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インタビュー

トップページ > インタビュー > 『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』オフィシャル・インタビュー

『ドリス・ヴァン・ノッテン
ファブリックと花を愛する男』
オフィシャル・インタビュー

2018-01-22 更新

ドリス・ヴァン・ノッテン


ドリス・ヴァン・ノッテンdries
© 2016 Reiner Holxemer Film – RTBF – Aminata bvba – BR – ARTE
配給:アルバトロス・フィルム

ドリス・ヴァン・ノッテン

 1958年、ベルギー・アントワープ生まれ。
 生家はテーラーとブティックを経営し、ドリス自身も少年時代から父に連れられてミラノやデュッセルドルフ、パリなどのショーやコレクションを見学していた。
 76年、18歳でアントワープ王立芸術学院のファッション・デザイン科に入学。のちに“アントワープの6人”と呼ばれる仲間と、99年に死去するまで共同経営者としてドリスの援護者となるクリスティーヌ・マティスに出会う。
 卒業後、フリーランスのコンサルタント・デザイナーとしてファッション界に入る。86年には同期生6人とロンドン・ファッション・ウィークの「ブリティッシュ・デザイナーズ・ショー」に参加し、メンズウェアのコレクションを発表。バーニーズ ニューヨークやアムステルダムのパウォ、ロンドンのウィッスルズといった高級セレクトショップに取り上げられる。
 同年9月にはアントワープのギャラリーアーケードに初のブティックをオープン。89年にナツィオナーレ通りにブティックを移転し、この時期から、毎年春夏と秋冬のメンズとレディースのコレクションを展開する。
 現在、ショップやコーナーは世界17都市に広がり、日本には09年に再オープンした東京・南青山の旗艦店を始め、大阪、福岡に計7つのショップ、及びコーナーがある。また世界各国のブティック400軒以上で取り扱われている。



 世界のセレブリティやファッション・アイコンが愛して止まない孤高のファッションデザイナー“ドリス・ヴァン・ノッテン”。彼の初のドキュメンタリー映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』が公開中だ。この度、ドリス・ヴァン・ノッテン自身のオフィシャル・インタビューが到着した。


本作はあなたのキャリアを追った初のドキュメンタリーです。写真や香水など服以外のプロジェクトとの違いはなんでしょう?

 ライナー監督のドキュメンタリーは、他のプロジェクトとは一線を画するものだと思います。彼は、私や私のチームやパトリック(ドリスのパートナー、パトリック・ファンヘルーヴェ)を1年以上にわたって追いかけてきました。ですから実際ここには、私という人間や私の仕事の仕方や考え方の全体像収められています。ポートレートは一瞬を切り取ったものですが、これは1年分の映像ですから。かなり強烈です。でも素晴らしい出来だと思います。


ライナー監督のレンズを通して自分自身を見ての感想は?

 映画を観ると、彼が私をどう見て、私の仕事ぶりをどのように捉えているか、事細かに見て取れます。質問の答えはとても難しいですね。私は実にいろいろなことをこなしますが、映画は90分だから編集が必要になります。すべてを盛り込むことはできないでしょう。ですがライナー監督は、私の一連の仕事内容をかなり素敵にまとめ上げたと思います。


長期間にわたってカメラと生活することに、やりにくさはありましたか?

dries カメラに追われているというのは、かなりの緊張を伴いました。特に最初の頃は、「じゃあ、ちょっと演技しなくちゃいけないかな。ときにはそれらしく見せる必要があるし」、というような感じでした。「真っ直ぐに立っているかな? 英語は間違ってないかな? 正しく喋れているかな? みんなが後で振り返ってくれるような、興味深いものを見せたり撮影したりできているかな?」なんて考えました。でもしばらくすると、だんだん自然になってくる。映画を観る人も感じ取れると思います。撮り始めた頃は、少しこちらの意図を押し付けたようなところがありましたから。その後は、もっとオープンになったと思います。ライナーがそばにいることに私たちはすっかり慣れてしまって、本当にすべてが自然になっていきました。


カメラの存在が全く気にならなくなりましたか?

dries もちろん、すべてが上手くいっているときに、カメラがそこにあることを忘れてしまうこともありました。でも問題が持ち上がっているときは、カメラの存在がテーブルの周りにいる多くの人たちの1人のようになったこともあります。最初の頃は「私がためらう様子や問題なんかは撮ってほしくない」と言ったりもしましたよ。でも最後には、いや、撮ってもらった方がいいな……と。これも私という人間の一部だし、私の仕事の一部だから、カメラに収めてもらうことは大事なことだと考えるようになりました。


今回初めて自宅や庭が公開されました。プライバシーについては?

 パトリックと私は、それについてずいぶんと考えた。「私たちの家や庭や暮らしぶりのすべてを撮影に含んでよいものか?」でも最後には「うん、そうしたほうがいいだろう」という結論に達しました。これは私の素顔に迫るドキュメンタリーです。そして家や庭や私生活は、私を構成する大切な要素の1つです。私たちがどんなふうに仕事をしているかなど、すべてを見せたいなら、その一部である私生活を見せることは重要でした。


自宅での撮影で、心境の変化はありましたか?

 仕事だけではなく、映像や画像に映し出されたあらゆるものを目にするのは簡単なことではなかったけれど、どんどん慣れていきました。でもスクリーンや写真で自分たちの私生活を見るとなるとね……。だから、「どうしたものか、本当に個人的な領域に入って来たぞ」と思ったりもしました。ですがライナーはすべてを実に慎重に進めたと思います。彼は行き過ぎることがないように尽力しました。とても嬉しく思います。本当に感謝しています。


多くをさらけ出すことに不安を感じませんでしたか?

dries 誰もが自分のやり方で服をデザインし、仕事をし、インスピレーションを得ていると思います。パリで開催したインスピレーションズ展で、私はすでにその一端をお見せしました。いや、一端じゃなく、なんていうのかな……現実なんです。私の頭に浮かんだいろんな突飛な考えとか、私がどのように仕事をするかという。それから、映画を観て自分の仕事のやり方が分かったと感じるかもしれないけれど、完全には理解できないはずです。なぜなら私は、誰よりも自分自身に、毎シーズン驚きを与えなくてはならないからです。つまり私の仕事はシステム化されていないのです。だから昨日正しかったことは、明日には正しくないかもしれない。そういう意味では、未来に何が来るかなんて分からないと思います。


映画の中でいちばん見せたかったこと、いちばん隠したかったことは何でしょう?

dries もちろんすべてはパーフェクトだと、カメラの向こうに示したいと思うでしょう。インスピレーションとはこんなふうに湧き上がるものだ、自分は完璧な人間だ、みたいに。でも私は完璧じゃない。そして創作とは、求めれば必ずやってくるものじゃない。最初は躊躇と苦悩とか奮闘の瞬間は見せたくなかった。何かを作り出す限りない努力や、意図したように物事が進まなかったらどうしようという恐れについてです。でも最後には、美しいバージョンの現実もあるけど、現実は時としてとても過酷なものになりうると考えるようになりました。


お気に入りのシーンは?

dries 私が庭や家を歩き回っているシーンが特に好きです。もちろんそれは私生活だから、私のそんな姿を見られる機会はそうないと思います。家にいる私はオフィスにいる自分とは別人ですから。


いちばん感動したシーンは?

 我々がオペラ・ガルニエでファッション・ショーをやったときに、ライナーが一緒にいたことはとても嬉しかったです。そこでショーを開催するために15年間も働きかけてきました。だからステージの美しいイメージが映画に収められたのは本当に喜ばしいことです。同様にバックステージのイメージも実に美しいのです。ファッション・ショーをやっているのだから当たり前ですが、それが収録されたことをとても嬉しく思っています。



(オフィシャル素材提供)


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