インタビュー・記者会見等、映画の“いま”をリポート!

Cinema Factory

Cinema Flash




広告募集中

このサイトをご覧になるには、Windows Media Playerが必要です。
Windows Madia Player ダウンロード
Windows Media Playerをダウンロードする

舞台挨拶・イベント

トップページ > 舞台挨拶・イベント > 『海よりもまだ深く』第69回カンヌ国際映画祭レポート

『海よりもまだ深く』
第69回カンヌ国際映画祭レポート

2016-05-21 更新

阿部 寛、樹木希林、真木よう子、是枝裕和監督

海よりもまだ深くumiyorimo

配給:ギャガ
全国公開中
© 2016 フジテレビジョン バンダイビジュアル AOI Pro. ギャガ

 本日より公開となった是枝裕和監督『海よりもまだ深く』が、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品され、阿部 寛、樹木希林、真木よう子、是枝裕和監督がレッドカーペットを歩き会場入り、世界の観客を前に舞台挨拶を行い、正式上映された。上映後は、スタンディング・オベーションで観客から賞賛を受け、日本のメディアに向けた囲み取材が行われた。


【フォトコール】

umiyorimo 爽やかな風が吹き抜けるカンヌの青空の下、是枝監督はじめ、フランスの有名ブランドBerluti(ベルルッティ)に身を包んだ阿部 寛、グッチのトラッドでキュートなワンピース(靴、バックもグッチ)を纏った真木よう子、そして独自のスタイルがひかる樹木希林がフォトコールに登場し、世界から集まったスチールカメラマンたちの前で、笑顔でフォトコールに参加した。

 また、直前にフォトコールを行っていたアカデミー賞®受賞監督であるウィリアム・フリードキン監督(『フレンチ・コネクション』、『エクソシスト』)が、是枝監督に挨拶に来る場面もあるなど、是枝監督の世界からの注目度の高さが感じられる一幕もあった。監督、キャスト陣は5月16日(月・現地時間)にカンヌ入り、海外プレスの取材を受けるなど、多忙な時間を過ごしつつ迎えた公式上映日。高まる緊張を抑えながら、レッドカーペットと公式上映にむけて、準備を整えつつ、それぞれにコメントした。

阿部 寛: 初めてカンヌに来ましたが、街全体が祭りのような状態で、すごく楽しんでいます。今晩の公式上映でどういう反応が返ってくるかは予想がつきませんが、楽しみたいと思います。

真木よう子: 前回(『そして父になる』)のときはドシャ降りのカンヌだったので、街を全然歩けなかったのですが、昨日歩くことができて、歴史のある建物がたくさんある街で、とても美しいなという感想を持ちました。街全体がすごく盛り上がっていますし、こんな中で上映されるということにドキドキしていたりもしますが、楽しみにしています。

樹木希林: もう出来上がっていますので、ただみんなと一緒に観ます!

是枝裕和監督: マーケット試写を観てきた記者の方たちと取材のときに話したら、意外とみんなちゃんと笑ってくれているようでした。日本と同じようにクスクス笑いながら、後半はちょっとしんみりとしっとりとそういう展開になってくれればなと思っています。


【海外のプレスの反応】

女性: 完全なハッピーエンドではないけど、家族の描き方が良かった! コメディ要素もあるし。家族ってそういうもの。とってもよかったわ。

女性: 良い作品でした。是枝監督はストーリー・テリングが自然だし、俳優たちの演技も素晴らしかった。ファニーな映画だけど、真理がある。主人公が成長しないのがいい! 人生そのものね。

男性: 素晴らしかったよ。是枝監督作品の大ファンなんだ! 毎回期待して観るんだけど、毎回その期待を超えてくる。監督の作品はあたたかいところが好きなんだ。正直なところもね。ダメなキャラクターだけど、愛おしいんだよ。

女性: すごく感動したわ。是枝監督の作品は何本か観てるの。主演の人も。是枝スタイルの映画ね。今回も感動したわ! 是枝作品でこれまで失望させられたことはないわ!


【レッドカーペット】

 大勢のマスコミや観客があふれる中、レッドカーペットに登場したのは、是枝監督とベルルッティのタキシードに身を包んだ阿部 寛、肩と背中を大胆に露出した透け感のあるアルマーニのロングドレスにショパールのダイヤのイヤリングを着用した真木よう子、海と鶴の柄をあしらった着物に真っ赤な鯉がデザインされた帯を締め、ならではの貫録で一際目をひいた樹木希林。

 カンヌ国際映画祭参加は初となる阿部は、観客やメディアの声に応え手を振るなどして対応していた。


【舞台挨拶】

 満席の会場でステージに登壇した是枝裕和監督、阿部 寛、真木よう子、樹木希林は、それぞれ晴れやかな笑顔で、世界の観客の前で、舞台挨拶を行った。

 阿部の「是枝監督作品は2作目ですが、いつか是枝さんの作品でカンヌに来られることを夢見ていました。今日は楽しんでいってください」というコメントには熱い拍手が送られ、さらに樹木の「今はゆとりのある顔をしていますが、上映が終わったらすぐに逃げられるように準備しております」という希林節には場内から笑い声もおき、和気あいあいとした雰囲気の中で上映は始まった。


【上映後】

 上映中は、阿部演じるダメ息子の良多と、樹木演じる母・淑子の会話シーンなどで度々笑いがおこるなど、日本の団地を舞台にした家族の物語は、しっかりと世界の観客の心に届いたようで、上映後は是枝監督や出演者たちに向けて、約7分間にもわたるスタンディング・オベーションが続き、阿部は時々手を振ってそれに応えるなど、場内はとても温かい空気に包まれた。

 また場内を出たところでも、海外のファンに囲まれ拍手や賞賛コメントを浴び、好評のうちに公式イベントを終えた。


【日本メディア向け囲み取材】

上映が終わってみていかがですか?

是枝裕和監督: 上映が終わった後のお客さんたちの表情がとてもあたたかく優しくて感動しました。

阿部 寛: 初めて来ましたがこれだけの多くの客さんが拍手をしてくださって、それが鳴り止まなくて、本当に感動しました。

真木よう子: 今回2度目なんですが、また温かい拍手に包まれて、反応が予想をはるかに超えて良かったので、とても嬉しかったです。

樹木希林: 初号試写に続き、作品を観るのは2度目でしたが、監督が何か粉を撒いたんじゃないかと思うくらい、みんな上手に見えました!


レッドカーペットを歩いた感想は?

阿部 寛: あの広さはすごい。やっとここに立てたなと思いました。是枝組で立てて本当に嬉しかったです。初めてのカンヌですが、感動しました。

是枝裕和監督: 手を振ってあっちを向いたりこっちを向いたりするのは恥ずかしいけれど、あの場は女優さんのためのものだと思うので、みんなのために頑張りました(笑)。でもあそこを歩くのはちょっといい経験だなと思います。


カンヌ映画祭自体をどう思いますか?

是枝裕和監督: ここが一番厳しいと思います。作品に対しても、セレクションに対しても、審査に対しても、批評に対しても。皆真剣に映画に向き合って2週間を過ごす場所です。これだけ拍手とブーイングが交錯する場は他にはないので、貴重な経験ができます。この緊張に耐えられる作り手でありたいと改めて思える場です。

樹木希林: 私はもう外に出て行くような人ではないので、もっと若い人たちに、この映画祭にぜひ一度は来て欲しいと思います。

真木よう子: カンヌにはありがたいことに2回来させてもらっていますが、他の映画祭を知らないので……。今回、自分がすごく良い作品だと思っているものを、他の国の皆さんにもあれだけあたたかく受け入れていただけて、本当に作品をよく見てくださっているんだなと嬉しかったです。

阿部 寛: 是枝監督が本当にすごく愛されているんだなと痛感する映画祭ですね。今回の作品に出演できて、カンヌで上映していただけたので、これを機会に僕の顔も覚えていただけたら嬉しいなと思います!


上映後の感想は?

是枝裕和監督: 感動したとか、とても良かったとか、温かい言葉をたくさんもらいました。

阿部 寛: 皆さんの笑顔が素晴らしいので、その笑顔がすごく嬉しかったです。

真木よう子: 素晴らしい作品だったと言っていただきました。

樹木希林: 私の場合、言葉が分からないだろうと思うから、みんな、ただただ「ありがとう」と言われたわ。


上映中、笑い声があがるシーンが多かったですが、いかがでした?

是枝裕和監督: 泣かれるより嬉しいです。より登場人物を身近に感じてくれた証拠だと思うので、言葉が悪いけれど、してやったり!と思ってしまいました(苦笑)。

樹木希林: それは言葉がダメね。もっと監督は良い言葉を選ばなきゃ。でも伝わったなって思えたわね!

是枝裕和監督: この映画の笑いが伝わるかがずっと気がかりだったので、安心しました。

樹木希林: 台本からして台詞がすごく良かったですから、それが伝わったんじゃないかしらね。


カンヌ初参加の阿部さんは、何か初体験はありましたか?

阿部 寛: お客さんと一緒に映画を観られたというのが、本当に良い経験でした。受け入れていただけて嬉しいですね。

樹木希林: じゃあ、この映画をターニング・ポイントにしてまた変わるわね。成長しちゃうわね。阿部さんは団地より、カンヌの風景のほうが似合うわ。ビシーっとハマってたわ。


団地のカンヌ・デビューでもありますね。日本の団地はどのように伝わっているでしょうか?

樹木希林: うーん、あの狭さはどう思われたのかしらね?

是枝裕和監督: 全然大丈夫だったみたいですね。今回は伝わるか伝わらないかをあまり気にせず、狭く深く描いていった作品だったのですが、きちんと描けば必ず伝わると思っていたので、それを今日の上映で実感しました。郷土愛が強いタイプではないんですが、自分の地元がカンヌで上映されると、さすがにちょっと感慨深かったですね。団地センターとか(笑)。

樹木希林: あそこに19年間住んでいたんだから、えらいわよね。


海外のプレスから、あれは一体何なんだ?と聞かれたシーンはありますか?

是枝裕和監督: 今のところないんです。カルピスについてとか聞かれるのかなと思ってたんですが、今のところ一つもないです。


狭い団地に、ひときわ大きい阿部さんをキャスティングしたのは、狙い?

是枝裕和監督: 団地を前提に阿部さんを選んだわけではないです(笑)。ただ、台に乗らずに天袋を覗けるのは素晴らしいなと思いましたよ。でも、あくまで阿部さんが先です。



(オフィシャル素材提供)



関連記事
第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門出品決定!
母の日トークイベント

Page Top