと同時に人生を彩っていただいています。いいものをつくるということが、こういう風景を見られることに繋がったり、温かさを知ることを教えてもらっています。なので、仕事という感覚はあまりないのかもしれません。

manbiki-kazoku是枝裕和監督: :リリーさんとは実はそんなに言葉を交わさないんです。たぶん、お互いが持っている価値観やジャッジする感覚が近い気がします。だから役者と監督として安心していられる関係だといえます。希林さんは先程キャスティングされる理由について分からないとおっしゃいましたが、お仕事させていただいている監督側からとしてはすごく明快。僕は、自分がつくるものを希林さんに出ていただけるものにするために努力する。甘いままで彼女の前に立つとすぐに見透かされる。希林さんの前で恥ずかしくない監督でありたいと思う。そういう役者がいることは監督にとって非常に大切なことです。今回でいうと、最初に撮った夏のシーンで、希林さんが台本にはない演技をしましたが、そこから脚本を直していき、演出の指針を与えてもらいました。そういう作品への関わりを演技の中でさらっとしめしてくれる存在というのは監督にとっては本当に大きな存在です。なので、私はもう(出演するのは)いいんじゃないのと毎回言われますが、繰り返し繰り返し希林さんにオファーするのは、彼女のそういう作品に向き合う姿勢に助けられていますし、頭が下がる想いでいっぱいなんです。


【海外メディアの反応】

 ◆ 海外メディア①:子供たちと、その両親との関係がとても好きです。子供たちが自らの親を選んで生じた関係だというのがいいですね。楽しく観ました。また、非常に平和的でヒューマンな映画でした。多くの人間らしさを感じさせられましたし、彼らは両親として実に素晴らしかったです。店から食料や品物を盗みはしますが……人間味と子供への思いやりに溢れた、とても美しい映画でした。

 ◆ 海外メディア②:全てがよかったです。素晴らしいストーリーに、俳優陣、子供たち……とても気に入りました。訪れたことのない国の映画を観るのが大好きなんです。

 ◆ 海外メディア③:素晴らしかったです。ゆっくりとしたストーリーの展開とともに、ゆっくりと家族の物語が深く描かれ、人生の真価について迫っていました。すべてに満足し、とても気に入り、ファンになりました。

 ◆ 海外メディア④:監督は感情の表現がとても上手いと思います。深く心を動かされました。とても気に入りました。

 ◆ 海外メディア⑤:素敵な作品でした。俳優陣は素晴らしく、ストーリーも良かったです。演技に、とても感動しました。本当に素晴らしかったです。楽しみました。

 ◆ 海外メディア⑥:非常に良い映画でした。家族についての物語で、とても感情に訴えるものがあります。脚本も並外れていて、何と言えばいいか……本当に良い映画です。

 ◆ 海外メディア⑦:とてもよかったです。僕は是枝作品の大ファンですが、彼の多くの作品群で取り上げているヒューマニズムのテーマを本作でも深く追及しているように感じました。『誰も知らない』や『そして父になる』等の作品を思い出しましたね。身近なテーマですが、とても練られていて演技も非常に素晴らしかったです。特に子役たちの演技に目を見張りました。本作は彼が日本の指折りの映画監督の1人であることを証明しています。

 ◆ 海外メディア⑧:素敵な作品でした。俳優陣は素晴らしく、ストーリーも良かったです。演技に、とても感動しました。本当に素晴らしかったです。楽しみました。

 ◆ メディア⑨:とんでもない傑作。優しくもありとげのようでもある家族の絆についての圧倒的な観察。安藤サクラの女優賞は熱いと思う。

 ◆ 海外メディア⑩:やばい、『そして父になる』より傑作じゃないか。

 ◆ 海外メディア⑪:『万引き家族』は、世間の風当たりや不景気などが蔓延する世界から生き抜くために共に生きる万引き家族と家族というものについて、人間的な視点で素晴らしく絶妙に描かれている。最後まで完璧に持続し、ペースもよく撮影もよい! 胸に突き刺さった。

 ◆ 海外メディア⑫:家族と親子についての素晴らしいポートレイト。パルムドール候補だ。


 ◆ Screen:
https://www.screendaily.com/reviews/shoplifters-cannes-review/5129318.article?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter (外部サイト)
 最初は『素晴らしき哉人生』のようなほろ苦い寓話のような物語かと思いきや、家族の物語がはがされていくにつれ、社会や人間の失敗における容赦ない批判と直面する。この明瞭さのレベルは『誰も知らない』以来か。
 キャストのパフォーマンスは素晴らしい。一人に絞れない、本当にアンサンブル演技である。国際的には、『そして父になる』より成功する作品になるのでは。

 ◆ Variety:
http://variety.com/2018/film/reviews/shoplifters-review-manbiki-kazoku-1202809298/ (外部サイト)
 チャーミングでもあり、胸が張り裂けるようなこの素晴らしく巧みな映画はアートハウス・ファンだけでなく、メインストリームの観客の心もつかむだろう。
 才能あふれる安藤の演技は彼女のこれまでの演技で最も素晴らしいものだといえる。彼女が涙を隠そうとするシーンは固い貝が壊れてしまうような忘れられない喚起であった。



(オフィシャル素材提供)



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