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『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』トークイベント

2016-01-01 更新

田中裕也(建築家・ガウディ研究家・工学博士)

創造と神秘のサグラダ・ファミリアsagrada

配給:アップリンク
YEBISU GARDEN CINEMAほかにて絶賛公開中
© Fontana Film GmbH, 2012

 アントニ・ガウディ世紀のプロジェクト、サグラダ・ファミリアにまつわるドキュメンタリー映画『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』が12日の公開から2週目を迎え、満席のYEBISU GARDEN CINEMAでスペシャルトークイベントが開催された。

 今年でガウディ建築の実測図を作り続けて39年目となる、バルセロナ在住のガウディ研究家・田中裕也氏がサグラダ・ファミリアやガウディ建築に隠されたメッセージ、またそれを読み解く面白さについて熱く語った。

sagrada 現在に至るまで、田中氏が実測を通じて発見した“ガウディ・コード”は450項目以上にものぼるという。「実測にはものすごい時間がかかりますが、測ることで建築の全体の様子が見えてくると、少しずつガウディの言いたいことも見えるようになりました。つまり、彼は文章で語るのではなく、建築という言語によって語っているのです」と田中氏はガウディが作品として遺した“コード”の存在について仄めかす。

 さらに、田中氏によれば、ガウディの作品は彼のポリシーや精神性の顕れでもある。「ガウディは決して『器をつくる』という考え方で建築はつくりませんでした。というのも、本来の建築家というのは『生活の場』つまり生活環境全体について考えられる人のことです。たとえば、従来のゴシック建築には、想像上の化け物の装飾が施されていますが、ガウディはそういった装飾を日常的に見かけるような動物たちでアレンジしました。そして、それらの動物は建築において機能を担っている。たとえば、吐水口には爬虫類や両生類などの水にかかわる動物が描かれていますが、それらは『建築に必要な機能』であってたんなる装飾ではないのですね。また、ガウディは日常的に見かける動物たちを石に置き換える、いわば『化石化』することによって現代の証拠として残し、未来につなげようとしていたのではないかと思います」と分析する。

 また「最近見つけたサグラダ・ファミリアのわかりやすいコードは?」という観客からの質問に対し、田中氏はサグラダ・ファミリアの生誕のファサードに描かれている星座のレリーフについて言及。「生誕のファサードにはガブリエルの受胎告知の場面が描かれていますが、そこにある尖塔型アーチには星座の描かれたレリーフがあります。1940年以前、ガブリエルの姿は今とは違い、右手の人差し指で天を指している姿でした。そのガブリエルの姿と星座にどのような意味があるのかと気になっていたのですが、人差し指が示しているのは蟹座だった。ガウディは蟹座だったんですね」と読み解いた“ガウディ・コード”を披露し、満員の場内を沸かせた。

 「ガウディの建築に描かれている動物たちにはそれぞれシンボリズムがあります。たとえば、サグラダ・ファミリアの蛇、生誕のファサードの両脇にいるカメレオンやトカゲは一体意味しているのか? そのように考えることで、皆さんもサグラダ・ファミリアの、ひいてはガウディの志向性を見出すことができると思います」と目を輝かせながら観客をガウディの神秘の世界へと誘った。


田中裕也(たなか・ひろや) プロフィール

 1952年北海道稚内市生まれ。国士館大学工学部建築科を卒業後勤めていた建築事務所を退職し、1978年にスペインに渡航。バルセロナにてガウディ建築の実測調査を開始する。その後スペイン国費留学生となり、1991年にカタルニア工科大学バルセロナ建築学部ガウディ研究室のドクターコースを終了。翌年1992年には、カタルニア工科大学バルセロナ建築学部より建築家工学博士号を取得。当時より39年の間、ガウディによる建築物の実測図を作り続けている。


(オフィシャル素材提供)



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